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ユーザーサイドからの転身で実感したプロジェクトマネジメントの面白さと、広がるキャリア観

しんきん事業部は、全国254の信用金庫様に加え、信金中央金庫様やしんきん共同センター様、しんきん情報システムセンター様などの中央機関にビジネスを展開しています。そこでインターネットバンキングシステムの開発・運用チームを率いているのが、下川原 保幸です。地方銀行のシステム部門出身の下川原が、NTTデータへの転職を通して実感したのが、「プロジェクトマネジメントの面白さ」だと言います。現在、部長として組織づくりや人財育成にも尽力する下川原はどのようにPMとしてのノウハウを身につけてきたのでしょうか?そのプロセスに迫ります。

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銀行員として培った経験と知識を、次の成長に活かしたい

1998年、下川原は新卒で地方銀行に入行しました。当時は日本全国でインターネットが急速に普及し始めた頃。東北出身の下川原は、この新たな時代の到来に「地方の人々にも便利なサービスを提供できるのではないか」と胸を躍らせました。そして、その想いを胸に銀行のシステム部門で研鑽を積みます。

当時としても珍しかったのですが、私が在籍した銀行ではシステム開発を完全内製していました。そのおかげで勘定系業務のプログラミングに始まり、インフラ構築も、JAVA開発も、要件定義も、何から何まで経験させてもらえました。

新人時代は厳しい指導も受けましたが、あの経験は今もベースとして生き続けていますね。

実際、下川原はメインフレームで実装されていた情報系システムのフルオープン化といった大規模プロジェクトにも参画。先進的かつ熱量の高い職場で、約10年にわたって銀行内のあらゆるシステム開発に携わりました。

そうした業務にやりがいを感じる一方、「培ってきたスキルは銀行の外でも通用するだろうか」という漠然とした不安が強くなっていったことで、次のステップを考えるように。転職に際して下川原が重要視したのは、これまでの知見を活かしながらも、これまでにない経験とスキルアップが得られる環境でした。

NTTデータに興味を持ったのは、金融分野に強かったことがきっかけです。当時から地方銀行の勘定系システムを数多く手掛けていましたし、私の経験や金融・銀行業務の知識もフルに活かせると思えました。

それに全国の金融機関をオンラインで接続する通称「全銀システム」やキャッシュレス決済基盤の「CAFIS」など、大規模な金融プラットフォームも有しています。ここならば幅広い経験ができると考えたのです。

2009年にNTTデータの一員となった下川原。最初に配属されたのは、全国のJAバンク様の業務を支援するJAバンク事業部でした。地方銀行というユーザーサイドから、金融業界のデジタル化や事業変革を支えるパートナーへ。このフィールドの変化が、下川原のキャリア観にも大きな影響を与えていきます。

尊敬する上司との出会いが、マネジメントに目覚めるきっかけに

入社当初、下川原の最大の関心事は、「技術力に磨きをかける」ことでした。しかし、150人規模の開発プロジェクトをリードする上司の姿を目の当たりにし、気持ちに変化が生まれます。

最初にお世話になった課長はかなりのベテランで、決して派手な立ち回りをする方ではありません。むしろ、いつも淡々と定時に来て定時に帰っていくようなタイプでした。

しかし、肝となるポイントでは協力ベンダーの責任者と綿密にやりとりをして、何事もなかったかのように難しいプロジェクトを成功に導いていくんです。その仕事ぶりには「すごいな」と憧れましたし、プロジェクトマネジメントも面白そうだと感じさせてくれました。

当時の課長をはじめ、JAバンク事業部には長年をかけて培ってきたプロジェクトマネジメントの文化が根付いていました。ミッションクリティカルな基幹システムを、強固なガバナンスを持つお客様とともに構築する中で、明確な開発標準に加えて、品質分析・評価やトラブル発生時の振り返りプロセスなどを体系的にまとめ、共有していたのです。

その薫陶を受けた下川原も、入社3年目を迎える頃、初めてプロジェクトリーダーに抜擢されます。そしてプロジェクトマネジメントの経験とスキルを身につけ、4年目には課長に昇進。一見、順風満帆に見えますが、本人は「むしろ失敗の連続でした」と苦笑いを浮かべます。

