2019.12.26

「金融×IT」のイメージを変える。営業企画が目指す、異業種コラボとイノベーションの創出

現在、営業企画として活躍する久松一哉は、もともとエンジニアとしてキャリアを築いてきた人物。開発と営業、二つの側面から金融業界に携わってきた彼が考える「金融×IT」の奥深さとは?
さらに異業種コラボレーションによって新ビジネスやイノベーションの創出を目指す、その仕事ぶりをご紹介します。

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28歳の過信。転職して思い知った「これからのSIer像」

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久松 一哉
第四金融事業本部
金融グローバルITサービス事業部

久松がNTTデータの一員になったのは2008年、彼が28歳の時でした。新卒で入社した大手SIerでは約5年間、SEとしてクレジットカード領域の開発・保守を経験。新たなフィールドに求めたのは、「幅広い仕事に関わるチャンス」と「キャリアに刺激を与える出会い」だったと言います。

久松 「まだ若かった私は、ひとつの業界に特化するのではなく、金融や民間企業のシステムから社会インフラまで、バランスよく手掛けている会社に魅力を感じていました。それにそうした企業であれば、自分にとってロールモデルとなる人にも出会えるのではないかと。それがNTTデータを志望した理由でしたね」

経験は積んだ、自信もついた、自分はもっとできるはずだ。久松は、期待に胸を膨らませていました。しかし――。

久松 「転職して、いきなり壁にぶつかりました。NTTデータには圧倒的に優秀な人がごまんといて、いい意味で鼻っ柱を折られた感覚がありました」

久松をもっとも驚かせたのは、「モノづくり」に対するスタンスの違いでした。

入社後の配属先は、前職の経験を存分に活かせる、クレジットカード領域の開発チーム。しかし、NTTデータのエンジニアはシステム作りを手掛けるだけでなく、「その先のビジネスの成功」まで考えて行動する。営業サイドも、お客様やエンジニアと二人三脚で事業を作る、新しい価値を生むことを目指す。それらは、久松が培ってきた“SIerの概念”を拡張するような取り組みばかりでした。

久松 「各組織が、非常にエッジが立っていることにも面食らいました。例えば、最先端のテクノロジーを研究する技術革新統括本部。この部署のエンジニアは尖った人財ばかりで、最新技術に長けているだけでなく、それらをいかにビジネスと融合できるか検討し、企業に対して超上流からコンサルティングも行い、最終的には実装まで手掛けることができるんです。こんな集団に入って、自分はどう価値発揮するんだと、正直焦りましたね」

壁を乗り越えるために、久松は精一杯ひたむきに仕事に向き合い続けました。その道程は、「十分に経験を積んだ」と思っていた「金融×IT」の奥深さを再認識するきっかけにもなりました。

「金融案件と聞くと、絶対にミスの許されない世界で、レガシーかつハードというイメージを持つ方も少なくないかもしれません。しかし、それはあくまでひとつの側面に過ぎない」と、久松は語ります。

久松 「金融は、あらゆるビジネスの『ハブ』になる業界だ、と考えるようになりましたね。お客様も色々な業種とのマッチングを検討していますし、我々もフットワーク軽く、“アイデア勝負”というところを意識して取り組んでいますね」

金融は、業界の垣根を越えてビジネスとビジネスをつなぐ“社会インフラ”になる。そして、他業種とのコラボレーションによって「金融×IT」は無限の可能性を産む。こうしたマインドを得た久松は、ひとつの業界に軸足を置いたまま、転職前に求めていた“幅広い経験”を実現しています。

SEから営業へ。尖ったエンジニアを巻き込むことも仕事のひとつ?!

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2016年、久松に大きな転機が訪れます。当時の上司から「部署異動して、営業企画に挑戦してみないか」と打診されたのです。

久松「特に希望したわけではないですが、『嫌だ、できない』という気持ちもなかったんです。ですから、割とすんなり受け入れましたね」

自らの性格を、「昔から平均点というか、及第点をスーッととるのは得意なタイプ」と語る久松は、当時の心境を笑顔でひょうひょうと話します。

営業として初めての担当顧客は、エンジニア時代に開発プロジェクトを手掛けた大手クレジットカード会社。ベースとなる関係性や知見はあったため、リレーション構築などはスムーズだったそうですが、それでも未知の職域へのコンバートは決して簡単ではありません。

久松 「それまではプロジェクトリーダーとして要員を抱えて、いわゆるQuality(品質)、Cost(費用)、Delivery(納期)を達成すれば評価される世界だったのが、営業になるとそうした指針がなくなり、『何をやってもいい』に変わるんですよね。自由度が高い分、はじめは自分が何をしたらいいのか分からず不安でした」

それでも立ち止まってはいられません。久松は試行錯誤を繰り返し、データ活用領域でのAI活用など様々なプロジェクトを提案・実行していきます。そうした日々の中で、久松がポリシーとしていたのが、「現場目線を大事にする」ことでした。

