NTTデータのマーケティングDXメディア『デジマイズム』に掲載されていた記事から、新規事業やデジタルマーケティング、DXに携わるみなさまの課題解決のヒントになる情報を発信します。
消費者が見た印象をAIで定量化~D-Plannerとは
D-Plannerとは、知覚体験から得られる脳情報をもとに人の感性を予測できる“NeuroAI” という技術を用い、消費者がコンテンツをどのように認知するかクラウド上で予測・解析する次世代マーケティングソリューションです。コンテンツを消費者が見たときの反応を数値化し、客観的に解析することができます。例えば、あるペットボトル飲料のパッケージを見たときに感じる、「美味しそう」、「栄養がありそう」のような、なんとなく思うイメージを数値で表すことができます。
実際にD-Plannerを使用している様子が次に示す画像①です。左の画像を読み取った結果が右側に表示されています。読み取った情報が、名詞・動詞・形容詞として表示され、その印象の強さが各単語の下に棒グラフで表されています。
画像①D-Plannerを使用している様子
より詳しくは、こちらの動画もご覧ください!
このように、動画視聴時の脳情報のシミュレーション結果から広告クリエイティブの特徴を定量化することで、広告マーケティングの効果予測を行うことができます。また、今回の実験のように商品のパッケージデザインの評価にも適用することができます。
ペットボトル飲料のパッケージデザインを評価~D-Plannerによる実験
今回は、D-Plannerを利用して実際にペットボトル飲料のパッケージを作ってみよう!という実験を取材しました。
今回の実験は、パッケージデザインをD-Plannerで解析することで、短時間で的確なデザインの改善が可能になるのか検証することが目的です。これが可能になれば、食品・飲料のような消費財メーカーでは、時間をかけずに優れたパッケージが制作できることが期待できます。
実験の設定は、NTTデータが豊洲食品という仮想の飲料メーカーとなって、レモン風味のリフレッシュラッシー「リフラッシー」のパッケージを広告会社へ発注するというものです。広告制作はツムグ・ブラザーズ社に依頼しました。
画像②実験コンセプト
短期間で根拠あるデザイン評価を実現~
実験インタビュー
今回、実験を企画・運営したNTTデータの大山さんと、実際に広告制作にご協力いただいたツムグ・ブラザーズ社の斉藤さんにインタビューさせていただきました。
左:大山 翔 さん
株式会社NTTデータ 社会基盤ソリューション事業本部 ソーシャルイノベーション事業部 デジタルソリューション統括部 サービス企画担当
右:斉藤 基樹 さん
株式会社ツムグ・ブラザーズ 代表取締役
―今回の検証では、D-Plannerをどういったプロセスに用いたのでしょうか。また、D-Plannerを使用する前とどのような変化があったかお聞かせください。
大山さん:今回の検証では、ペットボトルのパッケージデザインの第1案を作成し、それを改良していくという段階でD-Plannerを使用しました。複数デザインを制作し、その中から1番いいデザインをD-Plannerを使って選定し、それをもとに再度複数のデザインを制作、ということを繰り返し、最終的に1つのデザインに絞り込みました。
D-Plannerを利用してなかった場合との変化に関しては、デザインに対する指摘が的確に行えたと思います。提出されたデザインはどれもパッと見、いい要素がいっぱいあって選びきれないんですよね。そんな中、解析をもとに根拠を持って指摘を行えたことが、D-Plannerの良さだったのではと感じました。
そもそも商品デザインを作る際、普通はデザインの判断にかける期間がないので、改善に対してこんなにも過程は踏めません。今回の検証では、1か月で2回の調査とブラッシュアップを行えたのですが、従来ではこれをアンケートや社内会議で行うので、同じスピード感では実施できません。そのため、短期間で具体的な指摘をもとに商品パッケージをブラッシュアップできたこと自体が、今までとの変化とも言えますね。
斉藤さん:広告制作側として感じた変化は、大山さんもおっしゃっている通りの内容ですね。パッケージの指摘はどうしても感覚的なものになってしまうので、お客さま企業の感覚を読み取る必要があったり、認識違いが生まれてしまうこともあったりしました。今回のプロジェクトでは、「この要素が秀でていて評価が高かったので、この要素をさらに強くしてほしい」というような具体的な指摘だったので、何をどうすればいいのか明確に理解することができました。
―実際にどのようにデザインを選定していったのか教えてください。
大山さん:デザインが完成したタイミングで、D-Plannerを使ってデザインを評価にかけました。これをもとに選定していくのですが、今回最優先したのは好感度です。好感度というのはいろんなクリエイティブを作るときの重要指標で、中長期的に売れる商品になるかを判断する目安となります。
次に示す画像が実際の今回の実験で好感度の指標を比較したものです。どの商品の好感度が高いのか一目でわかります。今回は左から3つ目の1Abですね。
画像③パッケージの好感度予測結果
また、もう一つの観点として、「リフレッシュ」というキーワードが想起されるかどうかも判断の材料としました。「好感度」と「リフレッシュ」、これら二つの観点が優れているものを選び、ブラッシュアップしていきました。
次のグラフを見てください。各ドットの先頭が「1」となっているものが第一世代、そして2(第二世代)、3(第三世代)につれて改良版になるのですが、リデザインをするにつれて好感度とリフレッシュ感が上がっていくのがわかります。
画像④パッケージの好感度とリフレッシュ感を示したグラフ
―最終的に選定されたデザインはどのようなものでしょうか?
大山さん:次の画像の1番右のデザインです。左の4つが第一世代、中央の3つが第二世代、右の3つが第三世代です。
画像⑤制作したデザイン(左から第一世代、第二世代、第三世代)
―パッケージを作るうえでの今回の指摘の内容って、全く思いつかなかったというようなものですか?それとも言われてみればそうだな、と感じるものですか?
斉藤さん:言われてみればそうだな、という感じでした。自分が気づけていなかった部分があるかの確認に使いやすいなと思いましたね。でもこれから使っていく中で考えたこともなかった指摘は出てくるかもしれないです。
―D-PlannerによるAIでの評価はクリエイティブを作る人からするとプラスでしょうか?自分で作っているものに対してAIで評価されるというのは抵抗があるのではと思うのですが。
斉藤さん:私としてはプラス評価ですね。デザイン制作はひらめきや勘も大事ですが、私はロジックから導き出したいという思いが根底にあります。広告制作って想像以上に感覚の世界になってくるので、ロジックで制作できるのは大きいと思います。
D-Plannerで根拠を持った広告デザインを~まとめ
今回の取り組みを通して、D-Plannerが広告デザインを変革しうる可能性を感じていただけたのではないでしょうか。いままでは個人の感覚で、「なんとなく違う…」となっていた部分を短時間で具体的に指摘できることは大きな変化なのだと思います。
今回の記事でD-Plannerについて興味を持った方は、ぜひこちらのWebサイトをご覧ください。また、ご質問などもお気軽にご連絡ください。