NTTデータのマーケティングDXメディア『デジマイズム』に掲載されていた記事から、新規事業やデジタルマーケティング、DXに携わるみなさまの課題解決のヒントになる情報を発信します。
ChatGPTって何?何が凄いの?
ChatGPT(Chat Generative Pre-trained Transformer)は、OpenAIが2022年11月に公開したチャットボットです。簡単に言うと、質問に対して文章で回答してくれるAIです。それだけだとたいしたことない、と思うかもしれませんが、決してそんなことはありません。できる範囲は単なる質問回答にとどまらず、要約やコードの生成などさまざまなことができます。
ChatGPTができること
また、回答のレベルが非常に高いことも大きな話題となっています。それを裏付けるものとして、世界大学ランキング13位のペンシルベニア大学のMBA期末テストをChatGPTに出題したところ、合格してしまったという例があります。もはや並大抵の人では敵わないレベルですよね。
さらにChatGPTの凄い点として、これほどの技術を誰でも無料で使える、という点が挙げられます。そのうえシンプルなUIで使いやすく処理も高速です。日本語も扱えるだけでなく、口語での対話が可能なので実際に人と話してるように利用できる点も特徴です。
そういった特徴が多くの方に受け入れられた結果、一般公開後2か月で月間アクティブユーザー数が1億人を突破しました。
プロンプトエンジニアリングとは?
続いて、今回記事をChatGPTで作成するうえで重要となる、プロンプトエンジニアリングについて説明します。
プロンプトエンジニアリングとは、人工知能の思考を人間が助けるための手法です。ChatGPTのような巨大言語モデルでは質問の仕方によって回答の質を劇的に向上させることができるとわかっています。既に海外では、自分が作ったプロンプトを売り買いするマーケットプレイスまで誕生しています。
プロンプトを売り買いするマーケットプレイス[PromptBase]
今回は、noteのCXOである深津さんが紹介しているプロンプトエンジニアリングを参考にして記事を書いてみました。参考にした動画配信はこちらです。深掘りしたい方はぜひ深津さんの配信アーカイブをご覧ください。
あなたの仕事が劇的に変わる!? チャットAI使いこなし最前線
深津式汎用プロンプト
動画内で質問の範囲を限定するためのテンプレートとして紹介されたのが「深津式汎用プロンプト」です。その内容がこちらです。
#命令書:
あなたは、プロの編集者です。
以下の制約条件と入力文をもとに、 最高の要約を出力してください。
#制約条件:
・文字数は300文字程度。
・小学生にもわかりやすく。
・重要なキーワードを取り残さない。
・文章を簡潔に。
#入力文:
<ここに入力文章>
#出力文:
こちらを雛形として、自分が使うときには内容を書き換えながら使っていきます。
押さえておきたいポイントは以下の6点です。(動画内で紹介されたもの)
・ ロールを明確にする
・ 入力から出力を作ることを明確にする
・ 何を出力するかを明確にする
・ マークアップ言語(今回は#付きの文)を用い、本文でない部分を明確にする
・ 命令を箇条書きで明確にする
・ さまざまなワードで、AIの出力しうる空間を、 積極的に狭くしていく
深津式汎用プロンプトの命令文がChatGPT を編集者と定義しているように、ChatGPTに役割を与えるという書き出しにすると、明らかに回答の精度が上がるようです。
プロンプトエンジニアリングで記事書いてみた!
それではChatGPTを用いて実際に記事を書いてみましょう!
