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メディア業界の変革をリードし、目指すのは受託体質からの脱却

企業の競争力維持のため、既存システムの高度化やDXが求められる「2025年の崖」問題が目前に迫る中、基幹系システムのモダナイゼーションが大きな課題となっています。スマートライフシステム事業部メディア統括部のお客様である放送局や広告代理店も、例外ではありません。開発担当部長の宮下徳仁は、メディアや広告を取り巻く環境が大きく変わる中で、将来を見据えたビジネス・システムの変革をリードしています。同時に目指すのは、「受託体質」ではなく自ら変革をリードする存在への組織変革です。業界のニーズの変化と組織の展望について話を聞きました。

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フォーキャストを見据えた仮説を立て、変化する業界のキープレイヤーに

スマートライフシステム事業部メディア統括部は、主に広告代理店・テレビ局・有料放送事業者・調査会社などのメディア業界をターゲットに、ビジネスの根幹を支える基幹システムや各種業務システムの開発、保守運用からサービス提供までを幅広く担ってきました。

加えて今は、システム開発を遂行する既存の価値だけでなく、業界のフォーキャスト(将来予測)を見据えた仮説・検証に基づいて新たな役割を果たすことが求められています

例えば、これまで切っても切れない関係にあった「テレビ局」と「広告代理店」も広告のメインがネット広告へと移り変わり、関係性が変化しています。そうした業界の変遷を理解した上で、マーケットの将来を予測し、NTTデータがキープレイヤーとなるためにどのような技術をコアコンピタンスに置くのか。ニーズの変化を捉えて考えていく必要があります。

今後は従来のやり方に加え、お客様の想像を超えるような提案ができるパートナーになっていくことがメディア統括部の目指す組織展望です。

今お客様の目の前にある共通の課題は、「2025年の崖」問題とも呼ばれる基幹系、事業系システムのDX。これまでならばお客様の要件に沿って行っていたシステム更改についても、「ただ作るだけ」に留まらない貢献を目指します。

前回のシステム更改から十数年が経ち、メディア業界各社が使用するシステムは複雑化しています。従来よりSIとしてシステム開発に貢献してきたNTTデータだからこそ、お客様の特性や事業内容に合わせて、DXの構想策定という最上流から開発運用までをリードできると考えています。現状のシステムをどのように刷新し、事業拡大や業務効率化につなげることができるのか、お客様へ自ら提案していくことが求められるのです。

業界の変化と個社の課題の両方に向き合い、業界全体へ向けた価値を創出

そうした業界のフォーサイトを踏まえ、新たなサービスを検討する動きも進んでいます。これからのメディア業界について、宮下は「今後は広告代理店やテレビ局などのお客様だけではなく、コンテンツホルダーが強くなっていく」と仮説を立てています。

人気作品やタレントの放映権やグッズの権利を持っているコンテンツホルダーにとって、テレビは1つの場に過ぎません。しかし、SNSや動画配信サイトをはじめ「メディア」が多様化する中で、自分たちのコンテンツがどのように使われていて、視聴者がどのような反応を示しているのかを俯瞰して把握ができていないという実態があります。そんなニーズに対して、NTTデータならば多様化するメディアのコンテンツをデジタルに管理できるシステムなどを提供できるかもしれません。さまざまなお客様に話を聞きながら、サービスを検討しています。

これまでも、業界の共通課題だった各種権利処理やメタデータ管理、映像編集支援などのサービス「MediaSearch+®」を提供するなど、業界理解に基づくサービス化を進めてきたNTTデータ。今後はさらに、お客様の想像をはるかに超える価値を生み出すプレイヤーを目指していきます。

基幹系システムの更改からコンテンツホルダーへの将来を見据えたシステム提案まで、さまざまなお客様とともに仕事に取り組む中で、それぞれの課題がどこかで繋がると思っています。個社に向けたサービスに横串を通して考え、業界全体の課題に向けたサービスとすることで、お客様がまだ考えていないような効率化や付加価値を生み出せるのです。

宮下が共通課題の一例として挙げるのは、デジタル広告における業界の垣根を超えた連携です。

今後、特にデジタルの広告は旧来のメディアだけでなく、リテール事業者やゲーム、人気のアプリとの連携等、視聴者の訪問頻度が高いサイトやコンテンツとの連携が必要になってきます。これを実現するには異業種間のプラットフォーム連携が必須となりますが、各業界のプラットフォーム構築実績があるNTTデータであれば、そうした挑戦もできるはずです。お客様と違うフィールドを持つ私たちのようなプレイヤーだからこそ、難易度が高い異業種間連携も実現することができます。

挑戦が支えてきたキャリア。メンバーにも「楽しいと思える仕事」を

これまでの「お客様の要望に忠実な開発を遂行する組織」から、「未来を見据えた提案ができる組織」への転換はまだ始まったばかりですが、役割に変化が生まれた開発メンバーも増えています。

あるお客様のシステム維持管理を行ってきたエンジニアは、上流工程の経験がありませんでした。しかし、システム刷新に向けたお客様の構想策定に対し、改善ポイントを見出したんです。そこで、維持管理を行ってきた中で積み上げてきた技術や知見を活かして、「再度このように構想策定を進めませんか」と自ら提案を行ってくれました。一度終わっている構想策定をやり直すという提案でしたので、紆余曲折はあったものの、システムの第一人者としての提案内容を受け入れていただくという結果に結びつきました。

積み重ねてきた技術と信頼には素晴らしい価値があります。それを活かして一歩を踏み出してくれたのが、本当にうれしかったです。

他にも、アジャイル開発を行っているあるメンバーは、お客様の事業部門に入り込み、今年度からは最上流からサービス自体を変えていく事を目標に現場で活躍をしています。自分たちで役割を考え、組織が目指す姿を現場で体現してくれている例ですね。

「メンバーに新たな役割へ挑戦してほしい」という想いの背景には、宮下自身が挑戦とキャリア変遷を重ねてきたことがあります。新卒入社時は公共部門で中央省庁のお客様を担当していましたが、8年目に社内公募で法人部門に異動。エンタープライズのお客様を相手に難案件を乗り切る経験を積みました。さらにその後、経営企画部・財務部では全社の経営戦略や事業計画の策定にも携わるなど、さまざまな業務へのチャレンジを続けてきました。

一つの環境に10年、20年と居続けるタイプの人間ではないのです。その点を上司も理解してくれていたため、「こんなことに挑戦したい」と表明し続けることで、幅広い経験を重ねることができました。その中で、お客様に言われたことをやるだけでなく、自らパートナーとして発信していく仕事の大切さを学べました。

仕事には人生の大半の時間を費やすことになるからこそ、自分が楽しいと思えることをやりたい、やらなきゃもったいないと考えています。大事なのは常に自分ができることよりも高い目標を立てて、チャレンジしていくことです。やったことのない仕事は大歓迎、という気持ちで取り組むことを大切にしてほしいです。

自らが経験と成長を重ねたからこそ、宮下は「NTTデータには、そうした挑戦ができる環境が揃っている」と断言します。変化する業界の将来を見据え、エンジニア一人ひとりが自分の可能性を拡げていける組織として変革をリードしていきます。

※掲載記事の内容は、取材当時のものです