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超大規模システムの開発と農業DXの推進。「攻め」と「守り」を両立するJAバンク事業部とは

100兆円以上の貯金量と膨大な店舗数。日本の農業を支えるJAグループの超大規模バンキングシステムを提供しているのがJAバンク事業部です。大規模基幹系システムの開発に圧倒的な歴史と強みを持つ事業部ではありますが、近年ではデジタルを活用した新しいプロジェクトの活性化で農業への貢献も目指しています。
今回の対談では、同事業部で勘定系システム開発に長らく携わってきた大谷と、複数の金融領域で経験を積み現在はJAバンク事業部に携わる西内が、若手のうちからプロジェクトマネジメント力を培うことができるJAバンク事業部の強みやデジタルを活用した農業の可能性について語ります。

目次

Profileこの記事に登場する人

超大規模システム開発と農業DXという新しい価値創造に両軸で挑む

――JAバンク事業部とはどのような組織なのでしょうか。

西内

JAバンク事業部は名前の通り、全国のJAバンク様の業務を支えつつ、農業DXの推進も追及している組織です。全国47都道府県、562のJA様を利用するエンドユーザーの金融インフラを支えるという社会的責務を担い、100兆円を超える貯金量の超大規模なシステムを支えている点が特徴です。

大谷

他の金融機関とは異なるJAバンク様の特徴としては、各地域の農業協同組合(JA)様、信用農業協同組合連合会(信連)様、その中央金融機関である農林中央金庫様が一体となって総合力を活かした信用事業を営んでいることです。各地域によって融資の取扱商品や貸出条件などが違い、サービスのバリエーションが豊富であるという特徴もあります。我々はその豊富なバリエーションの提供を可能とする高度なバンキングシステムを開発・運用しています。

――近年のJAバンク事業部の動向について教えていただけますか。

西内

超大規模かつ機能も豊富である基幹システムを開発・保守しながら、近年では周辺系のデジタル系のプロジェクトにも注力し、JAの組合員様やエンドユーザーである農業従事者の方々の課題解決にも取り組んでいます。いわば、守りと攻めを両軸で進めるチャレンジを行っているところです。

大谷

具体的には、融資事務を効率化・高度化するシステムの開発を進めているほか、バンキングデータの分析・活用や農業従事者に向けた営農支援プラットフォーム「あい作®」、オンライン上の仮想店舗である「デジタル店舗」のような営農領域のソリューションとの連携など、新しい価値を提供できるよう検討しています。

――ミッションクリティカルなシステムの開発と、農業DXのような取り組みを同時に推進することが本当に可能なのでしょうか。

西内

たしかに簡単なことではありません。事実、かつてはお客様からも「NTTデータは基幹系システムの会社」と認識されていました。ですが、数年前から「NTTデータはデジタル系の相談もできる会社」と認識が変わってきています。

大谷

お客様と近い距離でビジネスを行ってきた強みがここでも生きていますね。大規模で複雑なバンキングシステムをしっかりと運用してきた結果があるからこそ、新しい領域でもご相談をいただけたという背景はあります。

西内

はい。新しい取り組みを上流から着実に実行していくためには、高度なプロジェクトマネジメント力が必要とされます。要件を策定し、検証のプロセスまで含めて考えていくことはデジタル系のプロジェクトであっても不可欠です。一昔前は、新規領域において他のコンサルティングファームが競合になることもありましたが、現在は状況が一巡し、着実なプロジェクトマネジメントができる会社が求められるようになっています。

高度なプロジェクトマネジメント力を養える独自の環境

――大谷さんは20代後半という若さで、農林中央金庫様と信用農業組合連合会(※)様との統合に関するプロジェクトマネジメントを経験したそうですね。

※信用農業組合連合会…通称「信連」。JAバンクを構成する地域金融機関で、JAと連携し、各都道府県域で貯金・融資・為替その他の金融サービスを提供している。

大谷

はい。私は入社以来、JAバンク様の基幹系バンキングシステムであるJASTEMの業務機能開発に携わっています。その中で、JASTEMを使用している信連様と、独自の基幹システムを運営している農林中央金庫様が統合するプロジェクトを任されました。事業・組織の再編や効率化を通して一体的な事業運営と一層のサービス向上を図るための統合です。

