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2026.7.30

株式会社岩手銀行
地域創生で培ったネットワークを、地域ぐるみのサステナビリティへつなぐ

――自治体・地域企業・金融をつなぐ岩手銀行の取り組み

岩手銀行では、地域金融機関として長年取り組んできた地域創生を土台に、自治体や地域企業とのネットワークを生かしながら、地域全体のサステナビリティを推進しています。脱炭素だけを企業へ求めるのではなく、地域資源を生かしたJ-クレジットや自治体との連携、セミナーなどを通じて、地域企業が自然に環境課題へ取り組める流れを構築してきました。さらに、GHG排出量可視化プラットフォームC-Turtle FEを活用し、GHG排出量の可視化から設備投資や金融支援までを一体的に支援しています。地域創生で培ったネットワークを生かしながら、環境価値と経済価値の両立を目指す岩手銀行の取り組みを紹介します。

第1章:地域創生を支える、岩手銀行のサステナビリティ経営

岩手銀行では、地域金融機関として地域社会の持続可能な発展を支えることを重要な使命と考えています。豊かな森林や水資源をはじめとする自然資本に恵まれた岩手県では、地域企業の事業活動と地域の自然環境が密接に結び付いています。こうした地域資源を未来へ引き継ぎながら、地域企業が持続的に成長していくことが、地域経済の発展につながると考えています。
この考え方は、近年の脱炭素への対応から始まったものではありません。当行では、地域創生を重要な経営テーマとして、自治体や地域企業と長年にわたり関係を築いてきました。地域が抱える課題に向き合い、それぞれの地域に合った取り組みを自治体とともに進めてきたことが、現在のサステナビリティ推進の土台となっています。
その中で当行が大切にしてきたのは、環境課題を単独で捉えないことです。地域企業にとって、事業を継続し、地域の雇用や産業を支えていくことは最も重要な経営課題です。だからこそ、脱炭素や生物多様性保全も地域創生の延長線上にある取り組みとして位置付け、地域企業の成長や地域資源の活用と一体で進めることを重視しています。
また、地域全体のサステナビリティは、一つの組織だけで実現できるものではありません。自治体が示す地域の方向性、地域企業の実践、金融機関による資金や情報面での支援、それぞれが役割を果たしながら連携することで、地域全体の取り組みは広がっていきます。当行では、地域創生で培ってきたネットワークを生かし、地域企業が自然にサステナビリティへ踏み出せる環境づくりを進めています。

第2章:地域創生で培ったネットワークを、環境分野へ広げる

地域創生に取り組む中で、岩手銀行が環境分野への第一歩として着目したのが、地域の森林資源を生かしたJ-クレジット(※1)の活用でした。
森林によるCO₂吸収量をカーボンクレジット(※2)として認証・活用する取り組みに共感し、2021年から岩手県内の自治体が創出したカーボンクレジットの販売支援や仲介業務に取り組みました。地域資源の価値を生かしながら地域内で資金を循環させるこの仕組みは、地域創生を進める当行の考え方とも一致していました。
当時から当行が意識していたのは、企業へいきなり「脱炭素に取り組みましょう」と呼びかけることではありません。環境という言葉だけでは、企業にとっては自社の経営と結び付きにくく、取り組みへのハードルが高くなってしまいます。そのため、まずは地域の森林を守ることや地域資源を生かすことなど、企業や地域にとって身近なテーマから関心を持ってもらい、その延長線上で環境課題や脱炭素へつなげていくことを大切にしてきました。
その後も当行では、J-クレジットに加え、サステナブルファイナンスやブルーカーボンに関する取り組み、GHG排出量の可視化支援など、地域企業が段階的にサステナビリティへ取り組める環境を整えてきました。それぞれを個別の施策として展開するのではなく、「知る」「取り組む」「測る」「改善する」という流れを意識しながら支援の幅を広げています。
岩手銀行では、こうした一つひとつの取り組みを通じて、地域企業が無理なく環境課題へ取り組める土壌を育ててきました。地域資源を起点に関心を高め、少しずつ行動へつなげていくことが、その後のサステナビリティ推進につながると考えています。

(※1) J-クレジット:省エネや再生可能エネルギーの導入、森林管理などによるCO₂の排出削減量・吸収量を、J-クレジット制度に基づいてクレジット化したもの
(※2) カーボンクレジット:温室効果ガスの削減量や吸収量を環境価値として認証し、取引できるようにしたもの

第3章:自治体とともに、地域全体へサステナビリティを広げる

地域企業が環境課題へ継続的に取り組むためには、一企業だけの努力では限界があります。そこで岩手銀行では、地域創生を通じて築いてきた自治体とのネットワークを生かし、地域全体でサステナビリティを推進する仕組みづくりを進めています。
現在、当行は県内11の自治体・団体と脱炭素に関する連携協定を締結しています。しかし、協定を結ぶこと自体が目的ではありません。それぞれの自治体が抱える課題や地域企業の状況を踏まえながら、具体的な施策へつなげていくことを重視しています。地域創生で培った関係性があるからこそ、自治体と継続的に対話を重ね、それぞれの地域に合った取り組みを一緒に形にしてきました。
例えば、自治体と連携したサステナビリティセミナーでは、脱炭素だけをテーマとするのではなく、ESG経営や事業継続、人材採用など、中小企業にとって身近な経営課題と結び付けながら情報発信を行っています。また、自治体の予算を活用して地域企業が排出量可視化ツールを利用できる環境を整えるなど、企業が取り組みを始めやすい仕組みづくりも進めています。
さらに、30by30(※3)やブルーカーボンなど、生物多様性や自然資本に関する取り組みについても、自治体と連携しながら地域企業へ広げています。こうした活動は環境保全そのものが目的ではなく、地域資源を将来へ引き継ぎ、地域企業が持続的に事業を営むための基盤を守る取り組みでもあります。環境、地域創生、企業経営を別々に考えるのではなく、一つの流れとして捉えていることが当行の特徴です。
当行では、自治体、地域企業、金融機関がそれぞれの役割を果たしながら連携することで、一つの自治体や一社単独の取り組みにとどまらず、地域全体へサステナビリティを広げていくことを目指しています。

