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2025.11.27

アドバイス? それ、ただの感想です-“思いつきメンタリング”を抜け出すための3つのエピソード

【ビジネスコンテスト】に関するコラムシリーズの最終回は、“思いつきメンタリング”を抜け出すための3つのエピソード”をお伝えいたします。
ビジコン開催後のメンタリングで悩んだことのある方は、ぜひご覧ください。
目次

はじめに

こんにちは、NTTデータ コンサル事業部 IDAチームの目黒 友佳(めゆ)です。
前回は、最初のプロセスを回すための受け皿について、事前に議論しておくことが必要だとお伝えしました。では、そのプロセスにおいてビジコン採択後に実施されることの多いメンタリングは、アイデアを育てる場になっているでしょうか。
メンターが陥りがちな行動、それはメンタリングという名の「アドバイスの形をした、脊髄反射的な感想」を提供してしまうこと。つまり、設計されていない、思いつきで行われる壁打ちです。なぜ起き、どうやって止めるのか?3つのエピソードでヒントをお届けします。

地図と現在地

メンタリングで起こりがちな問題の中で、一番深刻なものからお話しようと思います。
それは、地図もなく、現在地も分からず、迷子になることです。下手をすれば、メンタリング期間中、ずっと迷子でい続けることにもなりかねません。

メンターが一番最初にすることは、メンティーに地図を渡すことと、現在地を明らかにすることです。
例えば、Fit Journey(フィットジャーニー)という事業開発プロセスがあります。
これは、世界中で活用されているプロセスで、いわば新規事業開発の地図になる検証ステップです。

顧客に課題は存在するか、その課題をどのようなソリューションで解決することができるか、といったフェーズから始めていき、ソリューションは機能として実際に開発・実装できるか、そのプロダクトがマーケットに受け入れられるか、というステップに移っていきます。

メンティーにはグローバルスタンダードのプロセスを理解してもらい、まず「現在地」を言い切ることが大切です。
いま私たちはどのフェーズにいて、何ができていて、何ができていないのか。地図と自分の現在地があれば、目的に向かって進むための第一歩が踏み出せます。

「今は、エンドユーザーが実際に課題を持ち、悩んでいるのかどうかを確かめるCPFのフェーズにいます。顧客像は一部言語化できているけれど、どの場面で・何にどれくらい困っているかの細かい描写が足りていない。この状態でソリューションを考えたり開発したりしても、時間とお金の無駄遣いになってしまうリスクがある。まずは顧客の特定をしましょう。これから2週かけて、そのためのペルソナと質問票を作成する活動をさせてください。」

といった具合です。
現在地が分からないまま特定のトピックで議論しても空中戦になりますが、プロセス上の現在地が分かれば、筋の通った活動が生まれます。メンターの一言が「思いつき」でなく「道案内」になる条件は、実はとてもシンプルなのです。

一点だけ、お願いをさせてください。世界共通で認められている手法は、「魔改造」しない-つまり、独自に変えることをしないでください。その手法を正しく使うことで、最短で結果が見えてくるはずです。

「宿題をやってこない」には理由がある

もう一つ実際によくあるエピソードを交えます。
メンターが出した宿題に、起案者の手がほとんど進んでいないことがよくあります。例えば、前回合意した「ユーザーインタビュー3件」がゼロ。進捗がないとき、メンタリングの空気が重くなります。
そんなとき、メンターがやりがちな展開に「言いっぱなし型」というものがあります。
宿題の活動を提示しても「主体はあなたたちだから」というスタンスを崩しません。決して間違えているわけではないですが、メンティーが宿題をできないと、「本気ならできるはずだよね」とか「イントレプレナーの熱意があったらできるはず」といった自己責任論に着地してしまいます。

こういうとき、私は、立ち止まって「できない理由」を一緒に分解します。

「やる意義が腑に落ちていない?」-なぜその活動が必要かを、プロセスの順序にそってしっかりと説明するのがいいと思います。例えば、課題の特定が曖昧なままでは、解決策の議論は空回りします。だから、今はアーリーアダプターの発見と理解が唯一の前進だと再確認してもらいます。
「やり方が分からない?」-手法を明確に理解できなければ、アクションに踏み出せない人も多いものです。質問票の雛形をその場で一枚つくり、同席の上で一回目のインタビューを一緒にやる約束をします。
「やったことがなく、怖い?」-普段の業務と違いすぎる未知のアクションは、シンプルにその一歩がなかなか踏み出せないことが多い。そんなときは、相手が踏みやすい「最初の一段」をこちらで用意します。例えば、社外ではなく社内の関連部門なら、ハードルはぐっと低くなります。

宿題が進まない背景には、意義の不理解、やり方が分からない、不慣れゆえのアクション自体のハードルの高さといった、具体的な原因がしばしば潜みます。メンティーをよく観察し、なぜできないのかを一緒に言語化する。
イントレプレナーの熱量が足りない、といった根性論に落とし込むと、メンタリングはそこから進みません。

メンターが走り過ぎると、火はつかない

最後のエピソードとして、暴走代行型のメンタリングについてもお話します。メンターが熱量でプロジェクトを引っ張り、メンティーが置いてきぼりになることが、しばしば見られます。(これは、私もついやってしまいがちなので、自戒を込めて!)

例えば、メンター側の経験領域とテーマが近く、ユーザー像や課題が、頭の中に鮮やかに見えてしまうことがあります。つい口は滑らかになり、メンタリングが「答え合わせ」みたいな空気になります。メンティーは、先生からそのマーケットについて教えてもらっているような状態ですね。
よく知っている領域について、シェアする行動自体はいいと思います。ただし、人づてに聞いた課題は、深刻さが伝わりにくい。

この例で言えば、アーリーアダプター(切実なニーズを持つ最初の顧客)と実際に会って、自分自身で課題やペルソナ像を深堀りする機会が必須となります。
メンターがその場をセッティングするのは構いませんが、必ずメンティー自身が課題やターゲットの発見にたどり着いたと実感できる場にしてください。
自分自身でたどり着いた結論こそが、中長期的な動機づけになります。

まとめ

思いつきメンタリングを防ぐためには、フェーズを定義し、現在地を明確にしたうえで道案内をすること。メンティーができない状況を一緒に要素分解し、できるハードルに変えていくこと。答えを教えるのではなく、起案者が自分自身で結論にたどり着くためのサポートをする。本日はこの3つについてお話させてもらいました。

これまで3回に分けて「ビジコンあるある罠」についてのコラムを配信しましたが、少しでも皆さんの業務の助けになっていれば幸いです。
ビジネスコンテストはさまざまな要素があり、奥が深く、話しきれないエピソードも多くあります。ぜひ、直接お会いして、意見交換させてくださいね。

目黒 友佳(めゆ)
NTTデータ コンサル事業部 IDAチーム

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今後もIDAではコラムシリーズをお届け予定です。お楽しみに!

NTTデータの新規事業創発支援(IDA)についてはこちら:
https://www.nttdata.com/jp/ja/lineup/ida-bizdev/

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