生成AIを「自分の手で活用できる」武器に
――まずはお2人の、現在の仕事内容を教えてください。
張
私は、Power Platform を活用した社内の業務改善支援を担当しています。テンプレート作成、新機能の検証、ノウハウの展開、利用者サポートなど、運用全般に携わっています。
また最近では、ローコードで AI エージェントを構築できる「Copilot Studio」への関心が高まっており、実際の社内業務を想定したユースケースを整え、「どの業務で、どのように活用できるのか」を具体的に示せるような取り組みを行っています。利用者である社員の皆さんが“日常業務を自分の手で効率化していける状態を整える” ことが、今の私の役割です。
伊吹
私は、主に社内で利用が広がるAIツール、M365 Copilotの活用促進を担当しています。アップデート情報やさまざまな活用事例・手順・最新情報などを一元管理するポータルサイトを作り、「ここを見れば分かる」という状態を作ることで、社員の皆さんが効果的に活用できる環境を目指しています。その他にも社内コミュニティの運営や、各種イベントを企画・開催し、社員の皆さんが “自分でAIツールを積極的に活用できるようになること” を目標に、支援しています。
――お2人はこれまでIT領域でどんな経験をされてきたのでしょうか?
張
私は生物学が専攻で、学生時代にもITやプログラミングの経験はありませんでした。もともと「人の役に立ちたい」という想いから、生命を深く学ぶ生物学を選んだのですが、就職活動を経て「現代で最も人の役に立てるのはITなのでは」と感じるようになったんです。未経験の領域でしたが、NTTデータには充実した育成制度があることを知り、不安よりも「ここでなら新しい挑戦ができる!」という期待感を持てたことが入社の理由ですね。実際、入社後は基礎から丁寧に教えていただき、日々新たな挑戦を繰り返す中で成長を実感しています。
伊吹
私も、学生時代にはIT関連の経験はありませんでした。社会人になってから、社内DX推進に関わる業務を担当したことがきっかけで、ITの知識を身に着けていったんです。NTTデータに転職する直前に居た会社では、企業向けに Microsoft 製品の導入支援を行っていました。Teams、SharePoint、OneDrive、Viva Engage などを扱い、企業のコミュニケーション基盤を整える仕事にやりがいを感じていた半面、徐々に「導入支援」だけでは物足りなさを感じるように。定着や利用拡大など、「導入後」のフェーズにも取り組みたいと考え始めたことが、転職に踏み切った理由です。NTTデータでMicrosoft製品に関する活用促進のポジションの募集があり、まさに希望通りの仕事と感じて応募しました。
「クライアント・ゼロ」を掲げる環境が、AI推進の後押しになっている
――生成AIは現在の技術トレンド。社内の活用状況や課題については、どのように感じていますか?
張
社内ではPower Platform や Copilot Studio への関心自体は高まっています。しかし、どのような場面で活用ができるのか、どのような成果が出るのかという具体的なイメージが持てず、「活用の仕方が分からない」という声も多くあったんです。さらに、社内には複数の生成AIツールが存在しており、情報が各所に分散しているという課題もありました。折角新しいシステムやツールを導入しても、活用されなければ意味がありません。まずはユーザが「自分の業務でも活用できる」「活用したい」と実感できることが大事だと思いました。
伊吹
私も張さん同様に、「正しい情報が必要な人に届かない」ことに課題を感じていました。Microsoft製品は頻繁にアップデートがあり、大量の情報が存在するため社内では「どこに最新情報があるのか分からない」
「新機能がリリースされていることに気付かない」という状態でした。通知するだけでは、情報が埋もれてしまいます。読まれなければ伝わらないし、伝わっても行動につながらなければ活用は進みません。「届ける仕組み」と「届け方」について見直す必要があると感じていました。
――課題に対して、どのような取り組みや工夫をされているのでしょうか。
張
実際の社内業務を題材にユースケースを作り、「活用するとどのように業務が効率化するか」をイメージできる形で紹介することから始めました。ユースケースを作る際に意識したのは、「特定の部署だけしか使えない」ものにしないこと。勤怠連絡やタスク管理のように、多くの部署で扱う可能性のある定型業務の自動化を紹介し、まずは「これなら自分の業務にも活用できそうだ」と感じてもらえるための下地作りを行いました。実際に自分でも操作しながら、つまづきそうなポイントを事前に洗い出して情報発信をすることで、ユーザ一人ひとりが自分の業務に合わせて試行錯誤できる状態を目指しています。
伊吹
私の役割は、いわば張さんが作った仕組みを「届ける」ことです。情報は正しく、スピーディに、そして「読みたくなる」形で届かなければ意味がありません。そこで活用事例や手順書、最新アップデートなどの情報を一元管理できるポータルサイトを立ち上げ、「ここを見れば分かる」という状態を作りました。さらにCopilot関連の情報共有とノウハウ交換の場として『M365 Copilotユーザ会』を運営しています。参加者は業務系社員を中心に2,500名を超え、部署を横断した相談や事例投稿が活発に行われる場へと成長しています。 社員同士の交流が広がり、コミュニティが自走し始めていることは大きな変化です。社員同士でのやり取りが生まれ、コミュニティが自走し始めていることは大きな変化です。また学びの場を作るため、勉強会やMicrosoft社と共同でイベントの企画・運営などにも着手しました。
――このような取り組みによって、どのような変化や成果が生まれましたか?