(※3) 30by30:2030年までに陸と海の30%以上を健全な生態系として効果的に保全しようとする目標

第4章:GHG排出量の可視化を、地域企業との対話から経営支援へ

地域企業がサステナビリティへ踏み出すきっかけをつくってきた岩手銀行では、その取り組みをさらに発展させるため、GHG排出量の可視化とデータ活用の高度化にも取り組んでいます。
金融機関におけるGHG排出量の大部分は、投融資先の事業活動に伴うファイナンスド・エミッション(※4)が占めています。そのため、地域企業との対話をより実効性のあるものにするためには、投融資先ごとのGHG排出量を継続的に把握し、それぞれの企業の状況に応じた支援へつなげられる環境が欠かせません。当行でも、情報開示への対応に加え、地域企業への経営支援を見据え、ファイナンスド・エミッション算定の高度化に取り組むこととしました。
一方で、従来の算定業務では担当者一人に知識や作業が集中しており、継続的な運用やデータ品質の向上が課題となっていました。また、外部データを用いた推計が中心だったことから、投融資先の実態をより適切に反映したGHG排出量を把握したいという考えもありました。
こうした課題を受け、当行ではC-Turtle FEを導入し、一次データを活用した算定への移行と、担当者が変わっても継続できる運用体制の構築を進めています。導入にあたって重視したのは、ツールの機能だけではありません。限られた担当体制でも継続して運用できることに加え、運用中に生じる疑問や課題に対して適切なサポートを受けられる体制も重要な選定基準でした。実際の運用では、算定作業を進める中で生じた疑問点を一つひとつ解消しながら運用を定着させることができ、継続的に算定できる体制づくりにつながっています。
さらに、当行では、C-Turtle FEを自行の算定業務だけで活用するものとは考えていません。投融資先企業へ無償提供できる仕組み(※5)を活用することで、地域企業がGHG排出量を把握しやすい環境を整え、可視化を起点とした経営支援へ発展させています。GHG排出量を基に、設備投資や省エネルギー施策、サステナブルファイナンスなど、それぞれの企業の課題に応じた支援を提案することで、環境への取り組みを経営改善や企業価値向上へ結び付けていきます。
当行にとって、GHG排出量の可視化は情報開示のためだけのものではありません。地域企業の現状を理解し、一社一社に応じた対話や金融支援へつなげるための出発点です。地域創生で培ったネットワークに、データという新たな基盤を組み合わせることで、地域企業が持続可能な経営へ踏み出す後押しを続けています。

(※4) ファイナンスド・エミッション:金融機関の投融資先に係る温室効果ガス排出量
(※5) 無償提供:NTTデータと金融機関との契約に基づき、一定の条件を満たす取引先の中小企業を対象に無償で提供できる仕組み

第5章:地域創生で培ったネットワークを、次の世代へつなぐ

岩手銀行では、地域創生で築いてきた自治体や地域企業とのネットワークを生かしながら、地域全体のサステナビリティをさらに発展させていきたいと考えています。
地域企業を取り巻く環境は、今後も大きく変化していきます。脱炭素への対応に加え、生物多様性への配慮や情報開示の高度化など、企業に求められる取り組みはますます広がっていきます。当行では、こうした変化を企業の負担として捉えるのではなく、地域企業の持続的な成長や競争力向上につながる機会として支援していきたいと考えています。
そのためには、地域企業が自らのGHG排出量を把握し、現状を理解した上で、自社に適した取り組みを選択できる環境づくりが欠かせません。当行では、C-Turtle FEによるGHG排出量の可視化を起点に、設備投資やサステナブルファイナンス、省エネルギー施策などを組み合わせながら、それぞれの企業に応じた経営支援を進めていきます。GHG排出量を「測る」ことをゴールとするのではなく、その先の行動や企業価値の向上へつなげていくことを目指しています。
また、地域全体のサステナビリティを進めるためには、金融機関だけでなく、自治体や地域企業、専門事業者など、それぞれが役割を果たしながら連携していくことが重要です。当行では、これまで地域創生を通じて培ってきたネットワークを生かし、一つひとつの取り組みを地域全体へ広げながら、環境価値と経済価値の両立を目指した地域づくりを支えていきます。
地域資源を未来へ引き継ぎ、地域企業が持続的に成長できる環境をつくること。その実現に向けて、当行は地域創生で培ったネットワークを生かしながら、地域企業とともにサステナビリティを育み、次の世代へつながる地域社会の実現に貢献していきます。

企業紹介

株式会社岩手銀行

岩手銀行は、1932年の創立以来、「地域社会の発展に貢献する「健全経営に徹する」の2つの経営理念を堅持し、多様な金融サービスを通じ地域社会の発展に貢献しています。岩手県のリーディングバンクとして、地域への安定的な資金供給や付加価値の高い情報・金融サービスの提供はもちろんのこと、地域のポテンシャルを引き出すことを目指し当行グループの総合力を一層強化しています。

GHG排出量可視化プラットフォーム「C-Turtle®」
https://www.nttdata.com/jp/ja/lineup/c-turtle/

【C-Turtle®】の概要資料は、こちらからダウンロードください。

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