今回は、過去にデジマイズムで紹介したテーマである、CRMについて書いてみます。過去のデジマイズムの記事はこちらです。
CRMとは?顧客管理システムの機能や種類、導入時の重要ポイントを解説 | デジマイズム
まずはプロンプトを作成します。最初は簡単な文章を出力してほしいと思ったので、制約条件の文字数を抑えこのようにしました。
#命令書:
あなたは、プロの編集者です。
以下の制約条件をもとに、 CRMについて紹介する文章を出力してください。
#制約条件:
・文字数は300文字程度。
・小学生にもわかりやすく。
・機能や種類、導入時の重要ポイントを内容に入れる。
・文章を簡潔に。
実際に使用してみた例がこちらです。
ChatGPTによるCRMの簡単な紹介文(2023年3月9日現在)
ごく簡単なプロンプトでしたが、回答のレベルは高い印象です。自分がCRMとは何かを簡単に調べたいとき、この答えがパッと出てきたらとても便利な気がしました。
検索結果としては十分ですが、今回は記事を書いてみようということなので、もう少し制約条件をつけて、文章を長くしてみます。また、デジマイズムの記事内にもあった大手企業の活用事例を入れるようにします。さらに記事といえば考察が不可欠ですよね。それも加えてみましょう。
作成したプロンプトはこちらです。
#命令書:
あなたは、プロの編集者です。
以下の制約条件をもとに、 CRMについて紹介する文章を出力してください。
#制約条件:
・文字数は2500文字程度。
・小学生にもわかりやすく。
・機能や種類、導入時の重要ポイントを内容に入れる。
・大手企業の活用事例を入れる。
・文章を簡潔に。
・最後に、今後はどのようなCRMが求められるか考察を書く。
ChatGPTの回答がこちらです。
ChatGPTによるCRMの解説文(2023年3月9日現在)
かなり記事っぽくなりました。自分が大学生の時に書いたレポートがまさにこのような感じでした。物凄いレベルに感動するとともに、人間の立場として恐怖すら感じてしまいます。
最後に、AIの役割をもっと明確化してみます。僕自身である、NTTデータ社員の林祐太として、記事を書いてもらいましょう。ここまで徹底できれば、まさに自分が書くような文章を書いてもらうことも可能なはずです。
作成したプロンプトはこちらです。
#命令書:
あなたは、NTTデータの2年目社員の林祐太です。
以下の制約条件と入力文をもとに、 CRMについて紹介する文章を出力してください。
#制約条件:
・1人称は僕。
・役職は平社員。
・陽気で外向的な性格。
・フランクな口調。
・新規事業の開発担当を2年間していた。
・文字数は3000文字程度。
・小学生にもわかりやすく。
・機能や種類、導入時の重要ポイントを内容に入れる。
・大手企業の活用事例を入れる。
・文章を簡潔に。
・最後に、今後はどのようなCRMが求められるか考察を書く。
・NTTデータのCRMへの取り組みにも触れる。
ChatGPTの回答がこちらです。
ChatGPTが林祐太になりきった場合のCRMの解説文(2023年3月9日現在)
凄い完成度ですね!若干口調が変わったとともに、NTTデータについて多く触れるようになっており、僕が書いたと言ってもバレないような気がします。(少しNTTデータと言いすぎな気もしますが……。)
僕自身が有名な人物ではないので、もっと有名で個性あるキャラクターを指定して実行してみても面白そうです。例えば、noteのCXOである深津さんはギルガメッシュ王を指定していました。
みなさんもぜひ好きなパターンで試してみてください。
まとめとデジタルマーケティングへの影響
ChatGPTは様々な分野で活用されていますが、その中でも、デジタルマーケティングに与える影響は大きいと言われています。
例えば、ChatGPTを用いた自然な対話型広告は、従来の広告よりもユーザーの興味を引くことができ、広告効果が期待できます。また、ChatGPTを用いた自然言語処理技術は、ユーザーの声を聞き取り、自動で分析することができます。これにより、企業は顧客のニーズや嗜好を把握し、より的確なマーケティング施策を行うことができます。
NTTデータも、ChatGPTを用いたAI技術の研究開発に力を入れており、今後ますますデジタルマーケティングに貢献することが期待されます。
と言うこのまとめも、実はChatGPTで書いていました。違和感ないように冒頭の修正と改行を入れましたが、気づきましたでしょうか?
ChatGPTによるデジタルマーケティングへの影響回答(2023年3月13日現在)
ここからは僕自身の本当のまとめです。
今回ChatGPTを用いて記事を書いてみましたが、想像よりも高い完成度で驚きました。実感したこととして、ChatGPT は入力の仕方で出力されるものが全く変わるという点があります。同じ内容ですらも出力が変化していました。そのため今後はいかにChatGPTを使いこなせるかが大きなポイントであり差を生むことになるのでしょう。このポイントは多くのインフルエンサーが話していることですが、実際にChatGPTを使うと強く実感することなので、ぜひみなさんも使ってみてください。
また、ChatGPTの回答内容が本当に正しいのか、という課題はありそうです。今回ChatGPTが回答したNTTデータのCRMの取り組みについて、僕自身は知らない内容が含まれていました。まずは人間の専門家が回答の真偽を確かめることが必要と思いますが、それでも現在のレベルで仕事の補助ツールとしては十分な能力を持っていると思います。登録は非常に簡単で使いやすいので、まずはみなさんも色々と試してみると良いと思います。