――どのような点に難しさがありましたか。

大谷

JAバンクの一部である信連様は都道府県ごとに47組織ありましたが、そのうち統合対象となる信連様のデータを農林中央金庫様のシステムに統合するというプロジェクトでした。まったく違う基幹系バンキングシステムへの移管・統合作業は、銀行同士の合併に近い難易度と品質が求められます。また、農林中央金庫様、信連様、JASTEM運営を担われている農中情報システム様をはじめ多くのステークホルダーがいる中、決してミスが許されないというプロジェクトであり、大変な緊張感を持って臨む必要がありました。

統合プロジェクトは複数の信連様で順次進めることになっており、3~4年かけて4つの統合プロジェクトに参加することになりました。同じ目的のプロジェクトとは言え、各信連様の扱う金融商品の種類が違うため、統合するデータが異なります。以前のプロジェクトのノウハウが通用せず、毎回リスクに向き合いながら移行を進める必要がある点もこの案件の難しさでした。

――当時のプロジェクトを通じて、NTTデータの価値をどのように感じましたか。

大谷

このプロジェクトは、NTTデータがJAバンクの全国共通基幹システムであるJASTEMの導入をサポートし、各都道府県のJA様の勘定系システムを統合していった実績があるからこそお任せいただいたと思っています。金融機関の統合は決まった期日に完遂しなければ、関連する職員の皆様やエンドユーザーに大きな影響が出てしまうミッションクリティカルな作業です。だからこそ、お客様も非常に高い作業品質を求めて、NTTデータへお任せいただいたのであり、それがNTTデータへの期待や価値であったと考えています。

すべての移行が完了した際にはお客様と一緒になって喜び、ミスなく完遂できたことを評価いただけ、それまでの苦労が報われたと感じたのを覚えています。20代のうちからこのような大規模なプロジェクトを任せてもらえることが、NTTデータの魅力であり、この経験が自分の中で大きな価値に、そしてその後の基盤となりました。

――一方、西内さんは信金向けオープン系システム開発から、JAバンク事業部に異動してきたそうですね。

西内

私はもともと基盤技術者で、プロジェクトマネジメントらしい経験は積んでこなかったのですが、JAバンク事業部に異動してプロジェクトマネージャを任されることになりました。JAバンク事業部に異動してまず驚いたのは、確立された開発標準にもとづいたプロジェクト管理が本当になされていたことです。業界経験者の方ならわかると思いますが、プロジェクトマネジメントの資格取得で学ぶようなプロセスを忠実に現場で実践するのは困難です。そういったことから、JAバンク事業部はプロジェクトマネジメントのあるべき姿をしっかり実践できている組織だと実感しています。

大谷

JAバンク事業部のプロジェクトマネジメントの文化は、お客様とも一体となって作り上げてきたものでもありますよね。お客様のガバナンスが強固なこともあり、個人的にはJAバンク事業部はNTTデータ社内でも特にプロジェクトマネジメントが強い組織だと思います。

西内

本当の意味で品質の高いシステムを作るとはどういうことか、プロジェクトマネジメントはどうあるべきものなのか、JAバンク事業部で多くの発見がありました。

――西内さんがJAバンク事業部に異動したのが2013年。それからどのような変化が生まれてきていますか。

西内

レベルの高いプロジェクトマネジメントに感銘を受けた一方で、他の業界と比べて、効率の悪さや柔軟性に欠ける面も感じていました。私自身、「変えた方がいい」と思うことは積極的に発信しました。思ったことは言ってしまう私の性格もありますが、新参者の意見を受け入れてくれる風土も大きかったですね。

