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金融の未来をリードする。変化を恐れずチャレンジする人財が集い、業界の新しい常識を作っていく

メガバンク、地方銀行、保険会社など、金融業界の中で多岐にわたるお客様を持つ金融分野。部門ごとに異なるお客様と相対しながら、分野全体で「金融の未来をリードする。」というキーメッセージを掲げています。このメッセージには、金融業界の課題解決を通じて、金融の枠を超えた社会貢献にも寄与するという意思が込められています。今回は異なる2つのプロジェクトを通じて、NTTデータの金融分野がどのようにお客様と伴走しているのか、そしてどのように社会に影響を及ぼしているのかをお伝えします。

目次

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インタビュー動画

ご覧いただいたのは、まさに「金融の未来をリードする。」を体現している2部門のインタビュー動画です。このように、当社金融分野のプロジェクトは、起点こそ金融業界の課題解決ですが、プロジェクトを動かす先には「社会全体に良い影響を与えたい」という想いがあります。お客様のエンドユーザー様に、便利で豊かな生活を送ってもらいたい。金融を通じて、地域の活性化を実現したい。全部門が同じように誇りと情熱を持って、自身の携わるプロジェクトに取り組んでいます。そして「リード」に欠かせないのは、まだこの世にないものを作ること。世の中のニーズや社会の変化に合わせて、新しいサービスを提案・開発していく――そんな役割を担うことができます。

次章以降では、動画でご紹介した2部門のプロジェクトについてご紹介します。「自分がこの環境に加わったら、どんな仕事ができるだろうか」と、ぜひ技術者視点で想像してみてください。

1億2000万の口座を預かるゆうちょ銀行で、時代を先取りする変革を

金融業界のデジタル化は加速し、もはや安定稼働を守るだけでは立ち行かない時代。金融機関をITで支援するには、クラウドの活用やサービス連携、ユーザー体験の改善といった将来の構想を同時に考え、伴走することが求められるようになりました。お客様の持つ金融基盤が巨大であればあるほど、高度な保守力と技術的な先見性の両立が不可欠です。その点において、郵政・政策金融事業部の果たす役割は非常に大きなものになっています。お客様であるゆうちょ銀行は、都市部から地方まで幅広いシェアを獲得している国内屈指の金融機関であり、口座数は約1億2000万にものぼります。

松浦、西川、川口が担当するのは、ゆうちょ銀行のデジタル推進の中核を担うシステムである「デジタルバンキングシステム」です。インターネットバンキングやスマートフォン用通帳アプリなど、さまざまなデジタルサービスの利用に必要なもので、現在では1日に1640万件にのぼるピークトラフィックを24時間365日、常に提供するミッションクリティカルなシステムとなっています。

「我々の存在がなければゆうちょ銀行システムは成り立たない」という自負を持って仕事に取り組むチームの面々。システム共通担当としてPMOを務める松浦は、次のように語ります。

我々とゆうちょ銀行様のお付き合いは約40年。インターネットやスマートフォン、アプリが広く普及する前からシステムを開発・運用しています。5〜6年に一度のシステム更改を繰り返し、常に進化を続けてきました。
近年、ゆうちょ銀行様は『進化する、ぬくもり。』というキャッチコピーを掲げています。これは、利用者様のすぐ傍で寄り添える存在になりたいという想いが込められたもの。その理念を実現するためには、デジタルバンキングシステムの存在が不可欠です。安定稼働を守りながら、利用者様の利便性を高めるサービスを展開していかなければいけません。

直近では、一定額の個人間送金を手数料無料で行える「ことら送金」に対応しました。このプロジェクトの案件主管を務めたのは、松浦と同じくシステム共通担当を務める西川。「新しい機能や処理を加える際の品質担保にも大きな責任が伴います」と、品質管理の重要性について述べました。

我々はKPIとして、重大インシデントの発生0件を目指しています。デジタルバンキングシステムは多数の利用者様に提供するサービスを担っている分トラブルが発生した際のインパクトの大きさも十分に理解しているので、トラブルを防ぐための対策や提案にも余念がありません。私としても、チームとしても、品質管理には十分に気を配ってきました。品質保証計画の策定やリスク管理など、さまざまな取り組みを通して品質を担保しています。このような取り組みを長きにわたって実践してきた姿勢が、確かな実績を積み上げてきました。これこそがお客様から信頼され、プロジェクトを任せていただける理由です。

