データとAIの活用の悩みを解決する、オールインワンプラットフォーム
――まずはDatabricksとはどのようなソリューションなのか、その特徴を伺えますか?
井能
Databricksは一言で言うと、「データやAI活用に関するあらゆるユースケースを実現できるオールインワンの統合プラットフォーム」です。近年、社会全体でデータとAIの活用が競争力の大きな源泉となっており、自社のデータを収集・蓄積して、分析や可視化によって課題を把握したり、AIモデルの構築・活用につなげることで業務効率化や新サービスを開発したりすることは、もはや一部の先進企業だけでなく、あらゆる組織にとって必須の取り組みといっても過言ではありません。
しかし、従来こうした取り組みを実現するためには、ストレージ、ETLツール、分析ツールなど、複数のサービスやツールを組み合わせたデータ活用基盤を用意する必要がありました。その結果、基盤構築や運用は複雑化し、活用には各ツールの習熟度を上げるための学習や各サービスの切り替えに多くの時間と労力を費やす必要があり、ビジネス価値に直結しない本質的ではない部分にリソースが奪われがちでした。
そんな課題を解消してくれるのがDatabricksです。Databricksという単一のサービス・プラットフォームを導入すれば、内蔵された豊富な機能やコネクターを活用して、社内外のさまざまなデータソースからスムーズにデータを収集・加工し、そのままシームレスに分析やAI活用につなげることが可能です。これにより、データ活用に伴う複雑さを大幅に解消し、本来注力するべきビジネス価値の創出に集中できます。
奥野
私はAIエンジニアだった前職時代、まさに井能さんがおっしゃるような課題に直面しました。生成AIのアプリケーション開発では、やりたいことが高度化すればするほど、色々なサービスやツールを組み合わせる必要が生まれてくるもの。その結果、接続や権限管理の手間が増え、コストも増大するなど、“AI開発以外の部分”がボトルネックになることが多々ありました。そこで何か良い解決策はないかと情報収集するうちにDatabricksの存在を知ったのです。
――他にもAIエンジニアとして感じたDatabricksの魅力はありますか?
奥野
オールインワンのプラットフォームだからこそ、ガバナンスを利かせやすいというのは魅力ですね。また、技術面で言いますと、需要予測等に代表されるような従来のAI技術では、購買データやCRMデータなどの構造化データが中心でしたが、ディープラーニングとマルチモーダルな生成AIの登場でテキスト・動画・音声といった非構造化データの重要性が高まっています。そのため、データ管理のあり方そのものも刷新すべきだと感じていました。
その点、Databricksは構造化データ・非構造化データの双方を一元管理でき、データの収集と蓄積からAI開発・運用、迅速なデプロイまでend to endで実現できます。その事実を知った時は、こんなクラウドプラットフォームがあったのかと驚きましたし、「今後10年でAI開発のデファクトになりうるぞ」と直感しましたね。
――新設されたDatabricksビジネス推進室が担うミッションを教えてください。
井能
Databricksの普及と進化に貢献することで、「データ・AIの民主化」を果たすことです。公共・金融・法人を問わず、日本全体のデータ・AI利活用のレベルの底上げを行い、あらゆるクライアントが当たり前のようにAI開発やデータ活用を自分たちの手で推進し、新規ビジネスや企業の競争力につながるような機能を開発できる世界を実現すること、その結果として日本の国際的な競争力を引き上げることが最終目標だと思っています。
藤林
これまでDatabricksのユースケースとしてはデータの可視化が中心でしたが、生成AIやLLMの急速な進化によって、ここ1~2年は生成AIの基盤としてのニーズが一気に拡大してきた印象です。実際、金融機関や大手企業への導入実績も着実に増えており、Databricksが持つ価値を提供できるフィールドがどんどん広がっているなと感じています。
――ニーズが拡大している中で、皆さんはどのような業務に取り組んでいるのでしょうか?