大谷

西内さん以降、他の事業部からの異動も増えてきて、事業部内の意識は変わってきました。西内さんを含めた他金融領域の経験者との交流が変化の契機になったことは間違いないですね。人を環流させることで新しい価値が生まれるという考えは、今ではすっかり浸透しています。特に今までの方法論が通用しない場合もあるのが近年のデジタル系の領域です。新しい取り組みというものは、既存の型にはめようとしてもうまくいきません。だからこそ西内さんのような発想が必要なのだと思います。

日本の農業の未来を変える可能性すら広がっている

――若いうちからプロジェクトマネジメント経験を積むことができ、組織自体も変化を続けているJAバンク事業部ではどのような人財がフィットするでしょうか。

西内

間違っていてもいいので自分の軸を持って行動できる人が活躍できます。ドキュメンテーションやプレゼンテーションなどのスキルは後からでも伸ばせますから、信念を持っている人が成長しやすいと思います。

大谷

そうですね。新しい分野の知見も積極的に得ようとする機動性は持っていてほしいですし、特に若い人の場合は、物怖じせずに挑戦してほしいです。決まりきったルールの中だけで動いていると考えなくなってしまいますから、とにかく「自身で考え行動する」することが重要です。

西内

そうですね。JAバンク事業部はどんどん意見の言いやすい組織になってきていると感じます。新しいビジネスに携わりたいと自分から声をあげる社員も増えてきました。

大谷

実際、JAバンク事業部では若手の積極採用にも注力しており、20代若手社員の採用実績も多いです。本人のキャリアビジョンを意識しながらアサインも行っていますし、西内さんの言うように信念を持っている人はチャレンジしやすい環境です。

――では、最後にJAバンク事業部で働く魅力を教えてください。

西内

JAバンク事業部は、NTTデータの社内では「活発な事業部」だと認識されています。というのも、大規模バンキングシステムを確実に作るという「守り」の領域をしっかりと担いながら、デジタル領域の新しい提案も積極的に行っているからです。「守り」を担いながら、同時に「攻め」も果敢に行っているという点で、現在のNTTデータの縮図のような事業部と言ってもいいかもしれません。

大谷

やはりJAバンク様が他の金融機関と違うのは、農業という社会課題と直結している点だと思います。私たちがJAバンク様の課題解決に真正面から取り組むことが、社会課題の解決にもつながる構図になっていることはJAバンク事業部で働く大きな魅力です。

西内

たしかにJAグループ様では多様な事業が連携し、幅広い領域をカバーしています。他の金融機関であれば外部の企業と組まないとできないことも、JAグループ様であればグループ内で実現できることが多数あります。

大谷

バンキングシステムだけでない可能性の広がりという意味では、一線を画す組織ですね。

西内

はい。日本の農業にダイレクトに貢献できるのですから、やりがいが大きい事業部です。キャリアという点でも、品質の高いシステムを提供する開発手法を体系的に学べるのは価値があることですし、一方でデジタル系のプロジェクトも経験できるためキャリアの可能性も広がります。

大谷

私も、JAバンク事業部は現在のシステム開発において求められるものが凝縮された事業部だと思います。大規模なプロジェクトマネジメントも経験できるし、デジタルや上流工程も経験できます。まさにすべてが経験できる環境です。

西内

私も日本の農業を成長させていきたいという想いを持って日々業務に取り組んでいます。農業はまだまだ伸びしろのある領域なので、挑みがいがありますね。

大谷

まさにそう思います。私たちの取り組みが数年後、数十年後の日本の農業の光景を変えているかもしれません。日本の農業の未来を変えていきたいという想いを持った人と一緒に働きたいです。

超大規模システムを確実に提供する「守り」とデジタルを通じて農業の未来を変えていく「攻め」を両立するJAバンク事業部。日本の農業にダイレクトに貢献できる環境のもと、若手のうちからプロジェクトマネジメント力を養う濃密な経験を積むことができます。

※掲載記事の内容は、取材当時のものです