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2025.11.20

「そのビジコン、何のためにやりますか?」~“とりあえず開催症候群”が引き起こすリアルな悲劇~

【ビジネスコンテスト】に関するコラムを3回シリーズで配信。
特に、ビジコンを開催してみたい、開催経験があるが課題感がある方に、ぜひ読んでいただきたい内容です。
目次

はじめに

はじめまして、NTTデータ コンサル事業部 IDAチームの目黒 友佳(めゆ)です。 わたしは、NEC、ソニー、フリーランス、コンサルティングファームを経て、NTTデータで企業の新しい取り組みの立ち上げ支援をしています。振り返れば、入社3年目くらいから、もう10年以上、新規事業に関わる仕事をしています(まあまあのベテランですね)。

そんな私ですが、今回は「ビジネスコンテスト(ビジコン)」の話をしようと思います。YouTube動画でビジコンについてお話ししていますので、同じテーマをさらに深堀りできたらなと思っています。

YouTube動画はこちら

【NTTデータ】ビジコンがうまくいかない3つの罠(16:09)

アンケートはこちら
https://forms.office.com/r/1XrqvKNYZj

動画でも触れましたが、ビジコンは、今や企業や自治体の中でのイノベーション創出の取り組みとして、定番化してきましたね。ここ10年、取り組む企業さんが増えていき、話題に上がるようになってきました。
だからこそ「他社がどこもやっているんだから、うちもやらないといけないんじゃ?」とか「やってみたけど、お祭りみたいになって結局何も繋がらなかったから、やめちゃったよ」…みたいな声もよく聞かれ、私たちのところにも届いています。
私が所属するIDAチームは、これまで多くの企業のビジコンの立ち上げから運営支援まで幅広くお手伝いをしてきました。
そんな現場でよく目にするのが、「目的が曖昧なままとりあえず開催してしまうビジコン」です。上記で触れたように、他社の取り組みのキャッチアップを意識して始めた企業さんに、よく見られます。そしてこれが、「一回切りのお祭り騒ぎ」に繋がりやすい例です。
実際に見てきたエピソードを挙げてみますね。

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ある企業の具体例

例えば、中堅メーカーA社では、経営層が他社のイノベーション施策を意識して、「うちも何か新しい取り組みを」と考え、オープンイノベーションやビジコンを検討するよう指示しました。

担当になった企画担当の鈴木さんは、他社事例のリサーチを精力的に進め、なんとか企画案を作成。「新しい価値創造を目指して」というスローガンを掲げ、初のビジコン開催を決めました。
しかし、問題はその先でした。
企画段階で、鈴木さんは「新規事業創出」と「社内の風土醸成」の両方を目的にしていましたが、それぞれの目的の優先順位やそれに紐づいた具体的な基準や施策、そしてビジコン後のアイデアをどのように事業化するかという「出口」の設計までは手が回っていませんでした。

実際に起きた問題 その1

多くの問題が、まず審査段階で顕在化します。例えば、だいたい、「アイデア自体は良いものもあるけど…具体的な実行計画や投資内容は検討されてるの?」と言い出す役員が登場します。「それがないと、判断できないよね」。

一番最初の審査の段階で、こういったことを言う重鎮は本当に多いです。
でも、果たしてそうでしょうか?もし、一年目の目的を「事業化」に強く置くのであれば、一次審査の段階で実行計画やかかるコストの精査までなされた企画を提出してもらうほうが、より確度が上がるかもしれません。しかしながら、初めてビジコンを執り行う企業で人材育成や「挑戦」に対するマインドの醸成をしたいという場合、一次審査のアイデアにそこまで高いハードルを課すと、応募件数が大きく減ってしまい、活性化にはつながりません。

審査基準は作成してありましたが、ビジコンの目的があいまいだったため、審査基準の設計も明確でないところがありました。そのため、足並みの揃っていない審査員の意見も割れてしまいます。「結局、このビジコンでは、どういうアイデア、どういうイントレプレナーを選出したいんだっけ?」この問いに自信をもって答えられるような検討を、開催前に十分にすべきです。