大規模システムを扱う責任感が、NTTデータ社内の結束をより強固にしました。類似のテーマに臨むチームは横串で情報連携しあい、組織の垣根を越えて有識者にピンポイントで協力を求めることができます。課題に直面しても、迅速に正しく解消できる体制があるため、多くの機能が複雑に絡み合うデジタルバンキングシステムであっても、高品質なアウトプットを提供することができるのです。

「保守だけでなく、我々からお客様へ提案する機会も増えてきています」と語るのは、フロント部分に特化した開発チームをマネジメントしている川口。開発部門は、デジタルバンキングシステムの中でも特に、お客様への積極的な提案を実践している部門です。

ゆうちょ銀行様は、居住地や年齢層を問わず幅広い利用者様にご愛顧いただいています。多くの利用者様の期待に応えるため、ゆうちょ銀行様からは多くのご要望をいただきます。その中でも、我々からどのような提案をしていくべきか、どのような価値提供ができるのか、というのは常に考えていますね。利用者様からの声をNTTデータ側で分析し、新たなサービスの案をお持ちするという動きを増やしていきたいです。開発を担うチームでは、そのような営業に近い役割も担えるので、非常に面白みがあります。
面白みややりがいの面で言えば、NTTデータが提供する各アプリの要件調整から運用まで、一連のフェーズすべてにコミットできることも挙げられます。組織として幅広いレイヤでの開発を一括して担っているため、プロジェクト全体の最初から最後までやりきる経験ができるのは非常に魅力的だと思います。
他にも、ゆうちょ通帳アプリは、アプリストアのファイナンス部門で長期にわたり上位にランクインしており、多くの方にご利用いただいています。そのような社会的に大きな影響を与えているアプリに携われることは、開発者冥利に尽きますね。

ゆうちょ銀行のデジタル推進が「安定稼働を保ちながら、利便性向上に向けて進化していく」という理想的な形で進めば、社会インフラとしての立ち位置が強固になります。さらに大きな影響力を発揮し、日本全国あまねく企業や個人、すべての利用者様の活動を支えられる存在となるでしょう。今後の展望について、松浦は次のように見据えています。

ゆうちょ銀行様は、これからもより多くの利用者様に寄り添うべくデジタル推進をしていきます。特に、現在では以前に比べて多様性が増しました。そのため、海外の方など、多様化する利用者様に寄り添った機能追加なども必要になってくるでしょう。今後はAIも活用しながら、利用者様とアプリの結び付きを強め、顧客体験価値の向上に繋げたいですね。お客様の掲げる『進化する、ぬくもり。』の実現に向けて伴走するパートナーとして、さまざまな変革に挑戦していきます。

デジタルバンキングシステムはこれからも変革を続け、ゆうちょ銀行の利用者様の利便性向上に大きく貢献するでしょう。大きな顧客基盤を持つシステムの運営を通じて、社会にさらなる価値を届けていける。そんな可能性を秘めています。

“システムを作る”の先を見据えた、新しい技術者の在り方を目指して

地方の人口減少と経済の縮小が進む中、地域金融機関では収益基盤の強化が喫緊の課題となっています。地方銀行は新たな収益源を模索する必要に迫られ、多くの銀行が地元企業への融資や地域活性化のための新しいサービスを提供するようになりました。

その一翼を担うのが、地域金融機関のお客様を担当する第二金融事業本部です。その中でも角田と川野が所属するデジタルバンキング事業部では、お客様のデータを活用してさまざまな分析を行い、その結果をサービスに還元するとともに、業務の効率化・高度化を支援することをミッションとしています。

データ利活用基盤案件の開発責任者を務める角田は、「本質的な課題にアプローチするためには、単なるシステム提供のみにとどまっていられない」と語ります。

本質的な課題にアプローチするために、「ARISING™」=提言・実装・成果モデルという考え方が社内で主流になりつつあります。システムの提供だけでなく、“何をすべきか”という戦略段階から提言し、実装を経て、そのシステムを活用して確かなビジネス価値を生み出すところまでを一貫して支援していくことが求められています。

