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既存のSIを超え、流通・小売業界のデジタル変革をリードする。流通サービス事業部が創造する顧客体験の未来

インターネットやデジタルテクノロジーの急激な進化によって、私たちの消費行動は大きく変わりました。10年前と比べてみれば、その変化の早さには驚かされるばかりです。さまざまな業界の中でも、こうした激しい変化にもっともダイレクトに接しているのが、一般消費者に向けてビジネスを展開している流通・小売業界だと言えます。今回は、流通・小売業界のお客様を支援している流通サービス事業部の3名が集まり、流通・小売業界におけるDXの現在地や、従来のシステム開発とは異なるアプローチで変革に挑んでいる様子を語ってもらいました。

目次

Profileこの記事に登場する人

デジタル変革のパートナーとして。大規模SIの“先”に挑む流通サービス事業部

――流通サービス事業部とはどのような組織なのでしょうか?

安藤

流通サービス事業部は、グローバルに事業を展開する流通・小売業のお客様に対し、ECサイトと分析・情報系システムの開発・運用を提供するところから領域拡大をしてきた事業部です。

有馬

特に近年はお客様のパートナーとしてデジタル変革に取り組むことが増えています。上流からのコンサルティングで業務課題解決の道筋を描き、顧客接点とデータ分析を中心としたオファリングを武器に、お客様のビジネスへの貢献を行っています。

坂本

その先にあるのはエンドユーザーである消費者の方々の購買体験の変革です。NTTデータが強みとしてきた従来のシステム開発・運用だけでなく、お客様の業界の動向を敏感に察知し、新規サービスを自ら企画していこうという活動に注力しています。

――SIとはまったく異なるアプローチで変革に挑戦しているのですね。具体的に、今みなさんはどのような業務に携わっているのでしょうか?

安藤

私は公営くじの公式サイトにプロジェクトマネージャーとして携わっています。このプロジェクトはこれまで我々が流通・小売業界で培ってきたECサイトや分析、売り場端末、スマホアプリなどの購買体験の変革におけるノウハウを横展開し、従来、紙媒体販売しかなかった公営くじのデジタル化、店舗とECサイトのOMO化などを実現していくことがミッションとなっています。大手銀行が直接のお客様であり、コールセンター、ポイントカード発行など付帯する各システムやBPOについてもNTTデータが担当しています。サービスの特性上、ピーク時期には膨大なトラフィックが見込まれますが、けっして止めることができないミッションクリティカルなシステムであり、金融システムに準じるレベルの高さが求められます。

有馬

公営くじのサイトの初期開発には私もWebディレクターとして携わっていました。その後、某エンターテイメント企業の新規サービスの立ち上げと開発に携わり、現在は某商業施設を開発・運営する大手デベロッパーのお客様のECサイトの再構築プロジェクトを担当しています。今のミッションは、リアル施設とデジタルチャネルを活用した、新しい体験価値の提供を実現することです。

坂本

私は2021年に育休から復帰し、現在はインタラクティブ動画を活用した流通系の新規サービス企画においてチームリーダーを担当しています。実現したい世界観は、「Emotional Retailtainment(感動+小売+娯楽)」。「顧客の記憶に残る、ワクワクする買い物体験」の提供に挑戦しています。社内のメンバーだけでなく、グループ会社やスタートアップ企業とも連携しながら企画を推進しているところです。

有馬

坂本さんの事例は、まさに今までのやり方から脱却し、デジタルで新しい価値を創出しようとしている取り組みだと言えますね。こうした動きの背景には、消費者の価値観の多様化が進み、今までのものづくりでは対応できなくなってきたことがあります。特に流通・小売業界では顧客接点がきわめて重要だからこそ、メタバースのような新しいキーワードにもアンテナを張りながら、OMOの世界をつくり上げようとしています。

安藤

今までのシステム開発が一種のコモディティと化し、加えて、お客様自身も新しい領域に挑戦しようとしている中で、これまでのSIでは価値を創出することが難しくなっていると言えます。

坂本

そうですね。お客様のパートナーとしてデジタル変革を推進するには、システムだけではなく、お客様の業務についても深く理解しなければいけませんし、間違いなくこれまでと異なるものが求められていると実感しています。

――今までとは異なるケイパビリティが求められているのですね。そうした中、流通サービス事業部の強みはどのような点にあると考えていますか?

