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課題を自ら探索し、定義する。アジャイル開発を武器に、アイデアをカタチにし、銀行のDXを推進

テクノロジーや生活様式などの変化が加速している時代において、システムのあり方も以前とは変わってきています。特に勘定系システムは銀行のコアでありながら、柔軟性や変化への対応力が求められています。そのような中、DX開発チームでAPIやクラウドの活用による、柔軟な外部サービスとの接続や銀行システムとの連携を実現できるデータ連携基盤の開発に取り組む第三バンキング事業部の3人に話を聞きました。

目次

Profileこの記事に登場する人

今までの開発とは異なるアプローチで銀行業務のDXに取り組む

――第三バンキング事業部が提供している共同利用システムのMEJARは、大規模な更改を控えています。現在のプロジェクトの状況を教えてください。

村上

MEJARはⅢ期更改を控えており、現在はリリースに向けた最終段階に入っています。地方銀行5行が共同利用する勘定系システムをメインフレームからオープン化するというマルチバンクでは日本初の取り組みであり、社内外から注目されているプロジェクトです。

――その中で、皆さんはどのような業務を担当しているのでしょうか。

村上

私たちのチームではMEJARのデータ連携基盤の開発を行っています。データ連携基盤は勘定系システム本体と周辺のアプリケーションをつなぐ役割を担っており、銀行業務のDXにおいて欠かせないものです。例えば、これまでお客様が手作業で実施していた端末操作や事務手続きを自動化し、事務負荷を軽減することができます。また、お客様のさらにその先のエンドユーザーへ銀行店舗への来店不要となる非対面サービスを提供することで、エンドユーザーの利便性向上にも繋げることができます。

データ連携基盤とは

――改めて伺うと、今、なぜ銀行のDXが必要とされているのでしょうか。

村上

今はVUCA(変動性、不確実性、複雑性、曖昧性の頭文字を取った言葉)の時代とも言われます。変化が加速している中、今までの勘定系システムでは新しいことをやろうにも改修に時間がかかり、時代の変化に対応することが困難になっています。

――そういった流れの中、開発のアプローチはどのように変わったのでしょうか。

村上

はい。私たちは、アジャイル開発やクラウドサービスの活用など、新しい方法を取り入れながらデータ連携基盤の開発を行っています。さらに、私たちが対峙するお客様も、IT部門の方々からユーザー部門や業務部門、デジタル戦略部など、それまでとは異なる方々と一緒に仕事をするようになりました。今までのように「システムありき」で物事を考えるのではなく、「何を実現したいか」からシステムを考えるのも大きな変化です。

――ここからは具体的な取り組みも伺いたいと思います。村上さんというグループリーダーのもと、長谷川さんと鳥谷さんはどのような業務を担当しているのでしょうか。

長谷川

私はデータ連携基盤の業務開発のチームリーダーとして、常時稼働している複数のプロジェクトをマネジメントしています。各銀行様の課題から、どのような解決策があるか、どのようなシステム提供によって事務が効率化、コスト削減できるのかなどを検討し、プロジェクトの計画策定や要件検討からリリースまでを見ています。

鳥谷

私は銀行様の営業店の業務を店頭タブレットで行うためのシステムの機能追加を担当しています。要件定義やお客様との調整窓口を担当し、小規模なプロジェクトではリーダーを任されています。

――先ほど、今までのシステム開発とは作り方が変わってきているというお話がありました。実際の業務を通じて、どのような難しさを感じていますか?

長谷川

価値のあるシステムを作るためには、お客様の課題を捉えて解決することが必要です。ユーザー部門の方々と対話を重ねていますが、本当の課題を定義するのは簡単ではありません。また、今は数多くのソリューションが存在しますが、何を使えば最適なのか、最新の情報をキャッチアップし続ける必要もあります。

鳥谷

アジャイル開発では、お客様の要望を取り入れながら短期的なサイクルで開発を行っていきますが、同時に金融システムに求められる品質の高さを担保することに難しさを感じています。特に第三バンキング事業部自体、勘定系システムを提供してきた部署なので、品質の高さに対しては強い責任感を持っています。

村上

一方で、実際に画面を見てみたり、使ってみないと分からない問題も多々あります。アジャイル開発ならではのメリットもあると感じています。スピード感は違うとはいえ、設計書の内容をプログラムに落とし、試験を行うというシステム開発の流れはウォーターフォールと変わりません。アジャイルだから品質が担保しにくい、ということはありませんね。

品質に関する知見を活かしながらも、新しい手法に積極的に挑める

――以前、村上さんは勘定系の業務開発を、長谷川さんは営業店システムの開発を担当されていたそうですね。当時の経験が現在のDX開発でも活きていることはありますか?

