第1章:地域の持続可能な発展を支える七十七銀行のサステナビリティ経営
七十七銀行では、地域金融機関として地域社会の持続可能な発展に貢献することを重要な使命と考えています。その実現に向けて、2023年に七十七グループのマテリアリティを特定し、「気候変動・災害への対応」をマテリアリティの1つに掲げています。あわせて、2030年度までのScope1・2カーボンニュートラル、2050年度までのScope3を含めたネットゼロを目標として掲げています。これらの目標を当行の環境負荷低減にとどまらず、地域全体の脱炭素を見据えた取り組みとして位置付けています。
地域金融機関にとって、地域企業の持続的な成長は地域経済の活性化につながり、その積み重ねが地域社会の発展につながります。そのため当行では、サステナビリティを環境課題への対応だけでなく、地域社会とともに持続可能な未来を築くための経営課題として捉えています。脱炭素への対応も、その実現に向けた重要な取り組みの一つです。
また、地域の脱炭素は金融機関だけで実現できるものではありません。自治体や電力会社をはじめとするステークホルダーと連携しながら取り組みを進めていくことが重要です。当行では、それぞれの立場を活かしながら地域全体で持続可能な社会を目指すことが、地域金融機関として果たすべき役割であると考えています。
こうした考え方のもと、当行では地域企業との対話を重ね、企業ごとの経営課題に応じてサステナビリティへの気付きを促す取り組みを進めています。地域企業の意識と行動の変化を後押しし、ともに持続可能な地域社会を築くことが、当行のサステナビリティ経営の根幹です。
第2章:地域特性に合わせて、対話の入口を変える
七十七銀行が地域企業との対話を重ねる中で見えてきたのが、宮城・東北ならではの課題でした。宮城県は、他地域と比べると製造業の集積が比較的少なく、サプライチェーンを通じて排出量算定や脱炭素への対応を求められる企業はそれほど多くありません。そのため、脱炭素やカーボンニュートラルについて「いずれ取り組む必要がある」という認識を持ちながらも、物価高への対応や人材確保などを優先する中で、脱炭素への取り組みを具体化する段階には至っていない企業も多く見られました。
こうした地域特性を踏まえて、当行では、脱炭素だけをテーマに企業と向き合うのではなく、それぞれの企業が抱える経営課題に寄り添いながら対話を進めることを重視しています。例えば、省エネルギーによるコスト削減や再生可能エネルギー導入による電気料金の低減など、企業にとってメリットを実感しやすいテーマから話を始め、その延長線上でサステナビリティや脱炭素への取り組みにつなげています。まずは経営者が何を課題としているのかを丁寧に把握し、その課題解決の一つとしてサステナビリティを位置付けることを大切にしています。
また、この考え方を営業店でも実践できるよう、本部では営業店向けのサステナハンドブックを整備しています。経営者との対話の進め方やヒアリングのポイントに加え、排出量算定の状況やサプライチェーンからの要請の有無などを確認するヒアリングシートを作成しています。さらに、行内セミナーを継続的に開催し、「なぜ必要なのか」「なぜ今取り組むべきなのか」といった背景も含めて理解を深めることで、営業店がお客さまとの対話に自信を持てるよう支援しています。
こうした取り組みを通じて、当行では、地域企業とともに「知る」「測る」「減らす」というステップへ着実に歩みを進めていくことを目指しています。すぐに排出量算定へ進むことが難しい企業であっても、経営課題に寄り添った対話を積み重ねることで、脱炭素を自社の経営と結び付けて捉えられるよう働きかけています。地域企業の気付きを促し、「知る」「測る」「減らす」という行動へつなげていくことが、当行の果たす重要な役割です。
第3章:対話の実効性を高める、データ分析・活用体制へ
地域企業との対話をより実効性のあるものにするため、七十七銀行では、排出量データを自行内で分析・活用できる体制の整備を進めました。導入以前は、ファイナンスド・エミッション(※1)の算定を外部に委託していましたが、排出量データを有効に活用するためには、まず算定プロセスを内製化する体制整備が課題であると考えていました。算定プロセスを当行内で保有していなかったため、算定結果の背景や変動要因を分析するツールの導入を検討しました。
ツールの選定にあたっては、Scope3だけではなく、Scope1・2も含めて一元管理できることに加え、担当者が操作しやすい点も重視しました。また、将来的な保証対応や担当者変更も見据え、継続的に活用できるデータ基盤を構築することを目指しました。
