金融機関向けの融資稟議書作成AIサービスをあいち銀行に提供決定

~AIを活用した法人営業・融資審査プロセス業務支援として3例目の商用採用~

トピックス

2026年7月9日

株式会社NTTデータ

株式会社NTTデータ(以下、NTTデータ)は、株式会社あいち銀行(以下、あいち銀行)に対し、2026年7月27日よりNTTデータが提供する検索拡張生成(Retrieval-Augmented Generation:RAG)である「LITRON® Generative Assistant on finposs®」を活用した融資稟議(りんぎ)書作成AIサービス(以下、本サービス)を提供開始します。本サービス採用行は株式会社京都銀行に続いて2行目、地域金融機関を対象とした法人営業から融資審査まで一連のプロセス支援としては3例目の商用採用決定となります。注1注2
あいち銀行は2025年1月の銀行統合以降、各種業務の統一、標準化の取り組みを進められています。本サービスの活用によって法人向け融資審査業務における稟議書作成を対象に、行内に分散する各種データの収集・要約から稟議書素案の作成までを自動化し、審査品質の底上げと営業リードタイムの短縮を実現することはもとより、融資判断に必要な観点などの統一、業務標準化の取り組みも加速します。
導入決定に先立って実施した試行利用では大幅な生産性向上が確認でき、最大で年間13,400時間の業務削減効果を見込んでいます。
NTTデータは今後、あいち銀行を含む地銀共同センター注3参加行をはじめとするより多くの金融機関へ本サービスの展開を進め、法人融資業務の生産性向上と審査プロセスの迅速化を通じて、さらなる顧客サービス向上をめざします。

背景

金融業界では、年間数万社に上る法人融資先に対して稟議書作成が必要となり、担当行員は顧客概要や財務情報など多岐にわたる情報を収集・整理したうえで文書化するため、稟議書作成に係る業務負担は大きなものとなっています。多様化する稟議書作成においては、「どの観点をどの程度書けばよいか」」が経験量の違う担当者によって差異が生じることがあり、さらに審査過程で記載内容の問い合わせや取引先への追加ヒアリングが発生するなど、最終承認までの時間が長期化するという課題がありました。
あいち銀行は2025年1月に銀行統合を行っており、統合前の両行において事務運用や審査プロセス、さらには融資判断における観点・評価基準が異なることから、稟議書の記載粒度や構成の均一化に課題がありました。
こうした課題を解決し、統合シナジーの早期の創出を実現するため、あいち銀行は、AIを活用して稟議書作成プロセスの品質向上と効率化を同時に実現するしくみの導入を決定しました。
なお、NTTデータは金融機関の経営変革と地域社会の持続可能な発展を支援する新たな取り組み「ARISING®注4を推進しています。本案件はその取り組みの一環として位置づけられるユースケースです。

概要

本サービスは、NTTデータが提供する「LITRON Generative Assistant on finposs」を基盤とした、金融機関向けの稟議書作成AIサービスです。「LITRON Generative Assistant on finposs」は、NTTデータの自然言語処理に関するノウハウを生かして開発したRAGである「LITRON Generative Assistant®」と、金融機関をはじめとした高いセキュリティー基準を必要とする業種でも安心・安全に各種AIサービスを利用できるプラットフォーム「finposs基盤」を組み合わせた生成AIサービスです。利用企業に合わせた個別のチューニングを行うことができ、RAGとしての精度を向上させることが可能です。本サービスを活用し、行内に蓄積された顧客概況、財務情報などをAIが参照・分析し、融資判断に必要な観点に沿った稟議書素案を自動生成します。

あいち銀行では、営業店の行員を対象とした本サービスの試行利用を実施し、行員が一から稟議書を作成した場合との比較で作成時間の削減を確認しました。加えて、審査役による稟議書評価では、従来の指摘数から約25%削減できることを確認しました。また、融資判断に必要な観点を再整理し、共通化された構成で稟議書素案を生成することで、銀行統合後に課題となっていた記載内容や品質のばらつきの抑制にも寄与することを確認しています。これらの検証結果から、稟議書作成の生産性向上により最大で年間13,400時間の業務削減効果を見込んでいます。

