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2020年6月17日技術ブログ

緊急事態!ロボットがお助けします。
~AI-OCR、RPA無償提供で10万円給付業務をサポート~

新型コロナウイルスの感染拡大防止にむけて要請された外出自粛。その経済的ダメージの対策として特別定額給付金の支給が決定された。迅速な支給が求められる中、地方公共団体において課題となったのは膨大な支給業務の新規立ち上げと人手不足。この事態にはRPAこそ有効と考え、NTTデータはAI-OCRとRPAの緊急無償提供を開始した。
そこで見えてきたのは、RPAがスマート自治体化のカギになることと、災害等の緊急時に強いというRPAの新たな可能性だ。

AI-OCR、RPAを支給業務向けに無償提供

AI-OCR、RPAを支給業務向けに無償提供

業務自動化技術により、特別定額給付金の支給業務における地方公共団体職員の負荷軽減に寄与するため、 NTTデータでは紙資料をデジタルデータ化するAI-OCRサービス「NaNaTsu™ AI-OCR with DX Suite」とRPAソリューション「WinActor」を無償提供している。(2020年7月31日まで)特別定額給付金の支給業務において地方公共団体は、(1)住民からの給付金申請を電子申請または紙の申請書により受け付け、(2)システムへのデータ入力や、支給審査を行い、(3)入金処理まで実施する。今回NTTデータは、上記ソフトウェアとあわせて、当該事務に特化した、給付金申請書の推奨レイアウト(OCR処理に適したレイアウト)、AI-OCRにセットする帳票定義ファイル、(1)~(3)の支給業務を自動化するためのWinActorシナリオの3点を提供。様式や特化したシナリオまでをセットで提供することにより、人手を集めることが難しく、またシステム開発期間も取れない地方公共団体において、特別定額給付金の迅速な支給業務に貢献している。

きっかけは、販売特約店から聴いたお客さまの声

2020年4月下旬、「地方公共団体は、特別定額給付金の支給を始めなければならないが、準備期間は無く、人も集められないために大変に困っている」、との声がNTTデータに届いた。話の主は、「WinActor」および「NaNaTsu AI-OCR with DX Suite」を販売するNTTデータの販売特約店だ。

パソコンで行う定型作業などの操作を自動で実行するRPA(Robotic Process Automation)は人手作業軽減の切り札として大いに期待されている。業務を自動で実行するためには、作業内容を操作手順として落とし込んだ「業務シナリオ」が必要となる。「使えるRPA」であるためには、現場のユーザー自身が、業務に合致したシナリオを作成することがポイントとなるため、RPAの普及・浸透に取り組むNTTデータは販売特約店を通じたユーザー支援を重視している。そのため、NTTグループ各社を含む販売特約店は、業務シナリオ作成研修や、きめの細かい訪問を行い、お客さまに寄り添い、「現場から始めるDX」を推進している。

このような事業モデルとなっていることから、NTTデータは、販売特約店と密にコミュニケーションを取り、課題に関する意見交換や事例共有を頻繁に行って、スピーディにアクションを打っている。

今回の、新型コロナウイルスの感染拡大が進む状況に対してNTTデータは、緊急事態宣言発出前の3月から、段階的にWinActorの基本操作からシナリオ作成に係る知識を習得できるeラーニングや、AI-OCRの無償提供を実施してきた。これらは、「AI-OCRによりペーパレス化を実現し、テレワークしやすくなるように」、「オフィスでの業務はWinActorで作るロボットに任せられるように」、「外出自粛で空く時間を自宅で有効活用できるように」という気持ちを込めた社会貢献施策であった。

そして特別定額給付金の支給決定がニュースをにぎわした4月下旬、冒頭の販売特約店の声を受け、NTTデータは、契約手続きに要する時間さえ取れない程に多忙な地方公共団体のため、特別定額給付金の自動支給シナリオと、申請書の帳票定義を自ら作成し、まとめて無償提供することを決断した。

BCP、備えていれば万全か?

日本では、東日本大震災をきかっけに、BCP(Business Continuity Planning)が重要視され、多くの企業・団体で策定された。具体的には社内システムの2重化・非常用発電などの設備投資から、緊急時の業務手順、意思決定の仕組みなど、「あらゆる事態を想定した備え」が実施されたはずであった。

しかし、新型コロナウイルスの感染拡大で明らかになったのは、「三密回避のため、対応する人員を集めることが難しい」というような、想定外の問題も起こりうるということと、こうした災害時の突発的な業務に対し、現場のユーザーが短期間で自ら業務自動化を実現できるRPAは大変に有効ということだ。災害時においても様々な定常業務を止めることなく、新たな住民支援業務まで追加で遂行できることを示した。さらにこの災害対策は、NTTデータが共通的なシナリオを展開することにより、一層有効かつ迅速に機能することも分かった。これは自治体に限らずすべての企業・団体においても同様だ。言い換えればRPAには、業務効率化だけでなく、「災害時の臨機応変な業務遂行を実現するプラットフォーム」としての可能性が見えてきたのである。

BCP、備えていれば万全か?

RPAは地方を元気にする起爆剤になるか?

「現場から始めるDX」とも言われているRPA導入は、DXに熱心で先進的な地方公共団体と、そうでない団体とで、取り組みのスタンスが大きく分かれていた。
しかし、今回の新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、3密回避のため人手確保が難しい中、すべての地方公共団体が特別定額給付金支給業務を行わなければない、いわば「まったなし」の状況となった。こうした背景もあり、NTTデータが無償提供しているRPA、AI-OCRは6月10日現在、214団体に利用されており、その効果を実感したとの声が多数寄せられている。結果的に、地方公共団体において今までなかなか踏み出せなかったDX化を後押しできたと言える。

きめの細かい住民サービスが求められる地方公共団体の業務は、多岐にわたる一方、職員の数は潤沢とは決して言えない状況である。こうした人材を活用し価値あるサービスを生み出していくためには、DX化が一つの解となり得る。

「現場から始めるDX」は、現場を抱えるお客さま企業・団体と、それをサポートするITベンダーとの協力関係がポイントになる。今回の新型コロナウイルスの感染拡大への対応に限らず、今後もNTTデータは、お客さま・特約店を交えた、二人三脚ならぬ三人四脚でDXを推進し、地方を元気にする取り組みを進めていく。

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