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“お客様の課題”の先にある“社会の課題”。その解決のためにビジネスを創造する醍醐味

25年前、自分自身の成長と社会への貢献を最も強く実現できる就職先として、NTTデータを選んだ吉本 幸司。その願いは業務システム開発の現場で、組織変革の最前線でと舞台を変えながら少しずつ形となり、今は新設された「グローバルカスタマーサクセス室」の室長として実を結ぼうとしています。従来からの金融業界への支援とともに、未知の世界への挑戦もミッションの1つに組み込むこの部署で、吉本はどのような組織を育てようとしているのでしょう。「今までのやり方に縛られることなく、価値最大化への最善の道へお客様を導きたい」と語る吉本の仕事観、組織観、人財観を聞きました。

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あらゆる業界に接点を求め、新しいサービスの芽を育てる

NTTデータは2022年7月、新しい中期経営計画の達成に向けた組織再編の一環として、金融イノベーション本部を新設しました。業界を超え、分野の垣根を越えて企業をつなぐこの組織のリーダーの一人として、グローバルカスタマーサクセス室を牽引しているのが吉本です。その役割は、銀行や証券会社、リース会社といった金融業界の既存のお客様に対するサポートと並び、金融とはまったく異なる業界のお客様とともに新しいビジネスの輪を広げることにもあるといいます。

例えば、ファッション産業では「衣服ロス」が大きな社会問題となっています。国内で供給される洋服は年間約30億着に上るといわれますが、そのうちの約半分が売れ残って捨てられているのが現実です。これをデジタルの力で何とかできないかと考えて、アパレル業界とともに解決に資するビジネスを模索しているところです。つまり、「社会課題に立ち向かうこと」が私たちの掲げるミッションの1つです。

環境省によると、衣服の生産に伴うCO2排出量は1着当たりの換算で約25.5kg(ペットボトル約255本製造分)、水の消費量は約2,300ℓ(浴槽約11杯分)にも及びます。衣服ロスの削減に努めることは、地球環境への負荷を減らし、持続可能な社会に近づくための取り組みでもあるのです。

こうした視点にデジタル領域を掛け合わせてビジネスを見つめ直すとき、吉本たちが拓こうとする新しい道が見えてきます。例えばそれは、メタバースの仮想空間でアバターに着せた3Dの服を販売し、そこから得られる需要予測をもとにリアルの生産計画を立てることで余剰を抑える。そんな衣服ロス削減ビジネスとなって結実します。

ではなぜ、金融イノベーション本部に属しながら、異業種にも働きかけるのでしょう。吉本の答えは明快です。

金融というのは詰まるところ、あらゆるビジネスに必要な機能の1つなんです。経済活動があるところには必ず決済の仕組みがあり、したがって金融が関係しますから、業種に縛られる必要はどこにもありません。

「お客様起点」で課題を見出し、ビジネスを先導する

新しい領域で新しい事業を追うことだけが、グローバルカスタマーサクセス室のミッションではありません。金融領域のお客様に伴走しながら、社会インフラとして重要な意味を持つ既存の金融システムを支えることや、DXによってそこに新たな変革の芽を見出すことにも注力しています。ただし、従来からの仕事のやり方には囚われず、お客様にとっての価値を最大化することにこだわりたいと、吉本は言います。

システム開発の仕事を例にすると、お客様からいただく提案依頼書(RFP)に沿った内容で案件を起こし、品質の高いものをしっかりつくって納品するというのが定石でしょう。しかし、私たちはそれだけに終始せず、その案件の一歩でも二歩でも先を見て、お客様が想定されている以上のものを提示することを心がけています。変化の激しいこの時代、近い未来に起こることを見据えて今、何をすべきかというForesightの視点が欠かせないからです。

その意味で、私たちはお客様の伴走者というよりも、お客様のビジネスを成功へと導くイネイブラー(後援者)であり、よきコンサルタントでありたいと願っています。既存のお客様にも新規のお客様に対しても、その立ち位置に違いはありません。

そうであるためには、まずお客様の課題を見極めて、そこを起点に物事を考える姿勢が大切です。吉本自身が身をもってそのことを痛感したのは、入社10年目、東京証券取引所の組織変革をIT面から支援するために出向したときでした。吉本は少しでも役に立とうと組織やシステムの理想像を熱く語りましたが、突然現れた30代のよそ者に耳を貸してくれる人はほとんどいなかったといいます。

変化が訪れたのは意識を変えてから。相談役然とした姿勢で言いたいことを言うだけでは、本当の課題を共有することはできないと気づいた吉本は、いろいろな立場の職員に自ら話しかけ、相手の懐に入って話を聞くことに時間を割きました。すると、そこから次第に霧が晴れるように仕事が回ることになったのです。

お客様と同じ立場で課題を探り、同じ目線で解決策を考えることがいかに大切かを学べた2年間でした。私たちのチームが今、個々のお客様の課題について誰よりもよく知るコンサルタントであることを目指し、戦略立案からシステム構築、活用支援、エンハンスまで一貫してお手伝いできるよう努めているのもそのためです。

個で励み、チームで成し遂げるチャレンジャー集団

そんなチームを率いる吉本が今、室長として思い描いているのが、「個の力×組織力」で相乗効果を高める組織のあり方です。

8年ほど前に当時はまだ確立されていなかった生体認証技術を使った新しいサービスを立ち上げるべく、あるメガバンクの案件を担当したことがありました。いざ動いてみると難題が山積みで、このままではお客様の望む要件を満たせないとなったとき、社内はもとよりグループ会社からも技術や開発の精鋭たちが集まってくれました。結局、NTTデータグループの総力を集めたワンチームの働きで、特許7件を取得するほど高難度の技術開発を伴うプロジェクトを完遂。このときほど強くチームの力を感じたことはありません。

技術、開発、営業、コンサルティング、プロジェクト管理…。それぞれの職域で自分の得意分野に磨きをかけることに懸命なメンバーがいるからこそ、その力が1つに結集したときの熱量もまた大きく、未知の領域に立ち向かうエネルギーが生まれます。そう語る吉本の組織観は同時にまた、人財観にも通じています。

何かにチャレンジする気持ちだけは持ち続けてほしいですね。仕事を続けていく中で難度の高い問題や壁は必ず現れます。そのとき簡単に諦めないこと、自らの意志を持って打開策を探ろうとすること、周囲の優れた知恵を持つ人たちを巻き込むこと。そうすればきっと、自分自身が成長するし、面白い仕事にもめぐり会えるはずです。

グローバルカスタマーサクセス室のメンバーにとって、今がまさにそのときかもしれません。社会課題への挑戦という新しい使命のもと、どんな世界を切り拓くかは自分次第。AIやブロックチェーンといった新技術を活用した解決策もあれば、そうした領域で必要となる新しいルール形成に目を向けてもいいでしょう。カーボンニュートラル実現に向けたGX(グリーントランスフォーメーション)の切り口は、ファッション産業がそうであるようにさまざまな業界に広がっています。

それらを見出し、どこまでも広げていく醍醐味が、「自分の成長と社会への貢献を最大化できる」ことを理由に25年前に入社を決めて以来、吉本がずっと抱き続けてきた仕事のやりがいです。

※掲載記事の内容は、取材当時のものです