図1:融資稟議書作成AIサービスのシステム実現イメージと特長

融資稟議書作成AIサービスの特長

  • (1) 行内に分散する情報の収集と、稟議書素案作成の自動化
    融資審査に必要な顧客概況、財務情報などを行内の複数システムから横断的に取得・整理し、稟議書素案を自動作成することで、情報収集・記載の作業負荷を軽減し、稟議書作成業務を効率化します。
  • (2) 稟議書作成観点の網羅
    あらかじめ整理した「融資判断で押さえるべき観点」に沿って文書を構成することで、記載漏れや差し戻しを抑制し、稟議書品質の向上に寄与します。
  • (3) 取引先ごとに最適化された稟議書素案の作成
    複数の金融機関との検証を通じて、取引先ごとの入力データを反映し、取引先に応じた稟議書素案を作成することで業務の効率化に寄与します。
  • (4) 高セキュリティー環境による安心・安全なデータ保護
    本サービスは、FISC安全対策基準注5に対応した高セキュリティー環境で融資関連データを安全に扱えるため、機密性の高い融資審査業務においても安心してAIを活用できます。

本サービスは他の金融機関においても検証を実施しており、AIの出力結果が複数の金融機関で同水準であることを確認しています。今後は、地銀共同センター参加行をはじめとするより多くの金融機関へサービス展開を進めていく予定です。

今後について

今後は本サービスを起点に、与信業務全体や関連プロセスへのAI適用範囲の拡大を検討します。また、NTTデータは地域金融機関を対象としてAIネイティブな仕組みで法人営業から融資審査まで一連のプロセスをエンドツーエンドで支援する構想を掲げ、AIを中心とした先進技術の活用を通じて、トップライン向上とコスト削減の両面から金融機関の収益確保に貢献します。加えて、生産性向上と高付加価値サービスの提供を推進し、地域経済と地域社会の持続的な発展に寄与していきます。

図2:NTTデータが掲げる法人営業・融資プロセスの業務支援構想

注釈

  • 注1 2026年2月25日発表「金融機関向けの融資稟議書作成AIサービスを京都銀行に導入決定~AIを活用した融資業務の審査品質と生産性の向上により最大年間11,700時間の業務削減を見込む~」
    https://www.nttdata.com/global/ja/news/topics/2026/022500/
  • 注2 2026年3月25日発表「地銀法人営業の高度化へ、AIが提案業務を支援~山陰合同銀行で提案業務高度化AIを本格運用、営業から審査までのEnd to End構想を加速~」
    https://www.nttdata.com/global/ja/news/topics/2026/032500/
  • 注3 「地銀共同センター」は、NTTデータが構築・運営する、地方銀行・第二地方銀行向け基幹系共同センターです。
    参加行は以下のとおりです。(利用開始および銀行コード順)
    京都銀行、千葉興業銀行、岩手銀行、池田泉州銀行、あいち銀行、福井銀行、青森みちのく銀行、秋田銀行、四国銀行、鳥取銀行、西日本シティ銀行、大分銀行、山陰合同銀行
  • 注4 地域金融を軸に地域社会の発展を支援する「ARISING™」を始動 ~提言から実装、成果まで、共に描く地域の未来~
  • 注5 日本の金融機関が使う情報システムのセキュリティー基準をまとめたガイドラインです。
  • 「LITRON」「LITRON Generative Assistant」「finposs」「ARISING」は日本国内における株式会社NTTデータの登録商標です。
  • その他の商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です。

本件に関するお問い合わせ先

株式会社NTTデータ
第二金融事業本部
デジタルバンキング事業部
オファリング統括部
コンサルティング&セールス担当
小峰、高橋
TEL:050-5546-2314