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2025.11.25

【ビジコン担当者必見】「採択されたのに、どこにも行けない」-“受け皿なきアイデア”の正体

【ビジネスコンテスト】に関するコラムを3回シリーズで配信。
今回は第2回“受け皿なきアイデア”の正体についてお伝えいたします。
ビジコンを開催してみたい、開催経験があるが課題感がある方は、ぜひご覧ください。
目次

はじめに

こんにちは、NTTデータ コンサル事業部 IDAチームの目黒友佳(めゆ)です。 今回も、前回に引き続き、「ビジコン」をテーマにして第二回をお送りします。また、本コラムの読者向けに、ビジネスコンテスト開催のポイントが詰まった資料を無料でお届けしますので、興味がある方は、ぜひ末尾のURLから資料をダウンロードしてください。

一回目の配信では、「とりあえず開催症候群」を取り上げました。今回は、採択されたアイデアが、前に進まない大きなネックとなる、「受け皿不在」という問題を取り上げます。

採択は「ゴール」ではなく「ゲートゼロ」

拍手は大きい、けれど財布も肩書も空のまま。このビジコン採択直後の“ねじれ”が起きる本質はシンプルです。
「自分ごと」として持つオーナーが決まっていないから。
スタートアップではなく大企業で事業開発を進める場合、起案者が勝手に活動を進めることはできません。当たり前のことですが、まずは検証を実行できる最小限のお金・権限のある「受け皿」があって初めて、活動がスタートします。

事例:H社で何が起きたか

産業向け部材メーカーH社の社内ビジコンで、「ペットの便の状態から食生活のアドバイスをする飼い主向けB2Cサービス」という企画が採択されました。この会社では、フィルターや吸水材などの部材を医療や食品企業向けに供給していたため、サンプルを安定化する技術を持っていたことから、構想に至ったアイデアでした。 起案者は、研究所に所属する長谷川さん。業務の合間に知人の飼い主たちに顧客インタビューを重ね、カスタマープロブレムフィット(顧客課題の検証)の段階にあるアイデアです。

ところが、採択後に起きたこと。

審査員の役員は「吸水材やフィルターを扱うA事業部が引き取ってはどうか?」と提案。A事業部は「B2Cの実績もチャネルもないし、お金も出せない」と受け皿を辞退。 佐藤さんの所属する研究所は「アイデアの検証費用は今年度の研究費予算からは出せない。稼働1割程度は出せるが、B2C事業は誰にも経験がなく、アイデア磨き込みの組織的なフォローはできない。もし、3か月芽が出なければ元の研究に戻ってほしい」と現実路線。
傘下に動物病院のある医療法人を顧客に持つ営業部門にインタビューを一緒に進めたいと依頼するも「アイデアレベルのものをお客様に持っていけない」と断られる。

結局、事業部長が集まる月1回の会議では遅々として結論が出ず、採択されたアイデアの検証は進みません。何より、この間に起案者やメンバーの熱意とモチベーションが失われてしまいます。

なぜ起こるのか

「採択されたはいいが、この仮説検証を誰が持つのか?」
もっとも大きな原因は、この点を事前に議論して、決めておかなかったことです。
さらに深堀りすると、この議論に必要なのは、受け入れ先の候補となる事業部や組織に対し、以下に例として挙げたポイントを早期に理解してもらい、まずは「できること/できないこと」を整理することです。

事前に周知、すり合わせをしておく内容の例

アイデアの仮説検証をする部門が必ずしも事業運営をする必要はなく、まずはマーケット調査や顧客の課題、ソリューション・商品の妥当性検討の支援を行う。
アイデアのごく初期の検証に、人件費以外のお金はほとんどかからない。調査費として、数十万円以内で収まる場合がほとんどである。
ただし、起案者に対して現業とは別に業務時間の2割以上の工数確保が必須であるため、その分の人件費の負担先は必要。
起案者に対して、新規事業の検証プロセス実施上のマネジメントや適切なアドバイスできる人材(監督者やメンター)を配置することが望ましい。
お客様または社外の人間に対する足元のビジネスとは関連性のない、または初期段階のアイデアをテーマとしたインタビューやヒアリングを容認・支援する必要があるが、この活動は一般的に現業の顧客との信頼関係を棄損するものではない。

上記は一例ですが、このような内容は事業部側が理解していない場合がほとんどであるため、ビジコンの開催元(事務局)は、採択されたアイデアの仮説検証を進めるための基礎的なプロセスをふまえて、活動の具体的なイメージとそれにかかるリソースを地道に伝えていかなければいけません。
その上で、事業部だけで対応できないことは、ビジコンの開催元や他組織で予算をつけたり協力をしたりして、横断的に支援していく必要があります。

事前のすり合わせがないと、事業部は今後のアクションを正しく認識することができず、「予算も手間もかかる大変なことを押し付けられるのでは?」と過大に評価したり、「特別な支援をしなくても、起案者が勝手に進めてくれるのだろう」と活動を過少したりすることになります。

ビジネスコンテストは、採択後からアイデア事業化までの道のりの方がはるかに長く、時間もかかります。だからこそ、採択後の各組織のサポートや協力を得ないと成り立ちません。ビジコンの開催元は、コンテストを開催することをゴールと思わず、「ゲートゼロ」つまりスタート地点であることを忘れずに、長い時間をかけて地道に交渉、そして説得をしていく必要があります。

まとめ

採択後にスムーズにスタートが切れることは、アイデアの迅速な事業化、そして熱意をもって応募した起案者のモチベーション維持のためにも非常に重要なことです。そのためには、前述したように、計画的な社内調整と、受け入れ先との相互補完的な支援体制が必要です。
これが欠けたまま採択まで走り切ってしまうと、その後が続かず、お祭り騒ぎになってしまいます。

私たちがビジネスコンテストを支援する際、開催前から必ず受け入れ先の候補を明らかにし、さらに採択後のアクションを整理した上で、幹部や事業部側と直接お話をすることも可能です。また、今までの多様な実績から、組織横断的に検証活動を支援できるスキームを貴社と一緒に検討し、提示します。
コンテスト開催にあたって心配事があれば、気軽に相談してくださいね。

さて、次回は、「思いつきメンタリングの罠」。属人的な助言でアイデアが迷子にならないために、プロセスをどう言語化するかをお届けします。

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現在、【無料相談会】を受付中です。
ご希望の方は、以下のフォームから。
https://forms.cloud.microsoft/r/YBid7NtkAS

ビジネスコンテストの資料はこちらからダウンロード可能です。
https://go.nttdata.com/l/547422/2025-09-09/8yt117

次回はとうとう最後の3つ目の罠、「思いつきメンタリングの罠」についてお伝えします!

NTTデータの新規事業創発支援(IDA)についてはこちら:
https://www.nttdata.com/jp/ja/lineup/ida-bizdev/

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