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2025.4.30業界トレンド/展望

世界シェアNo.3を誇る、NTT DATAのデータセンター戦略

生成AIの普及を含めたデジタル技術の急速な進化とともに、データセンターの需要は高まりを見せ、グローバルでの市場規模は2028年には約20兆円を超えると見込まれている。NTT DATAはこの変化を見据え、データセンター事業を次世代の成長を担う事業の柱として位置づけて、2023年度から2027年度に向けて1.5兆円以上の投資を計画している。

本記事では、NTTデータグループ コーポレート統括本部 事業戦略室 事業戦略部 DC&GB推進室室長の進藤数馬と、NTTデータ テクノロジーコンサルティング事業本部 テクノロジーコンサルティング事業部 統括部長の渋谷誉人が、AI時代のデータ処理を支えるインフラとして重要性が一層増すデータセンター事業のこれからについて解説する。また、データセンター市場において世界シェア3位を占めるNTT現況の解説や、先進的冷却技術を検証する「Data Center Trial Field」の取り組みなど、国内外におけるデータセンター事業のホットトピックスを紹介する。
目次

データセンター市場の動向とNTT DATAのポジション

グローバルのデータセンター市場は、2020年から2028年にかけて年間平均13.5%で成長すると予測されている成長領域です。この8年間で市場規模は2020年の508億ドルから2028年の1368億ドル、日本円だと約20兆円へと拡大し、約2.5倍以上の規模になると見込まれています。

図1:データセンター市場の需要予測(出典:NTT IR DAY 2023)

さらに、生成AIの進化と一般化によってデータセンターへの需要は全世界で拡大しています。こうした生成AIの需要が、上記の需要予測をさらに2割以上押し上げると言われているのです。

NTTデータグループ コーポレート統括本部 事業戦略室 事業戦略部 データセンター&グローバルビジネス推進室
進藤 数馬

NTTグループのデータセンター市場における立ち位置について、進藤はこう語ります。
「NTT DATAにおけるデータセンター事業はグローバルシェアを約6%有しており、シェア14%のEquinix(エクイニクス)、シェア9%のDigital Realty(デジタル・リアルティ)に続いて世界第3位となっています。グローバルな幅広いサービス提供により、IDCのレポートにおいてもメジャープレーヤーに位置づけられており、プレゼンスを発揮しています。(図2参照)また、国内においてはNTTデータ単体で首位に位置づけられています。」(進藤)

図2:データセンター市場におけるNTTグループのポジション(出典:NTT IR DAY 2023)

海外におけるデータセンター事業は、NTT DATAの海外事業を統括するNTT DATA, Inc.配下にあるNTTグローバルデータセンターが担っており、大規模なクラウドサービスを提供するハイパースケーラーが主な顧客ターゲットです。

NTTグローバルデータセンターは、現在海外に91拠点、133のデータセンターを保有(一部は計画中)しており、2025年1月時点で1,455メガワットを運用中、822メガワットが計画中となっています。今後も旺盛なデータセンター需要に応えていくため、アメリカ、EMEA(欧州・中東・アフリカ)、インド、APAC(アジア太平洋地域)、それぞれで提供容量の増強を計画中です。

図3:NTTグローバルデータセンターのデータセンターの現状・建設状況

NTT DATAのグローバルデータセンター市場における競争優位性について、進藤はこう語ります。
「まず、グローバルで高度に標準化されたデータセンターの設計基準に合わせ、高品質なデータセンターをスピーディーに計画していくことができる力があります。さらに、アプリケーション領域からデータセンター等のインフラ領域までフルスタックでサービス提供を行うことで、お客さまのさまざまなDXニーズやビジネスモデルの多様化に対応し、付加価値の高いサービスを提供することができます。
そして、NTTグループの一員である総合力を活かし、最新の研究開発の成果やIOWN(※1)などの次世代技術も積極的に導入することで、先進的な取り組みにもチャレンジしていきたいと考えています。」(進藤)

(※1)

IOWNとは、光の技術を軸とした次世代の通信・コンピューティングインフラのこと。従来の電気信号を光に置き換えることで、低消費電力、大容量、低遅延を可能にする。

NTT DATAのデータセンター事業投資と展開

さらにNTT DATAのデータセンター事業の具体的な展望、投資計画について、進藤はこう語ります。「データセンターの需要の急拡大に伴い、2023年度から2027年度で1.5兆円以上の事業への積極的な投資を計画しております。安定的・堅実に利益を生み出す新たな事業の柱として育成すべく、データセンター事業を注力領域として積極的な投資を行っていく予定です。」(進藤)

具体的な取り組みとして、国内では京阪奈(2026年2月完成予定)、白井(2027年3月完成予定)、栃木での大規模データセンター開発計画に加え、海外ではインドのムンバイでデータセンター間のIOWN (※1)APNの接続や、インド、シンガポール、マレーシア間の海底ケーブル(MIST)の接続開始に向けた取り組みも進行中です。

特に関東エリア最大規模となる栃木データセンターは、100メガワットの電力容量を予定しており、ハイパースケーラー向けの大規模データセンターとして、AI基盤の設置場所としての利用を見込んでいます。2028年頃の開業を予定しており、IOWN APNの実装や最先端の冷却技術(直接液冷方式「Direct Liquid Cooling」)も導入予定です。

栃木市に新たなデータセンター用地を取得~関東エリアで大規模データセンター建設を計画~
https://www.nttdata.com/global/ja/news/topics/2025/020500/

