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2013年9月5日技術ブログ

商用DBからOSSのDBへの移行が進む

商用データベース(DB)からオープンソースソフトウェア(OSS)のDBに移行する(乗り換える)システムが、現在増えています。今回は、そのようなDBの移行がなぜ盛り上がってきているのかご紹介します。

移行の課題

DBは、システムの重要なデータを格納する基幹となるソフトウェアです。そのような重要なデータを決して失わず、またすぐに必要なデータを取り出せるように、DBには高い信頼性や機能性、性能が求められます。このような高いレベルの要件をOSSのDBでは満たせないなどとして、従来、システムの多くでは商用DBを採用していました。OSやWebサーバーにはOSSを利用していても、DBだけは商用DBを採用するというシステムも多く見られました。

また、たとえ要件の問題をクリアしたとしても、商用DBからOSSのDBへの移行にはさまざまな課題があります。例えば、DBの移行時に、商用DB向けに開発されていたシステムをOSSのDB向けに改修する必要があり、その改修に多額の費用がかかる可能性があります。このような課題から、要件的にはOSSのDBを十分に採用できるシステムでも、従来は、DBの移行を断念することが多くありました。

移行が盛り上がってきた背景

しかし、数年前から商用DBをOSSのDBに移行するシステムが、目に見えて増えています。特に最近では、DB移行に関するITベンダー各社の動きも活発になってきています。このような状況には以下のような背景があります。

  • OSSのDBの進化により、システムに必要な高い信頼性、機能性、性能をOSSのDBが十分満たせるようになりました。例えば、OSSのDBの代表格であるPostgreSQL参考1では、年1回大きなバージョンアップが繰り返されており、そのたびに信頼性、機能性、性能が向上しています。PostgreSQLの最新バージョンでは、マルチコアCPUのサーバー上での性能が大幅に改善されており、その性能は商用DBに匹敵する(システムの負荷によっては商用DBを超える)ほどです。
  • OSSのDBを支えるサードパーティー製のOSSや商用ソフトウェアが充実してきました。例えば、pg_hint_plan参考2というPostgreSQLの関連モジュールが昨年度OSSとしてリリースされました。これは、従来商用DBでしか利用できなかった高度な機能であるHINT句(DBの性能チューニングなどに使う機能の1つ)を、PostgreSQLにおいて利用可能にするものです。このようにサードパーティー製品の充実により、OSSのDBの適用領域はますます広がっています。
  • 商用DBの利用にリスクを感じ、ベンダーロックイン回避としてOSSのDBを選択するユーザーが増えています。商用DBに完全に依存すると、保守費用の値上がりなど、ユーザーにとっては不都合であっても商用DBの開発会社の決定に従わざるを得ない状況が発生します。
  • 商用DBからOSSのDBへの移行を推進する団体が設立され、DB移行の課題が徐々に解決されています。昨年度には、エンタープライズ領域へのPostgreSQLの普及を推進する団体としてPGECons(PostgreSQLエンタープライズ・コンソーシアム)参考3が設立されています。この団体には、NTTをはじめとして多数のITベンダーが参画しており、DBの移行を推進するための検証報告やガイドラインの作成など、精力的に移行課題の解決に取り組んでいます。
  • 商用DBからOSSのDBへの移行をサポートする会社が増えています。当社や前述のPGEConsに所属する企業はもちろん、各社が続々と移行支援サービスや移行を簡単にするツールを提供し始めています(図)。当社提供のGresCube参考4など、DBアプライアンス製品を利用してDBの移行に取り組む事例も出てきています。
【図】

さいごに

さまざまな背景により、商用DBからOSSのDBに移行するシステムが現在増えています。システムのDBに何を使うのか改めて考えるよい機会ではないでしょうか。

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