「ARISING™」を体現したサービスのひとつが、2023年12月にリリースされたデータ利活用基盤「SIC(Service Innovation Core)」です。SICは、金融機関の内外からさまざまなデータを収集し、グループで保有するお客様の情報を統合して一元管理することを可能にします。蓄積したデータを分析しあらゆる形で活用することで、グループ全体で地域課題を解決し、収益を上げるトレンドに対応しながら、ニーズに合ったサービスを提供できるようになりました。従来との違いは、NTTデータの分析・活用サポートチームによる伴走支援もサービスメニューとして提供されることです。

SICの企画が立ち上がったのは2020年10月。企画・開発を合わせて約3年半かけて実現したプロジェクトです。企画初期段階では、コンサルティング&セールスを担当する川野らによって、複数の地方銀行にヒアリングが行われ、より具体的な課題やニーズが明らかになっていきました。

我々はお客様と近い関係にあり、これからはデータ活用が重要視されることが見えていたため、戦略的に提案を進めていました。最初は概念的な話が多く、「これってどうなるの?」と不安視する声もありましたが、こちらから仮説を立てたり、具体例を出したりして提案を繰り返すことで、次第にお客様からも核心を突くフィードバックを得られるようになりました。

SICは、Snowflakeを基盤とした大規模なデータウェアハウスを活用することで、データ連携やBI・AIによるデータ分析機能を実現しています。データ基盤の開発自体は、社内にノウハウが貯まっていることや、適したメンバーが揃った開発チームを組めたことが功を奏し、順調に進みました。一方で、苦労したのはセキュリティ面と運用でした。お客様が金融機関である以上、セキュリティリスクに対して高いレベルの対策が求められます。技術的な説明を行うだけでなく、お客様が不安視する箇所を整理し、それに対する運用ルールを一緒に考えるところまで、総合的に伴走しました。「説明責任を果たすこともまた、我々の役目です」と、角田はいいます。

京都銀行に続き、西日本シティ銀行が導入を決定。さらに2024年には鳥取銀行、大分銀行が導入を決めました。導入行は拡大しつつありますが、川野は「まだまだこれからだ」と意気込みます。

データ分析では、課題設計や分析結果をどのようにビジネスに活用していくかが重要です。継続的に、お客様の抱えている課題を仮説・提言しながら機能面でのレベルアップを図り、AIをどう取り込み、どのように事業に活かしていくかを考えなければなりません。
SICは現在も引き合いがあり拡大が見込めます。このチャンスを活かし、導入済みの銀行同士で交流や好事例の共有が気軽にできるコミュニティ運営にも取り組みたいですね。それらの環境が整うことで、SICの価値をより実感してもらえるのではないでしょうか。
最終的には、エンドユーザーの消費活動が活発になり、お客様である地方銀行の発展・地方創生に繋げられるよう日々検討を進めています。お客様の共創パートナーとして、「妥協しない、最後までやりきる、まずはやってみる」、この意識を常に持っています。

この意気込みを現実のものにすべく、川野は昨年、社内資格でアソシエイトデータサイエンティスト(ビジネス)を取得しました。日々進化する技術——例えばAIエージェント——を学びながら、実ビジネスで価値を出す取り組みに繋げていきたいと語ります。「成長を目指したい人にはぴったりだ」と、角田も太鼓判を押します。

私たちの組織では、「業界初の」や「業界を横断する」という枕詞がつくプロジェクトに多く取り組んでいます。金融業界のトレンドを先取りし、最新技術も積極的に活用しながら業界の新しいスタンダードをつくるような仕事ができるはずです。リスクがあっても、「業界のリーディングカンパニーである我々がやらないと誰がやるんだ」、そんな挑戦の姿勢を皆が持っています。若手へのチャンスも多く、実際に川野も入社1年目の冬からSICの顧客ヒアリングを担当していました。やる気と実力があれば、年齢関係なく、どんどん任せます。本人の実力を見極めて、「この仕事なら任せられる」と思ったものを選んで任せていくので、安心して成長していける環境です。
最近はAIの台頭が著しく、ゲームチェンジの局面にあると感じています。従来のやり方では市場の変化に対応できず、我々の仕事すら淘汰されるリスクもあると感じています。だからこそ、この先10〜20年を見据え、AIの活用方法や価値を一緒に創出してくれる方と働きたいですね。

デジタルバンキング事業部は今後も新しい価値を創造し、金融業界の新しいスタンダードを築いていくことでしょう。それだけでなく、金融の枠にはまることなく、まだ世にないシステムやサービスを生み出すポテンシャルを大いに秘めています。

※掲載記事の内容は、取材当時のものです