NTT DATAの国内での具体的な取り組み

国内においてNTT データは現在13カ所のデータセンターを保有し、電電公社時代から50年以上にわたってミッションクリティカルなシステムを安定運用してきた実績を持っています。
さらに、NTT DATAの国内データセンター事業における強みについて渋谷はこう語ります。

NTTデータ テクノロジーコンサルティング事業本部 テクノロジーコンサルティング事業部
渋谷 誉人

「一級建築士や施工管理技士、電気主任技術者といったデータセンター運営に欠かせない技術者が100名以上在籍している点は、IT業界の中でも大きな特徴であり、強みです。さらに、お客さまが必要とするITインフラ構築から運用まで一気通貫のサービスを提供できることも特徴です。施設の建設や運営といった物理的なデータセンターサービスに加え、NTT データのプライベートクラウド『OpenCanvas®』や『Oracle Alloy』などのクラウドサービス、さらにはアプリケーション領域まで、フルスタックで提供しています。」

このような強みを活かしたサービスとして、自社がデータセンターサービスを提供するのみならず、顧客のデータセンターの資産の最適な活用を支援するサービスを開始しました。企業が所有する老朽化の進んだデータセンターを不動産資産として、利活用(リテンション)・処分(カーブアウト)の方針策定および実行を支援するコンサルティングサービスを提供しています。

資本効率向上を実現する「データセンター資産最適化支援サービス」の提供を開始
https://www.nttdata.com/global/ja/news/topics/2024/122500/

また、NTT DATAは2040年までにNet-Zero実現を目指す「NTT DATA NET-ZERO Vision 2040」を策定しており、その中で自社の排出量の約7割を占めるデータセンター事業についてはエネルギーの効率化、省エネルギー、再生可能エネルギーの導入を推進しています。

サステナビリティの観点での最新の取り組みとして、三鷹データセンターEASTでは、東京電力エナジーパートナー株式会社と株式会社プロメディアと協力し、オフサイトのフィジカルPPA(※2)を締結することで、データセンターへの遠隔地メガソーラーの再エネ電力を導入しました。国内のデータセンターとしては最大規模となる年間440万キロワットアワーの再生可能エネルギーを調達しており、年間で約1,580トンのCO2排出量削減が期待できます。

(※2)

オフサイトフィジカルコーポレートPPA(Power Purchase Agreement)とは、企業が再生可能エネルギーを小売電気事業者から長期にわたって固定価格で購入する電力購入契約のことであり、需要場所から離れた場所にある発電施設から一般の送配電網を介し30分同時同量を確保して小売電気事業者が電力と環境価値をセットで需要家に供給する形態を指す。

データセンターで遠隔地メガソーラーの再エネ電力を使用開始 ~三鷹データセンターEAST利用者に対するカーボンニュートラル化を支援~
https://www.nttdata.com/global/ja/news/release/2024/030100/

先進的冷却技術の共創環境「Data Center Trial Field」

2010年代は仮想化技術の発展に伴って、クラウド事業者向けのデータセンター需要が急拡大しました。そして、20年代に入ってからは全業界のDX化と生成AIの広がりによって、データセンターに求められる計算処理が増大しています。10年代は4〜20kWだったラック当たりの負荷が、20〜100kWに増え、高負荷化への対応が求められています。
こうした変化により、データセンター事業の大きな課題となっているのが高密度、高発熱となるサーバーを冷やす冷却技術の改良です。従来のサーバーを空気で冷やす「空冷方式」だけでは熱処理が難しく、冷却効率が高い水冷サーバーや液浸冷却などの「液体冷却技術」が注目されています。

「サーバーの発熱化が進むことで、冷却技術が進化を迫られているという課題があります。いろいろなデータセンターや空調技術、空調設備について、一堂に会して、いろいろな業者が知見を持ち寄り、意見のすり合わせや新たな技術の開発を行う場が必要だと感じていました。」(渋谷)

こうした課題を解決するため、NTT DATAは2024年11月に『Data Center Trial Field』を開設しています。 千葉県野田市に設置されたこの共同検証施設では、2025年3月6日時点で9社(日比谷総合設備株式会社、桑名金属工業株式会社、日比谷通商株式会社、The Chemours Company (Chemours)、三桜工業株式会社、東亜電気工業株式会社、株式会社ゲットワークス、株式会社アステックス)の協力のもと、異なる業界の企業が知見を持ち寄り、データセンターの液体冷却技術の活用推進に向けた取り組みを行っています。

「本施設では、データセンターを再現した環境下で液体冷却技術の実機稼働が可能になるほか、データセンターの効率性向上のための最適な冷水温度・流量を探る検証や、既存データセンターへの導入に向けた監視システム・施工・運用面の適応可否確認、実機導入のための保守作業員のトレーニングを行うことが可能です。 引き続き、さらなる企業の参画(データセンター事業者、機器メーカー、ITベンダー、研究機関など)を目指して声がけを行っております。課題解決に向けた共同検証を行うことで、業界全体の技術発展に貢献していきたいと考えています。」(渋谷)

図4:先進的冷却技術の共創環境としてData Center Trial Fieldを開設

データセンターにおける液体冷却技術の活用推進に向けて、「Data Center Trial Field」を開設
https://www.nttdata.com/global/ja/news/topics/2024/112100/

サステナブルなデータセンターの実現に向けて

データセンターは、デジタル社会を支える重要なインフラであり、生成AIの進化に伴ってより高い電力効率と信頼性が求められています。NTT DATAは国内最大のデータセンター事業者として、フルスタックでのサービス提供力とNTTグループの一員としての総合力を活かし、今後もお客さまのDXと社会の持続可能性に貢献していきます。

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