張
伊吹さんが中心となってCopilot関連の情報を集約するポータルサイトを立ち上げてくれたことで、私もCopilot Studioに関する情報をスムーズに共有できるようになりました。情報が集約され、見やすくなったことで、実際に自分の業務に取り入れる社員が増加しているように思います。ユースケースで紹介した内容を参考に自動化を取り入れた社員からは、「前々からやりたかったことができるようになった。ありがとう」「発信内容が参考になった」という声が寄せられています。業務ごとに効果は異なるものの、“自分で改善できた”という実感を持ってもらえているようです。こうした反応が見えることは、大きなやりがいにもつながっています。
伊吹
そうですよね。「自分の現場でも試してみました」「次はこの業務で活用できそうです」といった前向きな声が増え、単に“知っている”状態から、“使ってみる”段階へ進んだことを実感しています。社員からの問い合わせも減り、日常的にポータルサイトにアクセスして最新情報を確認する動きが定着してきました。情報発信に対する反応も、当初の2〜3倍にまで増えています。それによって一つの業務改善が新たな事例となり、また別の部署の改善につながっていく——そんな循環が生まれ始めているのが、最近感じている最も大きな成果です。情報をただ“届ける”のではなく、実際の業務の変化につながる形で“使ってもらう”。その環境づくりに携われることは、私自身にとってもやりがいになっています。
――お2人の取り組みがスピーディに進んでいる背景として、ITMの組織文化が関係しているのでしょうか?
張
組織全体として「まずやってみる」という意欲的な雰囲気があり、メンバ一人ひとりの挑戦を後押ししてくれる文化が根づいていることが大きく関係していると思います。また、チームにはセキュリティ・基盤・開発といった専門性を持ったメンバが揃っており、必要なときにフォローし合える環境にあることが、推進スピードの速さにつながっていると思います。
伊吹
私もそう思います。さらに私たちが生成AIなど新しい技術を早期から積極的に活用する理由として、「クライアント・ゼロ」という考え方が根づいているからだと思います。社内のユーザを“0番目のクライアント”とみなし、課題を早期にキャッチアップして改善していく経験が、やがてお客様向けのサービスを提供する際のヒントにつながることもあります。このような環境こそが、NTTデータならではの環境であり、強みだと感じています。
人と生成AIが、共に進化できる組織を目指して
――今後、目指している未来や挑戦したいことなどを教えてください。
張
今後は、AIの“裏側”をより深く理解していきたいと考えています。CopilotやCopilot Studioは、誰でも使えるように設計されてはいますが、基盤となるクラウドやサービス連携の仕組みが正しく整っていることが前提です。現在、社内には複数のAIエージェントやサービスが存在しており、単独で動いているものもあります。将来的にはそれらを連携させ、シームレスに業務を完結できる環境を作りたいと考えています。そうなれば、社員はストレスなく生成AIを活用できるようになり、「自分の価値を発揮するための時間」を得られるはず。人と生成AIが役割を分担しながら、共に進化できる環境を作る――それがこれから挑戦したいテーマです。
伊吹
私はM365 CopilotやCopilot Studioなど製品知識をさらに深めながら、情報発信力を強化していきたいと考えています。社内には優れた事例が数多く存在するにもかかわらず、依然として十分に浸透していないという状況です。だからこそ、事例を分かりやすく整理し、「自分もやってみたい」と思ってもらえるような形で届けられる仕組みを作りたいです。事例を浸透させるうえで重要なのは“伝え方の質“だと考えています。AIが文章を自動生成できるようになった現在でも、「読んでみたい」「やってみたい」と思わせる力は、人の言葉に宿る説得力や体験の温度感にあると思います。実際に活用した人が、自分の言葉で語ることで周囲の行動を促し、活用の輪が自然に広がっていく。そうした積み重ねで、生成AI活用が日常に根づく文化を醸成していきたいです。
中長期的にはMicrosoft製品や生成AI関連の知見を活かして、NTTデータの先進的な取り組みを社内外に広く伝え、企業価値の向上にも貢献していきたいです。
――最後に、NTTデータで働く魅力について教えてください。
張
多様な背景を持つ人が、それぞれの強みを発揮できる環境だと感じています。IT未経験を理由に役割が制限されることもなく、入社直後から議論の場で意見を求められ、「私自身がどう考えるか」を重視してもらえました。各々が持つ多様な視点を成果につなげる文化の中で、大きな成長機会を得られていると思います。
伊吹
安定した経営基盤があるだけでなく、挑戦を歓迎する風土があることが魅力だと思います。「やってみたい」と手を挙げれば、必ず耳を傾け、背中を押してくれる。私自身、やってみたいと提案したことを任せてもらえた経験もあります。失敗を恐れずに挑戦できる安心感があるからこそ、成長し続けられるのだと思います。