藤林
私たちは業界横断型の組織ですので、公共・金融・法人の各インダストリと連携し、Databricksの開発・導入案件に参画しています。
奥野
ただ、ソリューションの専門家としてアドバイザ的に動くだけでなく、リーダーとして実際にプロジェクトを推進していく点も、この組織の大きな特徴だと思います。
井能
たしかに業務範囲は広いですよね。いわゆるお客様向けの案件のリードに加えて、担当外の案件に対するノウハウ提供やレビューといったアドバイザの役割もあります。それにDatabricksのエバンジェリストとして、社内外のコミュニティでの情報発信や新機能の検証も大切な業務のひとつです。
私の場合はスペシャリティが基盤やデータエンジニアリング、データの加工に寄っているので、基盤関連ではセキュリティレベルが高い金融機関のお客様を担当したり、データエンジニアリングやデータ加工の文脈では数千本のインターフェースがあるような大規模データ加工が必要になるプロジェクトなどを中心に携わっていたりします。
藤林
私も基本的な業務は井能さんに近いのですが、もともとPM出身ということもあり、プロジェクト立ち上げに参画するケースが多いですね。
奥野
私は直近ですと、生成AI活用基盤の構築プロジェクトのリーダーを務めており、お客様とは社内のAI活用に関するルール整備などについても話し合っています。また、AIエンジニアの経験も活かしながらDatabricksの利便性を高めるアセット開発にも着手。最近では注目度が高まるAIエージェントにフォーカスし、自動で実験管理や挙動可視化、評価などを行うアセットを開発しました。
最先端をいく組織だからこそ、世界有数の難題に直面することも
――Databricksに携わる中で、成長につながるような挑戦の機会や壁にぶつかった経験などはありますか?
藤林
たしか井能さんは、今の部署が立ち上がる前からDatabricks関連のプロジェクトに取り組んできたんですよね。
井能
そうです。入社1年目に個人的にDatabricksに興味を持って勉強をしていたところ、損害保険業界のお客様の日本最大級のデータ分析基盤をDatabricksにマイグレーションするプロジェクトに挑戦してみないか、と声をかけていただきました。そのお客様は日本の金融機関の中でもさらにセキュリティ意識が高く、データブリックス社からも「世界的に見てもDatabricksの導入事例として最高水準のセキュリティの検討をしている」と言われるほどのプロジェクトでした。開発中は「自分の設計ミスでセキュリティインシデントを起こせばお客様を新聞の一面に載せてしまう」危機感や責任感が常に頭にありましたね。
――それは本当に怖いですね…。どうやってそのハードルを乗り越えたんですか?
井能
今持っている知見では絶対に太刀打ちできないと思い、お客様の期待値を超えるためにも、2000ページ以上あるWebマニュアルを全て読み込んで勉強しました。当時はよく、頭を整理しようと夜中に散歩に出かけていたんですが、歩いているうちに新たな疑問が湧いてきて、スマホを取り出してはWebマニュアルを読んで頭を捻る生活を繰り返していましたね。
奥野
2000ページ…。井能さんの起源が分かった気がします。
井能
たしかに当時は必死でしたが、あの時の努力があったからこそ、その後にデータブリックス社から技術に精通したエバンジェリストの証である「Databricks Champion」に認定されたと思っています。それに有識者として社内外のエンジニアとディスカッションできるだけの素養や知見も身につきました。
藤林
私の場合は、産休・育休から復職するタイミングで今の部署に異動してきました。クラウドを利用した基盤構築は得意分野であるものの、Databricksの知識はほぼゼロだったため初心者に戻った感覚でした。ですから、「子育てと両立しながら、どうすればこの組織に貢献できるか」が一番のチャレンジでしたね。
井能
藤林さんは、実際に構築と検証を繰り返してDatabricksのスキルを磨いていましたよね。
藤林
ひたすら自分の手で動かして覚えることに注力しました。あとは自分の強みを活かせる領域から着実に貢献することを意識していましたね。PMとして培ったお客様調整能力やプロジェクト全体を見渡せる能力はどの領域、どの案件でも活かせると考えていたので、そこで自分なりの価値を出しつつ、リスキルに励んで自分のケイパビリティを広めていこうと取り組んでいました。
奥野
「まずは自分の強みを活かす」というのは、私もずっと意識しています。特にAI開発に関する知識には自信があったので、周囲にも積極的に情報発信を行い、最近ではメンバー向けの勉強会なども主催しています。その一方で、基盤開発ではネットワークやセキュリティ、デプロイ方法まで総合的に考えて設計しなければならず、自分にまだない知見が浮き彫りになることもしばしば。そんな時は井能さん、藤林さんをはじめ基盤側のスペシャリストの力を借りてスキルアップに努め、お客様とのディスカッションを進めています。
――この部署だからこそ得られる経験ややりがいはありますか?
