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金融業界にビッグバンを。プラットフォームの開発・企画推進にはそれだけの影響力がある

長年、保険業界向けの開発に携わってきた松木洋介。現在、シニアPM兼企画推進を務める彼は、ITという側面から業界全体の変革を目指しています。レガシーなイメージを持たれがちな「金融システム」という領域で、松木が取り組むダイナミックな挑戦について語りつくしました。

目次

保険業界を変えるエンジニアになりたい

松木 洋介
第一金融事業本部
保険ITビジネス事業部
保険ネット担当 兼 企画推進担当

2004年、松木のエンジニアとしてのキャリアは、大手保険会社での客先常駐から始まりました。そこで約5年にわたってアプリケーション開発に取り組むうち、「保険×IT」に携わる面白さを実感していったと言います。

松木 「保険って“無形”ですよね。それをシステムによって“有形化”できるというところが、この仕事ならではの面白さと言いますか。システムは保険会社と契約者をつなぐことができるし、不正防止や顧客満足度向上にも貢献できる。実はこれ、私の尊敬する保険会社の方の受け売りなんですが、確かにそうだと思ったわけです」

一方、銀行や証券会社など金融業界のデジタル化が進む中、保険業界の変革はやや遅れ気味でもありました。「改善のためにITが寄与できることはたくさんある。個社ではなく、業界全体の改革を推し進めたい」。若き日の松木は、次第にそうした熱い想いを強くしていきました。

松木 「保険業界全体を考えるSEを目指すと決めた時に、『どうせやるなら保険業界のITベンダーNo.1でないと意味がない』と思いました。その1社がNTTデータだったわけです。内定をもらった会社は他にもありましたし、実は一番給与が高かったのも別の会社。ただ、それより何より業界にインパクトを与えられる環境で働こうと。その一心で決めましたね」

2009年、松木は当社にジョインし、生・損保会社と代理店をつなぐ業界共通インフラの「保険会社共同ゲートウェイ」の担当に配属されます。このプラットフォームは保険会社と保険代理店が活用するもので、その開発・保守運用に関わることは、まさに松木が希望していた通りの仕事でした。

そしてここで頭角を現し、開発チームの中でPL、PMとキャリアアップも実現。本人も、「No.1のPMになっていくという覚悟を持っていた」というほど、猛烈に働き実績を積み重ねた結果、現在では担当部署の課長職に加えて、シニアPM兼 企画推進という大役も担っています。

個社ではなく業界全体を意識し、やるならばNo.1を目指す。こうした志向や熱量の高さは、学生時代から強かったのでしょうか?

松木 「いや、全然です。大学・就活の頃も、『親にちゃんと育ててもらったから、社会人になったらちゃんと成功しなきゃ』程度の感覚で、大それた野心があったわけじゃありません。ただ仕事をする中で、保険×ITというダイナミックなビジネスに居場所を見出すことができた。これが大きかったんだと思いますね」

失敗ができる=チャレンジができる。それがNTTデータの強み

そんな松木も、すべてが順風満帆だったわけではないと言います。

松木 「お客様に怒られたことは、何回もあります。特に、私が初めてPLを任されたプロジェクトは忘れられません」

それは、大手保険代理店向けの業務用システム開発の案件でした。初の大役に気合が入っていた松木は、クライアントのシステム部門からきめ細かく要望をヒアリングし、可能な限りの機能追加を行っていきました。開発メンバーに対しても、「とにかくお客様のために頑張ろう!」と鼓舞し続け、細部までお客様のオーダーに応えるシステムが完成します。

松木もお客様も「満足のいくものが出来た」と手ごたえを感じ、自信を持ってカットオーバーをしたのですが、現場のユーザーの反響はなんと真逆。「この機能が足りない」「使い物にならない」と、クレームが殺到したというのです。

松木 「当時の私は、お客様のシステム担当の方ばかり意識して、ユーザー側の目線を持てていませんでした。そこで初めてシステム開発の怖さを思い知りました。要望通りにつくり、お客様や自社内から評価されたとしても、それだけではダメで。『誰のためにつくるのか』を第一に考えて、必要があればNOも言えるリーダーでなければ、良いシステムは生まれないと痛感しました」

松木にとっては苦い経験ですが、こうした“失敗体験”を積めること自体が、当社の強みでもあると考えているそうです。

松木 「こうした視点や発想は、場数を踏まないと得られないもの。当社であれば若手にもチャンスが与えられるし、ちょっとやそっと失敗してもチャレンジに関しては、評価がものすごく下がることもないし、会社がつぶれることもない。

