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2020.8.25技術ブログ

COVID-19により米国で急速に進む産業構造の変化 Vol.1 物流編
〜危機の時こそ積極的に加速する米国の力強さに学ぶ〜

NTTデータは北米でテクノロジートレンドの調査やMIT等の先進研究機関やスタートアップと先進的なPoCを進め、お客様への情報提供や提案に活用している。今回、現地に駐在する社員から、COVID-19により米国で進む変化について4つの業界についてレポートする。
これらの変化のコンセプトは決して新しいものではないが、危機の時こそ積極的に投資して予見されたコンセプトを実装し加速する米国の力強さは、われわれ日本企業も学ぶところが多い。

  1. 物流 ~ Resilient Supply Chain
  2. リテール ~ 店舗は生き残れるか
  3. ヘルスケア ~ 遠隔医療の進展
  4. 金融 ~ 金融のリバンドル

ラストワンマイル自動配送の浸透

最初にお届けするのが物流業界の変化です。Stay at Homeにより食品や飲料の配送需要が非常に高まっており、慢性的な配達要員不足や人との接触による感染拡大を解決するために、ロボットやドローンによるラストワンマイルの自動配送が広がりを見せています。例えば、2014年創業のStarship Technologiesは、これまでも自動配達ロボットの実証実験を繰り返し、今では、ワシントンD.C.やカリフォルニア州でスーパーマーケットやレストランから個人宅への自動配送を実施しています。

映像1:弊社シリコンバレーオフィスにて撮影~米国のデリバリーロボットの様子~

Resilient Supply Chain

一方、今回のパンデミックでは、より大きなグローバル・サプライチェーンの脆弱性も露呈しました。Appleが新型iPhoneの発売を延期した理由の一因として、アジアでのサプライチェーンの乱れがあると指摘されたり、食肉工場でクラスターが発生して肉不足が懸念されたりする等、消費者にも影響する形でサプライチェーンの乱れが顕在化しています。また、国防生産法の発動により、自動車メーカーのGMが人工呼吸器を生産する等、これまで予想もしなかったような急な需要の変化への対応に多くの製造業が追われています。
こうした不確実性に対応するために、強靭なサプライチェーンネットワーク「Resilient Supply Chain」を構築しようという動きが米国で本格化しています。これは、今回のパンデミックによって新たに発生した動きというよりも、ここ数年、米中貿易摩擦や災害の大規模化によってグローバル・サプライチェーンが機能不全に陥ることが増えてきたことへの対策として既に検討されていたコンセプトが、より強力に推進されるようになったと考える方が正確でしょう。

図1:A growing number of risks threaten supply chains today, but investments can restore resilience (Source: Bain & Company)

図1:A growing number of risks threaten supply chains today, but investments can restore resilience (Source: Bain & Company)
https://www.bain.com/insights/supply-chain-lessons-from-covid-19/

このResilient Supply Chainを構成する要素には、以下のようなものが含まれます。

(1)柔軟なネットワーク

混乱に迅速に対応するための、突然の供給不足や新製品の生産にも対応できる柔軟なサプライヤーやパートナーのエコシステムの構築。代替の製造拠点の確保、サプライヤーの冗長化。特に米国ではオンショア(国内生産)回帰が強まることとあわせて対応を迫られる。

(2)DX推進

SCM管理アプリのクラウド化による事業継続性の確保。工場や配送センターでのロボット活用によるクラスター発生回避と生産機能低下リスクの低減。RaaS(Robot as a Service)による急な需要の変化に対する生産力の柔軟性の確保。労働者に対するロボットのコストメリットは増す一方であり、ロボット導入はオンショアに伴う人件費高騰に対する切り札となる。

(3)透明性と可視化

サプライチェーン全体の供給状況を迅速に可視化し、需要予測とマッチングさせる必要が出てくる。ブロックチェーンやIoTによるトレーサビリティが重要性を増す。

(4)予測の高度化

AI/ML、ビッグデータを活用することで精度の高い需給予測と早期の警告発信を行うことでリスクに備える。またリスクにおける対応シナリオを整備することで、危機に即応可能にする(※)

日本市場に対する示唆

ラストワンマイルにおける自動配送や、倉庫や工場における産業ロボット導入は感染防止策として有効であり、日本でも関心が高まると考えられます。一方、米国に比べて日本の人件費が低いことや日本の法規制の複雑さから、急速には普及しない可能性もあります。また、日系企業にとっても強靭なサプライチェーンの構築は重要であり、そのためにはサプライチェーンの需給予測におけるリアルタイム性と精度を高めるための技術の高度化が求められると考えられます。
米国がこうした事態に即応できているのは、これまでの投資と実証実験の蓄積があるからであり、さらに、危機の時こそ積極的にコンセプトを実装し加速する米国企業の力強さは、われわれ日本企業も学ぶところが非常に多いと感じます。

次回はリテール編をお届けします。

(※) 2020年5月には、米国の物流大手FedExとマイクロソフトが、悪天候や自然災害、通関における問題や住所不備等、物流のさまざまな状況や問題をニア・リアルタイムで把握するソリューション「FedEx Surround」の協業を発表しました。

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