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アフターコロナで変化する購買体験。新規ビジネス創出に必要な「3つの要素」

消費者のニーズや購買動向が大きく変化している小売業界。顧客情報や購買データを活用し、時代の変化に合わせた新規企画が求められています。多様な分野の事業企画に携わってきた中嶋洋介が、入社してからの取り組みやNTTデータの新規事業について語ります。

目次

新しいことに失敗はつきもの。だからこそチームづくりが大切。

中嶋 洋介
ITサービス・ペイメント事業本部
SDDX事業部 マーケティング統括部
デジタルマーケティング担当

NTTデータに転職する以前、中嶋は大手クレジットカード会社の商品企画として電子決済に関わる新規サービスの企画推進を担当していました。責任とやりがいを感じながら仕事に臨んでいた一方で、「決済」以外のサービスに挑戦したいという思いが段々強くなっていったと、中嶋は当時を振り返ります。

中嶋「良くも悪くも“これまでにないこと”を求めてしまう性格なんです(笑)。若い頃は4~5名のベンチャー企業にいたこともあったのですが、いつも“新しい技術や発想があるか”“自分が面白がることができるか”といった感覚を大切にしてきました。新規サービスに携わるようになってからも、企画とはいえ違う領域での企画を、と刺激を求めていたのは確かです。」

転機は2019年に訪れました。NTTデータの新規事業開発の求人を偶然見つけたのです。中嶋はすぐに応募手続きをとり、同時にかつて同じプロジェクトで一緒に働いていたNTTデータの社員にキャリアの相談をしました。NTTデータであれば決済領域だけでなくITを軸に幅広いサービス開発に携わることができる上、お客様の多くは日本を代表する大手企業なので、社会に大きな影響を与える仕事ができる。中嶋は話を聞くほどに自分の気持ちが高まっていくのを感じたといいます。また一緒に働いていたメンバーの優秀さを肌で感じていたことも転職の決め手になり、選考を経て転職をすることになりました。

中嶋「入社して驚いたのは、チームメンバーのユニークさですね。まず立ち上げメンバー全員はお互いに友人のようですごくフランクでした(笑)。例えば、部長と課長があだ名で呼び合うだとか。新しいメンバーがジョインするたび、事業部長を中心にまず”あだ名はどうしようか”という議論が始まるわけです。これまでの私の社会人経験からは信じられない光景でした。」

そう語る中嶋もフランクな口調で、スタートアップの社員だと言われても不思議ではありません。メンバー同士の距離が近く、課題にぶつかってもメンバーや上司と一緒に、自由闊達な議論ができる。こうした環境は、成功パターンやフレームワークがない新規事業の企画を担う事業部には必要不可欠な要素なのでしょう。

中嶋流 企画術「煮詰まったら、現場に向かえ。」

入社して3カ月後、中嶋は現在のSDDX事業部へ異動することになります。与えられたミッションは、前の部署から引き継いできたインバウンドサービスの立て直しでした。

ビジネスパートナー企業の社長とサービスの方向性について熱っぽく議論してオフィスに戻った中嶋に、ふらりと事業部長が歩み寄り声を掛けました。「あの後、〇〇さん(ビジネスパートナー企業の社長)と話をしたんだけどさ。やっぱり形にできるのはお前しかいないから、頼むぞ。」

中嶋「いま思うと、事業部長にうまく乗せられたな(笑)と思いますね。」

冗談交じりに笑いながら、中嶋は当時を振り返ります。

しかし「わかりました」と答えたものの、中嶋はすぐに企画に煮詰まってしまいます。

そもそも訪日外国人は、どこで、どんな風に買い物をするのだろうか?

オフィスでずっと考えていてもきりがないと判断した中嶋は、早々に仕事を切り上げ、豊洲のショッピングモールに足を運びます。訪日外国人が実際にショッピングをする様子や免税カウンターで話している内容をつぶさに観察しました。また別の日には銀座の小売店などを訪れては彼らの購買行動を調査し、オフィスに戻ってからはコンサルティング部門のメンバーと意見交換をする、という日々を繰り返しました。

中嶋「当時、外国人の“爆買い”が話題になっていました。彼らはあらかじめECサイトで商品を購入し、商品発送ではなく“日本の店舗での受け取り”にします。その後、ECサイトの購入をキャンセルし、訪日後に改めて商品を店舗で購入するのです。そのような行動をする理由は、免税を受けるためです。こうした購買行動に着想を得て、私は新しい取り置きサービスができないかと考えました。」

取り置きサービスを実施していた百貨店や家電量販店からヒアリングを行い、すぐに新規サービスを企画しました。残念ながらインバウンドサービス自体が終了したため、新規サービスは日の目を見ることはありませんでしたが、中嶋はプロジェクトを通して、社内外の専門家とのつながり、そして市場についての深い知見を得ることになりました。

世の中が大きく変わろうとする今こそ、新しいサービスを生み出すチャンス

現在中嶋は、ポイント・会員管理のクラウドソリューション「CAFIS Explorer」を導入いただいたお客様に向けた、新たなソリューションを構想しています。

中嶋「素晴らしいマーケティングツールや有益なデータがあっても、それを使いこなせるマーケターやデータサイエンティストは常に不足しています。私たちはそこに着想しました。

CAFIS Explorerと取得した購買データ等をつなぎ、売上や客単価、来店率の向上のために何をすべきかというお客様の経営判断を支援する―。そんなデータ分析ツールを構想しています。

いまプロジェクトは、市場のニーズやビジネスのスケールの可能性を調査分析しては検証を繰り返す、企画で最も大変なフェーズにあります。」

コロナウイルスの影響で、現在消費者の購買行動は急速にオフラインからオンラインに移り変わりつつあります。こうした急激な変化のなかでは、過去の常識やデータに固執していては新しい発想は生まれません。現場に足を運び、様々な視点から考え抜いた仮説を、繰り返しお客様にぶつける。一見遠回りのように見える地道な取り組みのなかにこそ、ブレイクスルーがあると中嶋は信じています。

中嶋「企画には“遊び”が大切だと考えています。メンバーとの何気ない会話、本業に関係ない知見が企画につながることが時々あります。常にアンテナの感度を高くし、得られる情報を企画につなげることで、私らしい、NTTデータらしい新しいサービスを世の中に提供していきたいですね。」

企画を世に出すプロセス自体を楽しむ中嶋が生み出す新しいサービスにぜひご期待ください。

※掲載記事の内容は、取材当時のものです