これは、私が今取り組んでいるプラットフォームの企画でも同じです。ミスをしたとしても簡単には揺るがないからこそ、業界全体にどう寄与するか?というダイナミックな施策を打つことができるわけです」

「挑戦が許される環境」は、エンジニアとしても、ビジネスパーソンとしても、大きな成長を支えるものだと松木は考えています。そしてもうひとつ、松木自身が「成長を後押ししてもらった」と感じているのが、上司との出会いでした。

保険業界に精通し、開発担当のトップとして長年にわたってプロジェクトをけん引してきたという上司。彼は、「当社、お客様、ユーザー。すべてがwin-win-winにならなければならない」と口癖のように話し、その前提に立って企画はどうあるべきか、今後どのようなビジネス開発を行うべきか、そのために今どのような案件に取り組むべきなのかと、常に詳細なロードマップを描き実行していると言います。

松木 「私の上司のビジネス企画力、ビジネスを推進する力は正直真似ができないレベルです。だからこそ、『この人に認められたい』と頑張ってきた節もあります。いま私も課長の立場になって、ようやく同じくらいのレイヤーで話せるようになったことで、さらに面白さを感じますね」

どれだけ経験を積み、キャリアアップをしても、「この人のようになりたい」と思えるようなロールモデルが身近にいる。そうした当社ならではの「人」の魅力が、松木のモチベーションをさらに高めているのかもしれません。

ゲームチェンジが進む時代。10年後も求められるプラットフォームとは

松木がNTTデータの一員となり、約10年が経ちます。この期間で、保険業界のビジネス構造はドラスティックに変化しました。その一例が、販売チャネルの多様化です。以前は生・損保企業の営業社員による直接販売がメインでしたが、現在では銀行や郵便局などでも様々な保険商品が扱われており、複数の保険会社の商品を扱う保険代理店やネット専売の保険会社も増加しています。

そうした動きを先取りし、当社が開発・運用するプラットフォームも着実に進化を遂げてきました。松木は現在、「保険会社共同ゲートウェイ」上で稼働する、保険代理店向け業務アプリケーションサービス「WiseOffice」の開発・運用を手掛けながら、企画推進担当のポストも兼務しています。企画推進の仕事について、松木は「一言で言えば、5年後10年後に向けた種をまくこと」と語ります。

松木 「保険業界は常に変化し続けているので、その変化を捉えたプラットフォームを提供していかなければなりません。そのためには、現状に安穏と満足している場合じゃなくて、『我々がつくったものは自分たちの手で壊して、新しいものを生み出すんだ』と。スクラップ&ビルドに取り組んでいるんです」

業界動向やユーザーニーズの変化、技術トレンドなども踏まえながら、松木は様々な仮説を立てています。例えば、異業種のプラットフォーマとの連携を考慮した、システム全体のオープンAPI化。あるいは販売チャネルのさらなる多様化への対策。はたまた国・自治体のシステムとの連携など、様々な切り口から企画立案を進めているのです。

松木 「いま業界の垣根を超えたコラボレーションがあちこちで進んでいます。こうしたゲームチェンジがさらに行われていく中で、金融システムも異業種との連携は重要になるでしょうし、スピードアップして取り組む必要がある。特に当社は、銀行、証券会社、公共など、幅広い顧客の様々なプラットフォームを手掛けていますから。事業部の垣根を超えて、シナジーを生み出せる可能性をもっと追求していくことになります」

確かにNTTデータの金融部門は、あらゆる業種のインフラやプラットフォーム開発に携わってきた実績があります。先端テクノロジーを駆使しながら、そうした財産をかけ合わせることができれば、これまでの金融システムを革新するような、新たなビックバンも生み出せるはず――。松木はそうした可能性を日々感じていると話します。

さらに業界全体の進化に寄与する上で、松木は「NTTデータは常に中立のポジションを取り続けている」ことも大きな意味を持つと言います。例えば、サーバの選択ひとつをとっても、“常に中立”だからこそ、限られたメーカーやサービスに縛られることなく、お客様にとって最善の一手を選ぶことができる。これが本質的な価値発揮につながると考えているのです。

松木 「中立な立場で業界全体をとりまとめ、人類を豊かにするような仕組みづくりにも携われるのがNTTデータの金融です。法人単体では作れない、国でも作れない。でも、当社が間に入って金融とITとの掛け合わせを形にしていけば、世の中のインフラをもっとよくしていくことができると思っています」

金融・保険業界の現在と未来を結び、ユーザー目線を常に意識し、松木はより良いプラットフォームを目指してスクラップ&ビルドを進めていきます。「業界全体を考えるエンジニア」の挑戦に、終わりはありません。

※掲載記事の内容は、取材当時のものです