村上

私自身というよりはチーム全体の話になりますが、勘定系では開発のプロセスが非常にしっかりしており、そのことは今のチームでも活きています。勘定系の開発プロセスとは、いわば100点を取るための方法です。100点を取るには何をどれだけやる必要があるのか理解していることで、スピーディに進めていくアジャイル開発においても「このくらいがお客様の試験環境へ提供できるレベルだろう」と感覚的に把握でき、結果として品質の高い開発ができます。

長谷川

私も村上さんと近い部分はありますね。MEJARの営業店システムの時には、ステークホルダーのマネジメントや調整を通じて品質向上に取り組みました。その時の経験があったからこそ、品質担保において重要な勘所を養うことができたと思います。

また、現在は銀行の方々が手で行っていた作業をデータ連携基盤によって自動化していこうとしています。営業店システムの時の経験を活かし、実際の事務業務をイメージしながらお客様と会話できるのも大きなメリットがあります。

――一方で鳥谷さんは新卒で入社して以来、DX開発チームで働いていますが、どのような経験やスキルが得られていますか?

鳥谷

最初はいち開発者としてスタートした後、小規模案件のリーダー、開発リーダー、案件の初期検討や要件定義など上流工程への参画など、徐々にステップアップしながらさまざまな役割を任せてもらってきました。スピード感のあるアジャイル開発なので、短いサイクルで案件の最初から最後までを経験し、早いスピードでPDCAを回すことができました。お客様との対話の機会が多いのも良い経験になりました。

村上

鳥谷さんに任せた案件はトラブルもバグもなく、正確に進めてくれて、逆に私がコツを教えてもらいたいくらいです(笑)。

長谷川

そうですよね。初めてのDX開発を進める中でも、お客様や開発メンバーへ積極的な働きかけを行いながら、周りの意見を自分なりに咀嚼して、考えをブラッシュアップしていく姿は素晴らしいな、と私も感じていました。

鳥谷

とんでもないです。周りの方に教えてもらいながら、「次はこうしよう」と一つひとつ意識して改善していきました。

――DX開発チームで働く醍醐味ややりがいを教えていただけますか。

村上

グループリーダーとしては、皆がお客様のやりたいことを実現して、自分たちもうれしそうにしているのを見た時にやりがいを感じますね。また、勘定系システムとの違いとして、クラウドのソリューションの新しい機能を採用するなど、新しいことにも取り組みやすい環境があるのも、メンバーとしては面白いのではないでしょうか。

長谷川

より現場に近い目線で言うと、銀行様の事務レスや効率化に対するサービスや課題解決するためのサービスを提供でき、その効果が目に見えるのは仕事の手応えを感じられます。お客様から感謝の言葉をいただけることもありますね。お客様と一緒にプロジェクトを進めていくので、プロジェクトの難所ではお客様と本当に一体となって取り組めている感覚もあります。

鳥谷

私も長谷川さんと同じく、お客様と一緒にものづくりができるのは、この仕事の難しい点でもあり、やりがいでもあると思います。また、データ連携基盤は勘定系システムと周辺システムをつなぐハブになるので、他のベンダーと協力する機会も多く、NTTデータ以外のカルチャーに触れられるのも新鮮味があります。

――お客様と一緒に取り組むという点で言えば、課題を探すという上流から携わる機会も増えていると伺いました。

村上

はい。以前は、お客様から要望をいただいて動き出すのが一般的なスタイルでしたが、こちらから課題解決の方法を提案する機会も増えてきました。

長谷川

そうですね。私自身の例として、実際に地方銀行のお客様の業務を見せてもらい、困りごとを直接ヒアリングしたこともあります。お客様の中期経営計画の実現に寄与するために、現状の取り組みだけでは不十分であることが分かったからです。そこで私は実際に業務・事務を見せてもらい、現場の状況も理解した上で、データ連携基盤を活用した業務効率化を提案しました。