“案件獲得”という面では、経営層との会話が大きな意味を持ちます。しかし、「本質的な課題の把握」や「プロジェクトの成功」を考えれば、現場を動かす課長クラスの方々とのコミュニケーションが重要になると久松は考えました。

久松 「それに『受注して終わり』というスタンスでは、営業と開発チームの間に溝が出来てしまいます。ですから、開発フェーズが始まった後も、時間を見つけては進捗会議などに顔を出し、営業として『フォローアップできることは即対応』を心がけています」

プロジェクトを完遂させるために、地道で泥臭い行動をコツコツと積み重ねる。こうした姿勢は、久松がエンジニア時代の担当営業で、現在は直属の上司でもある営業部長がロールモデルだと言います。

この営業部長から学んだ、もうひとつの大切なこと。それは、「チームアップも営業の大事な仕事」という発想でした。

NTTデータでは、部署の垣根を越えた連携が日常的に行われています。そのため、優秀な人財ほど方々から声がかかり、引っ張りだこの技術者も数多く存在します。一方で、彼らにも自分たちの成すべき仕事・ミッションがあるため、すべての依頼を受けられるわけではありません。

そうした時に、気持ちよく「一緒にやりたい」と思ってもらえるか。腕利きの仲間を巻き込み、実行できるかどうかは、いわば営業の腕の見せ所です。久松が営業部長から学んだのは、「常日頃から絶えず社内に向けた情報発信を行うべし」というモットーでした。

久松 「定期的な会議では、我々のビジネスの状況や大型案件の進行具合は必ずシェアしています。それに、このプロジェクトがスタートすればこんな新しいことができる、こんなナレッジを得られる可能性が高いなど、技術者にとって魅力的な情報もアピールします。

いいプロジェクトは、いい技術者がいないと始まらないですからね。いざという時のために、普段から『あの部署は面白そうだ』と意識してもらえるように心がけています」

異業種との掛け合わせで、「金融」の可能性を高めたい

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高い壁や思いもよらない事態にぶつかっても、めげず、くじけず、地道な努力を積み重ねる。久松はこの姿勢で、エンジニア時代にも大きな挑戦を成し遂げています。

それは大手銀行系のクレジットカード企業の案件で、久松はサブリーダーとして20名ほどのチームに参画していました。ミッションは、現行システムを踏襲した次期情報系システムを開発すること。要件定義や基本設計を終えていよいよ実装へ、という段階で突然クライアントからストップがかかります。

久松 「お客様に詳しい話を伺うと、『より良い次期システムを目指すために、既存の仕組みに縛られずに基礎から再考したい』ということでした。そこで一度チームを解散して、私と上司の2名だけが残り、根本からデザインし直すことになったんです」

プロジェクトの存続自体が危ぶまれる中、次期システムを開発する目的やコンセプトから検討していく――。最上流工程からのコンサルティングは、久松にとって未体験の世界でした。手探りの状況の中、まず行ったのが社内での聞き込み調査でした。

久松 「情報系システムに関して、NTTデータ社内でどういうユースケースがあるのか、徹底的にヒアリングし直したんですよ。当時はまだ転職2年目で社内のリレーションもあまりなかったですし、どちらかと言えば決められたプロジェクトの中で動くケースばかりでした。ですから、社内の色々な部署に『初めまして』と話を聞きにいくのもすごく新鮮でした」

久松は上司と二人三脚で社内外の情報をきめ細かく収集し、体系化してまとめ、先方のケースに仕立てて「もっとも使いやすいデータモデル」を追求していきました。そしてお客様と膝をつき合わせながら新たなコンセプトをまとめ、経営層へのプレゼンも実施。努力が実り、再びプロジェクトにゴーサインが出るまでには約1年を要したと言います。

久松 「クライアントの社長や役員の方と話す機会も、社内のユースケースを収集して先方にあったプランニングをすることも、すべてが初挑戦でした。当時は大変でしたが、あの時の経験が今の仕事に繋がっているなと感じますね」

こうしたエンジニア時代に培った経験に、営業に転身して得た知見や視座を掛け合わせ、久松は今、大きな成果を生み出し続けています。

現在は名だたる大手企業を担当し、数年前まで取引がほぼゼロだった世界的なクレジットカード会社とも、「デジタルをキーワードに、一緒にイノベーションを起こしましょう」と共創関係を構築。

久松 「最近は、お客様と異業界の企業を我々のデジタル技術で結び、新サービスを生み出してPOC(実証実験/Proof of concept)をやってみようという計画も進んでいます。ただ、世の中に広まるような製品・サービスを目指すには、まだまだ高いハードルがあります。それらをクリアして社会にアウトプットしていくのがこれからの挑戦です」

日本全体でキャッシュレス決済の普及・浸透が進むなど、「金融×IT」でイノベーションを目指す動きが加速しています。小さなチャレンジの積み重ねが、いつか社会を変えるような大きな成果を生み出すと信じて。久松はこれからもトライし続けていきます。

※掲載記事の内容は、取材当時のものです