一度、基幹システムの大規模更改で複数のサブシステムを担当したのですが、そこで詳細設計書の品質が求めるレベルに到達しておらず、開発工程を延伸せざるを得ない状況に陥ったことがあります。

頭を抱えるほど悩んだ時、下川原は直属の部長や目をかけてくれる他部署の上司に相談にいきました。そこで返ってくる答えは厳しい叱責ではなく、「大変でよかったじゃないか。成長できるチャンスだね」「下川原の思った通りやればいい」といった背中を押す前向きな言葉ばかりでした。

上司は私を叱るのではなく、再発防止の施策を一緒に考えてくれました。それに問題の工程については「俺が面倒見るから」と他部署からもメンバーを集め、お客様説明も含めてリカバリーに奔走してくれたのです。失敗しても決して諦めず助け合う、思いっきり挑戦できる環境があるというNTTデータの文化を実感しました。

当時の下川原にとっては苦い体験だったはず。しかし、失敗した体験やその過程を振り返ることが、彼のプロジェクトマネジメントスキルを磨く財産となりました。事実、自身が体験した「当事者ではなくプロセスを責める姿勢」や「チームワークで課題を解決する文化」を、下川原は部長となった今、組織づくりに大いに活かしています。

若手の成長のために「目立つ機会」を提供したい

2021年、下川原は現在のしんきん事業部に異動しました。最初のミッションは、培ってきたプロジェクトマネジメントスキルを活かし、当時さまざまな課題が顕在化していたインターネットバンキングシステムの品質改善を行うこと。そこで下川原はお客様や開発メンバーへのヒアリングを徹底して行い、上長の部長陣をはじめ担当の課長・リーダー層が一丸となって、開発プロセスの分析・評価に着手。その上で、ひとつの方針を打ち出しました。

私が発信したのは、「頑張らないでください」というメッセージです。メンバーは皆、素直で真面目な人間ばかりで、お客様の要望をすべて叶えようと頑張り過ぎている状態でした。そして次第に空回りし、取り組むべき課題の優先順位づけができず、システムにひずみが生まれてしまっていた。

そこで品質に関するレビューは徹底的に行いつつ、業務マネジメントはメンバーの特性とキャパシティを見極めながら丁寧に実施していきました。その積み重ねを1年ほど続けた結果、インターネットバンキングシステムは大幅に改善し、お客様からの信頼も回復することができました。

ひとつの壁を乗り越えた下川原。現在は同システムの運用に加えて、信用金庫様のメインユーザーである中小企業のデジタル化を促進するべく、身近で使いやすいタブレット・スマートフォン向けアプリの企画・開発などにも着手しています。

お客様に喜んでいただけるのはもちろん、最近は若手メンバーが成長する姿を見るのも大きなやりがいです。私ばかりが褒めるのにとどまらず、お客様や他部署からも評価されるように、例えば打ち合わせや説明の場を任せるなど、なるべく目立つ仕事の提供を心がけています。

メンバー一人ひとりがさまざまな出会いに恵まれ、幅広い人財とつながることで刺激や成長を得て欲しい。そして自分なりの夢や目標に向かって前進してほしいと、下川原は目を細めます。

この15年間におけるさまざまな人・プロジェクトとの出会いは自分の人生にとって本当に大きな財産だと感じています。これから入社してくる方も、「プロジェクトマネジメントに挑戦してみたい」「金融業界の変革に貢献したい」など、何か目標があればその実現に向けた成長ができるはずです。NTTデータならばさまざまなチャンスがありますから、ぜひ積極的に行動してほしいですね。

下川原が身につけてきたプロジェクトマネジメントスキルは、しんきんインターネットバンキング担当のメンバーたちに着実に受け継がれています。今後目指すのはより強固なチームへと発展し、お客様と二人三脚で新サービス創出に挑戦し、お客様、そしてその先のお客様の課題解決にも寄与していくこと。これからも失敗を恐れず、むしろ成長の糧に変えて、下川原は仲間たちをリードし続けていきます。

※掲載記事の内容は、取材当時のものです