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2026.7.8

沖縄の自然資源を未来につなぐために

――琉球銀行が取り組む、地域経済と脱炭素の好循環づくり

沖縄の地域経済にとって、海や山、生き物を含む豊かな自然環境は、観光業を支える重要な資産です。琉球銀行では、その自然環境の変化が観光業だけではなく地域経済全体へ影響を及ぼすリスクにつながると捉え、気候変動リスクの把握と対策に取り組んでいます。上場企業として気候関連情報の開示対応も求められるなか、GHG排出量の算定・開示体制を整備してきましたが、当初はExcelによる算定体制であったため、排出係数の更新やデータ量の増加、業務の属人化など、継続的な運用における課題が顕在化しはじめていました。こうした課題の解決を図るため導入したのがC-Turtle FEです。算定業務の効率化に加え、顧客企業の排出量可視化や脱炭素への取り組みを支援する基盤として活用することで、地域全体の脱炭素化に向けた取り組みを推進しています。

第1章:沖縄の自然資源を守るために。地域金融機関が脱炭素に取り組む理由

沖縄における気候変動対応は、一般的な環境施策とは異なる意味を持っています。私たちが重視しているのは、自然環境そのものが地域経済の基盤であるという点です。沖縄経済を俯瞰すると、観光業が中心的な産業であり、その観光業を支える経営資源は、海や山、生き物といった自然です。
私たちは、自然環境の毀損が観光業に影響し、それが地域経済全体の衰退につながる可能性を強く意識しています。そのため、脱炭素は環境配慮にとどまらない、地域経済の持続可能な成長に不可欠な取り組みとして位置づけています。
また、上場企業としてTCFD(※1)やTNFD(※2)への対応も求められており、社会的責任と企業価値向上を両立させる必要があります。地域金融機関として脱炭素にどのように関与できるのかについて、沖縄における自然環境の重要性などを踏まえて議論を重ねた結果、琉球銀行全体で積極的に取り組む必要があると判断しました。これを受け、2021年10月にサステナビリティ推進室を設置し、各種施策を推進してまいりました。
その中で重視したのが、開示のための開示にしないことです。地域の産業構造と融資ポートフォリオを踏まえた取り組みとして、住宅関連分野を軸とした戦略へと展開しています。

(※1) TCFD:気候関連財務情報開示タスクフォース
(※2) TNFD:自然関連財務情報開示枠組み

第2章:排出量算定の高度化へ。Excel運用で見えてきた課題

排出量算定への取り組みは、上場企業としての情報開示要請を起点に始まりました。当初はコンサルティング会社の支援を受けながら、算定範囲や方法を整理し、Excelによる算定体制を構築してきました。
しかし、Excelによる算定体制では効率面に課題がありました。排出係数の更新は手作業であり、投融資関連データの量も多く、運用負荷が大きい状態でした。
業務の属人化も課題となっており、継続的に精度の高い算定を行うには、仕組みとしての安定性が必要でした。
また、算定結果を把握するだけでは、顧客企業の具体的な削減行動や支援施策につなげることが難しいという課題もありました。こうした背景から、単なる効率化ではなく、継続的に運用できる算定体制の構築と、算定結果を削減活動へ活かしていくための基盤整備を目的として、システム化の検討を進めました。

第3章:「測る」から「行動につなげる」へ。C-Turtle FEを選んだ理由

C-Turtle FEの選定にあたり、私たちは三つの観点を重視しました。
第一に操作性です。担当者の異動がある環境において、誰でも扱えることは重要です。直感的に操作できることが導入の前提でした。
第二に、顧客への働きかけに活用できる点です。単なる算定ツールではなく、顧客にも提供し、可視化の入口をつくれることが重要でした。
第三に、継続的に運用できる基盤であることです。制度変更への対応を含め、長期的に運用可能である点を重視しました。
導入後は、個社単位での比較や分析を行いながら、排出状況を把握する体制を整えています。
こうした理由から、C-Turtle FEは単なる算定ツールではなく、顧客の取り組みを前進させるための基盤として位置づけています。

第4章:可視化を起点にしたエンゲージメントの変化

沖縄では製造業の比率が低く、サプライチェーン起点での脱炭素の動きが浸透しにくい特徴があります。そのため、従来の営業活動の中で提案しても、関心が高まりにくいという実態が見られました。
そこで、脱炭素をコスト削減と結びつけて伝えるアプローチへと転換しました。省エネ診断などを通じて光熱費削減の効果を示し、その結果を可視化することで理解を促しています。
顧客企業については、脱炭素への理解度に応じて対応を変えています。脱炭素への理解が低い企業には基礎的な説明から始め、脱炭素への理解が深い企業には必要に応じた支援を行っています。
その中間にあたる、必要性は理解しているものの具体的な取り組みが定まっていない企業については、排出量を可視化し、課題を整理できるように支援しています。
可視化されたデータは、設備投資や省エネ施策、金融サービスの提供へとつながります。
現在、事業性評価の枠組みにサステナビリティを組み込み、顧客の現状と将来像のギャップを明確にした上で支援するための体制整備を進めており、より充実した支援を行っていきます。

第5章:地域金融機関として、沖縄全体の脱炭素化に貢献

当行では、住宅ローンを起点とした脱炭素化の取り組みを推進しています。沖縄県では民生部門の温室効果ガス排出割合が高く、住宅関連融資も当行の主要な融資分野の一つであることから、住宅分野へのアプローチを通じて地域全体の脱炭素化に貢献していく考えです。
その具体策の一つとして、ZEH(※3)の普及促進に取り組んでいます。さらに、削減価値を取りまとめてJ-クレジット(※4)として活用し、地域内で循環させる取り組みも進めています。
これらの施策は、勉強会やサステナビリティアンバサダー制度を通じて行内への浸透を図っています。今後は自治体との連携も視野に入れながら、地域全体での脱炭素の取り組みを一層前に進めていく方針です。
地域金融機関に求められるのは、資金供給だけではありません。顧客企業との対話を通じて課題を可視化し、行動変容を支援することで、地域全体の持続可能性向上に貢献することも重要な使命です。
琉球銀行では、排出量算定や情報開示を目的化するのではなく、その先にある顧客企業の変革や地域経済の持続的な発展を見据えています。C-Turtle FEを活用した取り組みは、沖縄の豊かな自然環境を次世代へ引き継ぐための基盤づくりとして、今後も進化を続けていきます。

(※3) ZEH:住宅全体のエネルギー収支をおおむねゼロ以下とすることを目指した住宅
(※4) J-クレジット:CO2等の排出削減量や、適切な森林管理によるCO2の吸収量を「クレジット」として国が認証する制度

企業情報

企業名:株式会社琉球銀行

琉球銀行は、米軍統治下の1948年5月1日、戦後のインフレ抑制と沖縄経済の正常な発展のため、「金融秩序の回復と通貨価値の安定」を目的とし、米国軍政府布令に基づく特殊銀行として設立されました。その後、「銀行法」に基づく普通銀行として再スタートし、経済・金融制度の円滑な移行を推進するなど、沖縄のリーディングバンクとしての責務を果たしてきました。今後も、経営理念である「地域から親しまれ、信頼され、地域社会の発展に寄与する銀行」を実現していくために、商品、サービスの充実に努めるとともに、いかなる経営環境の変化にも対応できるよう健全経営の確立を図り、地域の皆さまのニーズに対応していきます。

GHG排出量可視化プラットフォーム「C-Turtle®」
https://www.nttdata.com/jp/ja/lineup/c-turtle/

【C-Turtle®】の概要資料は、こちらからダウンロードください。

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