藤林
私たちの業務ではデータ・AIに関する技術スキルはもちろん、データモデリングや業務理解、プロジェクトマネジメントなど、幅広い能力が求められます。当然、日ごろから勉強は欠かせませんが、その分キャリアの選択肢も広がりますし、自分の強みや志向に合わせて多様な方向に成長することができる。これはDatabricksビジネス推進室ならではのやりがいだと思います。
井能
成長意欲の高い方には面白い環境ですよね。今はまだ10名ほどの小さな部署ですが、半数以上が「Databricks Champion」に認定されていて、さらにDatabricks全資格保有者や AWS Top Engineers、Microsoft Top Partner Engineers など、高い専門性を持つトップエンジニアが在籍しています。また、周囲の部署を見れば、クラウドやSnowflakeの専門家など、各領域のスペシャリストが身近にいますし、優秀な仲間と日常的に協働できるのは本当に刺激的です。
奥野
たしかに優れた知見を持ったエンジニアに囲まれ、切磋琢磨して高め合っていけるのは大きなやりがいです。この推進室の立ち上げを手掛けた課長も、「今後はデータとAIをトータルに活用できる人財が求められると考えているから、データ、AI、クラウドと、それぞれの分野の有識者を集めることにこだわった」と言っていましたね。
井能
Databricksと同じように、人財もオールインワンってことですね。
藤林
ウマい!(笑)
井能
ふふふ(笑)。あとは人の魅力だけでなく、やりがいあるプロジェクトに日々携われることも魅力的だと感じています。これからの時代、企業はデータ・AI活用ができなければ競争力を失いかねません。そうした時代の変化を感じながら、Databricksを通してデータ・AIのあり方をデザインしていく仕事は責任重大ですし、今このタイミングで、これほど面白い領域は他にないんじゃないかとすら感じています。
奥野
しかも、これまでの実績が評価につながり、いい意味で案件の難易度も高まっていますよね。それにNTTデータは2025年1月にデータブリックス社と資本業務提携を締結したこともあり、プロダクト開発に意見を出すことや、開発部門の方と密なディスカッションを行う機会も多いんです。時にはエンジニア心をくすぐるような案件を紹介いただくこともありますし、他では得難い経験があふれています。
それぞれがスペシャリティを持ち寄り、高め合う独自の文化
――Databricksビジネス推進室のカルチャーや風土についてもぜひ教えてください。
藤林
私はメンバー同士が助け合い、高め合う文化が根付いているなと感じています。しかも皆さん子育てに対する理解も深いので、本当に働きやすいです。
井能
奥野さんもそうですが、子育てと両立している方が結構多いですよね。
藤林
たしかに子育て世帯の方は多いと思います。私はまだ子どもが小さいので、急に熱を出してどうしても自宅保育をしなければいけない時もあります。そんな時も皆さん、「こちらは大丈夫だから、休んでください」と手を差し伸べてくれたり、課長からも「私が代わりますよ」と言っていただいたり、業務面だけでなく、精神的な面でも本当に助かっています。
奥野
助けてもらった分、こちらからもしっかりお返ししようとモチベーションも上がりますよね。それに裁量労働制で業務の組み立てもメンバーに任されているので、業務時間を柔軟に組み立てられるのもありがたいです。実際、早朝から働いて保育園のお迎えの時間までに業務を終えることもありますし、子育て中の方も、そうでない方にもオススメできるチームだと思います。
――他にも「こんなタイプが活躍できる」「こういう方と一緒に働きたい」といった人物像はありますか?