コミュニケーションの盛んな環境から、新しい価値が生まれる

――DX開発チームが目指す姿を教えてください。

村上

お客様からNTTデータに対しては、言われたものを作るだけでなく、コンサルティングや提案が求められていると感じています。勘定系システムという根幹を引き続き支えながらも、お客様のビジネス向上に貢献できるよう新しい取り組みも行っていくという、両面の支援が必要とされています。

長谷川

NTTデータと言えばSIというイメージを持っているお客様もまだ多いのですが、コンサルティングもできるという認識は広げていきたいですね。NTTデータは勘定系システムでの実績や、銀行業務を知っているという独自の強みがあるので、そことコンサルティング力を掛け合わせていけば、大きな価値が生まれると思います。

――従来の強みと新たな能力を掛け合わせてシナジーを生んでいこうというフェーズにあるのですね。DX開発チームが求める人財像についても教えていただけますか。

村上

この仕事では、システムを作るだけでなく、お客様と対話しながら、困りごとや課題を抽出していくことが求められます。お客様と対等な立場でコミュニケーションを取ることに臆さない人、そこにやりがいを感じる人が向いていると思います。

長谷川

そうですね。開発側で言うと、アジャイル開発やクラウドサービス活用などの取り組みは行っているとはいえ、まだまだ開発力も高めていきたいと思っています。私たちにないような開発力や開発手法を持っている方にも期待したいですね。

鳥谷

挑戦できる業務の幅が広く、お客様との調整業務なども求められます。村上さんが話したように、それを楽しめる人が良いと思います。

――皆さんの話を伺うと、一般的な金融のシステム開発の組織とは雰囲気も違うのではないかと思ったのですが、DX開発チームのカルチャーについても教えていただけますか。

村上

新しいことに挑戦できるチームということもあって、活気があり、にぎやかな雰囲気です。アジャイル開発だと必然的に会話も増えることから、チーム内でのコミュニケーションが盛んで、傍から見たら騒がしいと思われているかもしれません(笑)。

長谷川

それはたしかにありますね。それと、自分の裁量でプロジェクトを動かしていける自由度の高い環境です。鳥谷さんのように、お客様の考えていることに若手のうちから触れられるのも、良い成長の機会になるのではないでしょうか。

鳥谷

そうですね。私自身、多くの機会を与えてもらえたおかげで、成長も早かったのかなと感じます。にぎやかという話がありましたが、コミュニケーションが取りやすい風土のおかげで、小さな問題などもエスカーレションしやすいです。何かミスが起こっても、その人を責めるのではなく、プロセスを改善しようと考えるのも魅力的なカルチャーだと思います。

――最後に、皆さんの今後の目標を教えてください。

長谷川

私のキャリアの軸はプロジェクトマネジメントです。開発のやり方にもいろいろありますが、開発面でのマネジメントやプロセスは今以上に改善していきます。そのことが、結果的に自分たちのやりがいや生産性向上はもちろん、お客様のメリットにもなると思います。また、お客様から言われてから行動するのではなく、より中長期的な視野に立ってお客様に提案を行い、ビジネスを拡大していくような動きもできるようになりたいです。

鳥谷

今まで開発で経験を積んできましたが、今後は開発に閉じず、提案力を高めて、できることの「幅出し」をしていくことが目標です。組織に対しては、現状はDX開発チームの内部にノウハウが蓄積しやすい状況があるので、知見を属人化させずに広く展開させていくような活動もしたいですね。

村上

やはりDX開発チームとしては、お客様の要望や困りごとからプロジェクトに取り組むばかりでなく、ゆくゆくは自分たちで問題を定義してお客様に提案し、サービスを提供できるようになりたいですね。それが銀行DXの実現にもつながると考えています。

従来の強みを存分に活かしながら、アジャイル開発やクラウドサービス活用、コンサルティングや提案といった新しい取り組みにも積極的に挑んでいるDX開発チーム。何より明るく楽しそうな雰囲気が印象的で、新しい価値というものは、3人のように前向きな姿勢から生まれるのだと感じられました。

※掲載記事の内容は、取材当時のものです