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新たな需要創出に向けたデジタル変革 ポイント制度の創設をはじめとする3つのDXプロジェクトを完遂
2024年4月12日

新たな需要創出に向けたデジタル変革
ポイント制度の創設をはじめとする3つのDXプロジェクトを完遂

東海旅客鉄道株式会社(以下、JR東海)は、グループの共通ポイントサービス「TOKAI STATION POINT」を2023年10月1日より開始した。その中核となる顧客管理の基盤としてCAFIS Explorerを採用し、NTTデータとの緊密なパートナーシップのもとで一連のDXプロジェクトを推進した。

「TOKAI STATION POINT」を創設した狙いを教えてください。

東海旅客鉄道株式会社 事業推進本部 担当課長(DX・マーケティング総括) 小林 丈通 氏

東海旅客鉄道株式会社 事業推進本部 担当課長(DX・マーケティング総括)
小林 丈通 氏

小林氏コロナ禍で鉄道会社の需要は大きく消失し、アフターコロナ時代を迎えた現在も人々の生活様式は大きく変化しました。一方で技術革新により、公共交通領域にも新たなプラットフォーマーやゲームチェンジャーが続々と参入しています。さらに将来的な人口減少も避けられず、鉄道会社を取り巻く事業環境は厳しさを増しています。

こうした変化を踏まえてJR東海では、グループ事業の増収と鉄道の需要創出を目指し、「グループ事業の共通ポイント制度創設によるCRM強化」と「鉄道データとグループ事業データの連携によるグループ全体の需要創出」、そしてこれらの施策を可能とする「グループ共通プラットフォームの構築」の3つのDXプロジェクトを同時に始動しました。なお、グループ共通プラットフォームは、「駅ビル共通営業システム」と「デジタルマーケティング基盤」の大きく2つの基盤システムで構成されています。

神戸氏TOKAI STATION POINTの創設は、3つのDXプロジェクトのうちの「グループ事業の共通ポイント制度創設によるCRM強化」にあたります。

デジタルマーケティング基盤に蓄積される会員データ(リアル・デジタル行動)を分析・活用し、お客様に対する理解を深め、効果的なマーケティング施策の企画・実施・効果検証を行い、新幹線・在来線から非鉄道事業にまたがるグループ内事業間のクロスセルを促進します。これによってお客様のグループLTVを最大化し、グループ全体の増収につなげていきます。

顧客管理システムに「CAFIS Explorer」を選定した理由は何だったのでしょうか。

小林氏最も重視した点は、非常に高いセキュリティと可用性を有しているかどうかです。CAFIS Explorerは、過去に重大なインシデントやシステム停止を起こしたことがなく、個人情報なども安心して預けることができます。またSaaSであるため、今後の法令改正などが行われた際にも追加投資を行うことなく、迅速に対応することができます。

神戸氏加えてポイント事業への豊富な適用実績や、フレキシビリティの高さも重視しました。当社グループでは一部の駅ビル会社でも独自のポイント制度を運営しています。単一のシステムでこれら既存のポイント制度を維持しつつ、共通ポイントを新設することが可能であること。さらには他社ポイントとの連携や交換も容易に可能である点に、CAFIS Explorerのメリットを感じました。

NTTデータをプロジェクト推進のパートナーに選んだ理由をお聞かせください。

東海旅客鉄道株式会社 事業推進本部 マーケティング・DX推進 神戸 美花 氏

東海旅客鉄道株式会社 事業推進本部 マーケティング・DX推進
神戸 美花 氏

小林氏グループ共通プラットフォームの開発フェーズに入ったのは2021年度の中頃ですが、駅ビル営業システムとデジタルマーケティング基盤、そしてお客様の接点となるポイントアプリの3つのシステムを同時並行で構築する必要があり、必然的にパートナーには非常に厳しいスケジュールでのプロジェクト完遂を求めることになりました。この条件に対して最も実現性の高いプランを提示してくれたのがNTTデータだったのです。金融系や社会インフラなどの大規模案件の実績も豊富で、ワンベンダーで責任を持ってプロジェクトにあたるという姿勢も心強く感じました。

神戸氏実際、NTTデータにはシステム面だけでなく、業務の観点からもTOKAI STATION POINTのサービス設計をリードしていただきました。NTTデータは、サービス設計としてポイント事業を非常に深く熟知しており、その高いノウハウを生かしてTOKAI STATION POINTの構想段階からコンサルティングを行ってくれました。このように、良きビジネスパートナーとしてNTTデータがプロジェクトを伴走してくれたおかげで、魅力的なポイントプログラムを実現できたと感謝しています。

グループ共通プラットフォームの完成で得られた効果を教えてください。

小林氏駅ビル共通営業システムの基幹となる売上管理(デジタルバックオフィス)を中心として、会員管理(CAFIS Explorer)、決済サービス(CAFIS Arch)、さらには分析プラットフォームなど、複数システム間のシームレスな連携が実現しました。これによってシステム運用コストの削減や業務効率化を図り、生み出された原資を収益拡大のためのデジタルマーケティング施策へ転換させています。

プロジェクトを振り返ってNTTデータはどのようなところに貢献していましたか。

小林氏今回の駅ビル共通営業システムの稼働にあわせて、駅ビル9社の会計仕訳共通化も同時に実現しています。こうしたことから開発作業は困難を極め、一時はローンチの遅延や、ユーザーテスト後のシステム切り替えスケジュールの変更を覚悟せざるを得ない状況に陥りました。しかし、その後のNTTデータの“巻き返し”は凄まじいものがありました。開発メンバーを3倍に増やしたり、社内や関係会社の有識者を集結させたり、特に仕訳共通化については経理の専門家もアサインするなど、プロジェクトを的確にリードしていただいたおかげで、当初の計画どおり無事にプロジェクトを完了することができました。卓越した総合力とリカバリー能力をもったNTTデータでなければ、これは決して成し得なかったと思われます。

今後の展望をお聞かせください。

神戸氏2024年4月からは、駅構内のコンビニや土産・弁当店舗などでもTOKAI STATION POINTポイントをご利用いただけるようになりました。引き続き私たちは、ご利用シーンの拡大に努めていきます。あわせて鉄道事業との連携をさらに強化し、ポイントアプリを活用した便利でおトクな情報提供はもとより、たとえば各地の鉄道イベントや自治体と連携した企画など、鉄道を利用する皆様のCX(顧客体験価値)を向上していきます。

小林氏今後に向けても大前提となるのはセキュリティと可用性の強化です。そのうえでグループ全体の一層の業務効率化と生産性向上を推進していくためにも、共通プラットフォームのさらなる機能改善が不可欠です。またサプライチェーンの競争力強化に向けた機能追加として、たとえばOMO(Online Merges with Offline)戦略の推進など、NTTデータには引き続きCX向上に資する施策の提案やサポートを期待しています。

基本データ

会社名 東海旅客鉄道株式会社
本社所在地 愛知県名古屋市中村区名駅一丁目1番4号 JRセントラルタワーズ
設立 1987年4月1日
資本金 1,120億円
代表取締役社長 丹羽 俊介
主な事業 鉄道事業、関連事業
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