井能
私は、このチームには多様な人財を受け入れる器があるし、だからこそ、画一的に「こういう方が優秀です」といった理想像はないと思っています。それこそマネジメントでも、データサイエンスでも、データエンジニアリングでも、どんな分野の強みも活かせる環境です。先頭に立って引っ張るタイプの方も、縁の下の力持ちタイプの方も、各々のスペシャリティを存分に発揮して相乗効果で成果を生み出していければベストじゃないでしょうか。
藤林
たしかに、AIやデータ関連の分野で高度な専門性を持っている方や、自分の興味を持った分野をとことん突き詰められる方は、この部署に必ずマッチすると思いますね。周囲のメンバーにとっては、そういった仲間が増えれば増えるほど、新しい先生が増えていくことにもなりますし、個人的にもうれしいです。
奥野
お二人がおっしゃる通りだと思います。ただ個人的にはAI人財はもっと強化すべきだと感じているので、ぜひ新しく仲間に迎えたいですね。
あとは、「永遠にスキルをアップデートしていくんだ」という意志も大切だと思います。Databricks自体の進化のスピードも非常に早いですし、AIやデータに関するテクノロジーも今後さらに発展し続けていくはずです。そのうえでお客様に価値提供を目指すためにも、今の自分にできることはこれだと決めることなく、経験と知識の両面で自分の輪を広げていく姿勢を持っている方と一緒に切磋琢磨していきたいです。
――最後に皆さんのこれからの目標を教えてください。
奥野
まだまだ勉強の日々ですし、今の業務の延長線上に未開拓の領域や挑戦が多くあると感じています。そしてチャレンジと成果を積み上げることで、「AIの民主化」に貢献していくことが一番の目標です。Databricksを通してAI普及の先端を走り続け、より多くの人々が自然とAIを使うような社会づくりの一助を担えたらうれしいですね。
藤林
私はもともと公共分野出身なのですが、Databricks導入支援は金融や法人分野が中心です。しかし最近ではガバメントクラウドの整備・運用も進んでいますし、AIニーズも日増しに高まっています。今後はこうした追い風も活かし、公共分野のお客様にDatabricksを広める活動にも取り組んでいきたいと思っています。
また、いつかキャリアの原点である営業に戻り、開発で培った経験や視点を活かして、お客様の課題の本質を捉えた構想・提案活動や、社内の組織づくりにも取り組むような役割にチャレンジしてみたいです。
井能
DatabricksやAI・データ活用に関する専門性を徹底的に追求していきます。まずは、現在の得意分野をさらに磨き上げ、より深いスペシャリティを確立するとともに、関連領域や最先端技術へのスキルの幅出しに励み、広い視野とジェネラリティを兼ね備えたエンジニアに成長したいと考えています。
そして、培った技術力・知見を「提案力」へと昇華させて、お客様のデータ・AI活用を加速し、ビジネスへの貢献・企業価値の向上につなげるための提案・コンサルティングにもこれから挑戦していきたいです。
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データ、AI、クラウド。Databricksビジネス推進室のメンバーは、AI時代の最前線で各々が異なるスペシャリティを発揮しながらも、互いに助け合い、高め合うことで、個人の力量を超えた価値提供を実現しています。「データ・AIの民主化」を目指す挑戦は、お客様のビジネスや社会の変革を加速するだけでなく、メンバー一人ひとりの成長にも大きなインパクトを与えるはずです。