Scope1・2の運用については段階的に移行を進め、営業店から収集するデータの流れも含めて業務プロセスを見直しています。当初は新しい運用への切り替えに時間を要しましたが、現在では算定業務の属人化を解消した運用へと移行しました。時間をかけて仕組みを定着させたことで、担当者に依存せず、継続的に算定・運用できる体制を整備しました。
また、算定を内製化したことで、データを分析・活用するプロセスも大きく変わりました。どのデータを基に、どのようなロジックで算定されているのかを把握することが可能となり、算定結果の背景や変動要因を分析できるようになりました。これにより、算定結果に対する納得感や説明力も高まっています。排出量を開示するだけでなく、その意味を捉え、地域企業へのアプローチや対話に活かすことが可能となりました。算定結果を分析し、データに基づく対話アプローチが地域企業の行動変容を後押しする土台となっています。
第4章:データを活用し、地域企業との対話を深める
七十七銀行では、排出量を自行内で算定・分析できる体制を構築したことで、データを地域企業との対話へ活かす取り組みを本格化しています。
これまでは、本部が中心となってファイナンスド・エミッションの算定結果を分析し、地域企業へのエンゲージメントを進めていました。しかし、地域企業との継続的な対話を実現するためには、日頃から取引先と接している営業店が主体となって取り組むことが不可欠だと考え、営業店主導での対話に向けた体制整備を進めています。
営業店への展開にあたっては、ハンドブックやヒアリングシートを活用しながら、経営課題や排出量算定の状況、サプライチェーンからの要請の有無などを確認し、それぞれの企業に応じた対話を進めています。本部が地域全体の方針や支援の方向性を整理し、営業店が日々の面談を通じて企業との対話を重ねることで、地域企業の気付きと行動を促しています。
また、算定結果は情報開示だけでなく、地域企業へのアプローチを検討する際の重要な判断材料としても活用されています。本部では、ファイナンスド・エミッションの算定結果に加え、営業店が把握している企業ごとの経営課題や提案状況なども踏まえながら、支援の方向性を整理しています。ファイナンスド・エミッションの算定結果と営業店が持つ現場の情報を組み合わせることで、企業ごとの状況に応じた対話や提案につなげています。
当行では、排出量データを、地域企業との対話を深めるための判断材料として活用しています。営業店と本部がそれぞれの役割を担いながら対話を積み重ね、地域企業が「知る」「測る」「減らす」というステップへ進めるよう、気付きと行動を後押ししています。データと対話を結び付けることが、地域全体の脱炭素を進める地域金融機関としての重要な役割です。
第5章:地域とともに、持続可能な未来を築くために
七十七銀行では、C-Turtle FEの導入を通じて、排出量算定の体制整備とデータ活用を進めてきました。現在では、Scope1・2・3の算定プロセスが定着し、算定結果を分析し、その意味を捉えた上で、地域企業との対話に活かせる体制が整いつつあります。今後さらに重要になるのは、地域企業への働きかけを広げていくことです。現在は、お客さま向けの無償版サービス(※2)も活用しながら、地域企業が排出量を把握し、「知る」「測る」という第一歩を踏み出せる環境づくりを進めています。また、将来的には一次データの活用をさらに広げることで、より実態に即した排出量管理や対話につなげていきたいと考えています。
一方で、地域の脱炭素は金融機関だけで実現できるものではありません。自治体や電力会社をはじめとするステークホルダーと連携しながら、それぞれの役割を活かして取り組みを進めることが重要です。当行では、地域企業との対話を積み重ねるとともに、地域全体で持続可能な社会を実現するための基盤づくりにも取り組んでいきます。
地域企業との対話を継続するため、当行自身もデータを分析し、その意味を捉えながら活用力を高めていきます。企業ごとの経営課題に寄り添い、データを活用した対話を積み重ねることで、一社一社の気付きと行動変容を後押ししていきます。それが、当行が目指す地域金融機関としての役割です。
企業紹介
株式会社七十七銀行
宮城県仙台市に本店を置く地方銀行。1878年の創業以来、「地域の繁栄を願い、地域社会に奉仕する」という経営理念のもと、地域とともに着実に成長してきました。人口減少・少子高齢化が進行する中、「Vision 2030」(R.V.)に基づき、更なる成長に向けた投資と挑戦を通じ、お客さまの課題解決やビジネスチャンスの拡大を支援していくことで、地域経済の要として、地域の未来に貢献していきます。
【C-Turtle®】の概要資料は、こちらからダウンロードください。


https://www.nttdata.com/jp/ja/lineup/c-turtle/