実際に起きた問題 その2

開催目的の曖昧さに起因する問題は、採択後のメンタリングの段階でも、よく現れます。まず、採択したアイデアがどのレベルにあり、メンタリングを経て、何か月後にどのレベルまでブラッシュアップさせるのか――メンタリングのスコープですね。これが精査されていない取り組みが多く見られます。

どのレベルのアイデアを採択するか、というのは審査段階で決めるべきことですが、さらにそれをメンタリングでそのレベルまで引き上げたいのかによって、メンターのスキル・関与のしかた、そして期間が変わります。
例えば期間の例を挙げると、「フィットジャーニー」で言う、「CPF(カスタマープロブレムフィット)」から「PSF(プロブレムソリューションフィット)」の段階に1つステップ移行できるまで、企業のビジコンの採択者の例だと、だいたい早くても3~6か月はかかります(メンタリングの頻度等にもよる)。
さらに、メンタリングによって事業をブラッシュアップさせることに加えて、イントレプレナー(起案者)のスキルアップや育成を目指す場合、メンターは、スキル移転という視点をもち再現性のあるメソッドベースの指導をする必要があります。

こういったメンタリングのスコープを総合的に事前検討せず、採択された後にバタバタとメンタリングの内容を議論している会社さんも少なくありません。
関連して、メンタリングでのゴール設定やそれに応じた活動方針が定まらない場合、ゲート審査も適正化できません。そうなると、最終的に採択されたアイデアもうまくブラッシュアップできずに(もしくは、厳しすぎる次のゲート審査を突破できず)採択から数か月後には解散してしまう、ということも起こります。

なぜこうなるのか?

このような状況が生じる最大の理由は、最初にお話した通り、ビジコン開催の目的が明確になっていないことにあります。事前に議論をして、具体化できていないのです。
では、なぜ事前に検討できないか。事前に議論・検討すべきトピックやリスクを挙げ切れていないためです。

支援して成功した事例

一方で、実際に支援し、次につながった例をご紹介します。
大手IT企業B社では、ビジコンをやると決めたものの、当初は目的が曖昧でした。そこでIDAチームが入り、まずは幹部への丁寧なヒアリングを行った上、関係者を巻き込んだ「目的設計ワークショップ」を実施。

役員・事業部長・現場担当者との間で「そもそも、ビジコンで目指すことは何か?」を徹底的に議論しました。その結果「今年のビジコンは新規事業の初期段階の“種”を少しでも多く集め、それにより新しい事業に創出に挑戦する社員の勢いを見える化し、社内のモチベーションを上げる。具体的な事業化検討は、専門チームがメンタリングで手厚くフォローし、事業化までに十分な期間をとる」と明確に設定しました。

この目的をビジコン開催の発表と同時に社内に周知したことで、参加者も安心して自由に構想段階のアイデアを出せる環境が整いました。また審査員も明確な基準で評価でき、採択者を含めて、全体の納得感が高まりました。
開催後のアンケートでは、「先を見据えた具体的な考え方が分かり、アイデアを応募しようというやる気が高まった」、「次のステップが明確でモチベーションが上がった」といったポジティブな声が多数寄せられました。

ビジコン成功への第一歩

「とりあえず開催症候群」から脱却するには、目的を明確化し、経営層から現場まで共有することが重要です。これが成功への近道となります。
私たちは、今までの支援実績から、「これは絶対に最初に議論しておかないと、恐ろしいことになる…!」(というと、ちょっと怖いですが笑)というポイントを、ノウハウとしてたくさん持っています。構想段階から一緒に進めることができれば、リスクをしっかり回避しながら、みんながワクワクするようなビジコンを作り上げられると自信を持っています。

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いかがでしたでしょうか?
現在、【無料相談会】を受付中です。
ご希望の方は、ida-ml@hml.nttdata.co.jpまでご連絡ください。

次回は、2つ目の罠、「受け皿なきアイデア」について具体的な事例を交えお伝えします!

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