安藤

公営くじのプロジェクトでは金融システムに準じる厳密さが求められるとお伝えした通り、自動車で言うネジのひとつまで決めていくような緻密な作業が必要です。信頼性の高い要求に応えていくのは、まるで医者のようだと感じることもありますね。そして、こうした品質の高いものづくりがベースにあるということは、企画においても活きます。開発現場を熟知しているからこそ、現実味のない企画にならず、地に足のついた提案ができるのはNTTデータの強みですね。お客様からしても、「NTTデータが提案する以上、不可能な企画は持ってこないだろう」と思っていただいています。

有馬

安藤さんの話とも近いのですが、今、私が携わっているプロジェクトは大規模SIで複数のサブシステム領域を担う会社やチームが動いており、そこで課題になるのが消費者の価値観の多様化に柔軟に対応しながら開発をリードできる人財の不足です。お客様としてもデジタル人材の不足に悩まれている中、NTTデータのようにプロジェクトマネジメントの作法を理解していて、チームを牽引できる存在はより一層求められていると感じます。

安藤

やりたいことがいくらたくさんあっても、まとめる人がいないと実現しませんからね。特に私たちが向き合っている流通系・小売系のお客様の場合、エンドユーザーに直接リーチしているからこそ、やりたいことの数はとても多いんです。だからこそ、しっかりとお客様の要望を捉えながら、地に足のついたものづくりができることはなおさら重要になります。

坂本

そうですね。今はクラウドのソリューションを使って簡単にサービスをつくることもできますので、「とりあえずつくってみよう」というケースも増えていますよね。特にこうした傾向が強いのが、データ分析周辺の業務です。ですが、データで何をしたいのか、本当にシステムをつくる必要があるのか、その後の運用はどうするのか、というところまで考えることが大切です。安藤さんの言う通り、地に足のついた企画を考えることの重要性は高まってきていますね。

前例がない、だから面白い。社会にインパクトを与える仕事に挑める

――システム開発のコモディティ化や顧客接点の多様化が進む中で、相対的に堅実なものづくりの重要性が高まっているのは面白い動きですね。みなさんが感じている、流通サービス事業部で働く醍醐味を教えてください。

安藤

私の担当プロジェクトに関して言えば、OMOの好事例を国内有数のビジネス規模で体験・運営できることが面白みだと思います。初期開発からお客様と一体となってシステムとサービスを開発してきた背景があるからこそ、私たちがイニシアティブを取りながらUXの検討を進められています。

有馬

私の今のプロジェクトも、大規模EC、マルチベンダー、マイクロサービスといったキーワードが並ぶ難易度の高いプロジェクトであり、かつ大手デベロッパーのお客様のビジネスの中核となるOMO基盤を構築してビジネスの貢献できるという醍醐味があります。社会に大きな影響を与えることができ、自分自身が面白いと思える仕事に携われているのは、流通サービス事業部の魅力だと思います。

坂本

なんと言っても正解がないこと、そしてゼロからつくりたいサービスを描けることだと思います。「Emotional Retailtainment」という世界観を作ってから現在に至るまで、ユーザーのどんな課題に対して、どんな体験を提供したいのか、メンバーと何度も行ったり来たりの議論を重ねてきました。検討を進める中で、実現性やビジネス性などのいろいろな観点で課題があり、振り出しに戻ることもありましたが、検討を進めるうちに今までの議論がパズルのように組み合わさる場面も度々あり、継続の重要性を感じているところです。

例えば、これまでの検討事項が既存のECや現行のシステムにも活かせるという発見もあったのですが、それは今までシステム開発に向き合ってきて、多くの情報が入ってくるNTTデータだから気づけた発見でした。お客様のリアルな声を聞き、開発現場の実態もしっかりと理解しながら企画に取り組めるからこそ、夢物語ではない挑戦ができるのだと考えています。

――先進的な事例が多く、かつ社会にダイレクトに影響を与えられる機会が多い点が流通サービス事業部の特徴だと言えそうですね。みなさんはどのような点に仕事の面白さを感じますか?

安藤

自分たちの携わってきたサービスが世の中にリリースされて、多くのユーザーに利用いただけている時ですね。リリースの後、じわじわと利用者が増えていったり、ふとした時に「使ってますよ」という声を聞いたりと、後からやりがいを実感することも多いです。

有馬

私のキャリアで一番テンションが上がったのは公営くじのサイトオープンでした。たしかに安藤さんの言う通り、後からじわじわとやりがいを感じることもあるのですが、その時には関係者みんなでカウントダウンをして、オープンのボタンを押して、大きな歓声が上がりました。アクセス数が上がっていくのを見ながらメンバー同士で喜び合って。子供にも自慢できる仕事ができたと思いました。

安藤

私はまだ新しいサービスを世に送り出す手前にいるので、本当の意味での達成感はまだ先にあると思いますが、企画という営みの面白さは日々感じています。自分なりの仮説を持ってお客様と議論をし、今の方向性に自信を持つこともあれば、予想外の課題が出てくることもあったりと、いろいろな発見があります。多くのお客様と直接話ができるのは、リレーションを持っているNTTデータの強みですし、お客様のリアルな声を知っていることが企画を形にしていく上で大きな武器になりますね。

強い意志を持った「前向きなわがまま」が、まだ世にない価値を生む

――流通サービス事業部が求める人物像を教えてください。

安藤

まず開発に関して言うと、「何でもできる」というゼネラリストよりは、何かしらの一芸を持っている人が望ましいです。人には誰でも得手不得手がありますが、得意なことに取り組んでいる方が楽しく、かつ成果も出しやすいものです。とはいえ、もちろん自分の得意領域だけで問題を解決できるとは限らず、周囲の協力を得ながら解決していく場面の方が多いです。特にNTTデータは技術の会社なので、一人ですべてができるというより、「この分野なら誰にも負けない」という人が集まった方が価値を発揮できます。

有馬

企画寄りの話をさせていただくと、「前向きなわがまま」な人が多い組織になってほしいと思っています。従来型のシステム開発は、お客様の要件があり、決められた開発手法にのっとって計画を立て、着実に進めていくことが求められていました。ですが、現在はお客様と一緒にビジネスをつくり、正解のない中でゴールに向かって試行錯誤しながら進むことが求められています。そのためには、言われたことを言われた通りにやるのではなく、熱量を持って、前向きに、わがままになって意見を出し合い、ゴールを探していく力が必要です。

坂本

そうですね。特に新規事業領域は1〜2年ですぐに成果が出るようなものではありません。何年も、複数の事業を継続的に取り組んで、やっとひとつ成功するものがあるかどうかという世界です。ある意味、成功するまでは、すべて失敗であり、実験です。だからこそ、自分の意思を持っていることは重要ですね。

――有馬さんの言う「前向きなわがまま」を体現しているのが坂本さんだということですよね。

有馬

そうですね。特に企画という仕事には正解がないので、いろいろな人から、さまざまな意見が寄せられます。そんな中で、自分の意思を持って突き進めるかどうかは企画において重要です。私自身、上司として坂本さんに接してきて、最近では良い意味で「わがまま」になってきたと思います。

坂本

ありがとうございます(笑)。企画を通すには突破力が必要ですし、それこそが私の役割なのかなとも思っています。仮に失敗しても、それが間違いだったと分かること自体も収穫なので、恐れずに突破するように意識しています。

安藤

ひとつの失敗で経営が傾くことは考えにくいので、積極的にチャレンジしやすい環境だと思います。若いメンバーであってもどんどんチャンスを与えられるのはNTTデータ全体に言える風土です。私自身も、サーバント・リーダーシップを理想としており、ボトムアップで変化を生み出していきたいと考えています。

有馬

チャレンジの機会の多さは安藤さんの言う通りですし、流通・小売系のお客様と一緒に世の中の常識を変えるようなチャレンジができるのが流通サービス事業部の魅力です。そして10年後には、「昔はそんな不便なことしてたの?!」と驚かれるような変化を生み出していきたいですね。

顧客接点やテクノロジーが多様化し、「やりたいこと」があふれる時代だからこそ、今本当に必要なのは夢物語を描くだけでなく、実装まで責任を持って完遂できる存在なのかもしれません。流通サービス事業部はお客様のパートナーとして変革を成し遂げ、社会を変えるようなインパクトを生み出そうとしています。

※掲載記事の内容は、取材当時のものです