第1章:企業理念を起点に、全社で育ててきたサステナビリティ経営
積水ハウスでは、住まいを単なる建物ではなく、人々の暮らしや地域、社会を支える「社会資本」と捉えています。住まいは何十年にもわたり人々の生活の基盤となるものであり、その価値は建物そのものだけでなく、周囲の環境やまちとのつながりによって育まれるものです。だからこそ当社は、住まいづくりと持続可能な社会の実現は切り離せないものと考え、「わが家を世界一幸せな場所にする」というグローバルビジョンのもと、事業を通じて社会課題の解決に取り組んでいます。
当社では、こうした考え方を具体的な経営方針として、1999年に「環境未来宣言」を掲げ、脱炭素、生物多様性保全、資源循環を事業の柱として推進してきました。背景にあったのは、「住まいを提供する企業だからこそ、その住まいが将来の環境や社会にどのような影響を与えるのかまで責任を持つべき」という社員一人ひとりの想いです。その想いを経営の意思として明確にしたことが、現在まで続くサステナビリティ経営の出発点となりました。
また当社は、環境への取り組みを環境部門だけの活動とは考えておらず、商品開発、設計、営業、調達、施工など、それぞれの部門が「お客様にとってより良い住まいとは何か」という視点から役割を果たし、その積み重ねがサステナビリティにつながると考えています。部門を越えて議論を重ねながら、環境価値と住まいの価値をともに高める取り組みを続けてきたことが、積水ハウスのサステナビリティ経営の基盤となっています。
社内では、経営会議や環境事業部会など、部門を越えて議論する場を設けています。現場から生まれた提案を地域で試し、運用を確かめながら広げる動きもあります。社員一人ひとりがグローバルビジョンを自らの仕事に落とし込み、設計・営業・調達・環境推進など、それぞれの専門性から役割を果たし、その積み重ねが、長期にわたるサステナビリティ経営を支えています。
第2章:暮らしの価値を磨くことが、環境価値につながる
積水ハウスでは、住まいの環境性能を高める取組みを、段階的な改良の積み重ねによって進めてきました。窓の断熱性能を高める取り組みから始まり、住宅全体の断熱・省エネルギー・創エネルギーへと対象を広げています。新しい考え方を住まいへ組み込む際には、技術面だけでなく、お客様が暮らしの価値として実感できるか、事業として継続できるかを判断軸にしています。
お客様にとって価値ある住まいを提供することを何よりも大切にしています。快適性や暮らしやすさ、経済性を高めるための取り組みを積み重ねることが、脱炭素や生物多様性保全といった環境価値の創出にもつながると考えています。
当社では、こうした考え方を住まいへ具体化する取り組みとして、ZEH(※1)の普及を進めています。高い断熱性能や省エネルギー設備、太陽光発電を組み合わせることで、一年を通じて快適に暮らせる住環境と、光熱費の削減を両立しています。現在では、新築戸建住宅の約96%がZEHとなっており、環境性能を特別な付加価値ではなく、住まいの標準的な価値として提供しています。さらに、その考え方は賃貸住宅「シャーメゾン」にも展開され、発電量や電力使用量を可視化する仕組みを通じて、入居者が日々の暮らしの中で環境への意識を自然に育める住まいづくりを進めています。
また当社は、住まいの価値は建物だけで決まるものではないと考えています。2001年から続く「5本の樹」計画では、地域の在来樹種を庭へ取り入れることで、生物多様性の保全と心地よい住環境の両立を目指しています。設計段階から窓から見える景観や暮らし方まで考慮し、住まいと庭を一体で提案することで、自然を身近に感じられる暮らしを実現しています。さらに、卒FIT電力を活用した「オーナーでんき」の取り組みなども通じて、お客様・パートナー企業・積水ハウスの三者に価値をもたらす仕組みを構築しています。こうした一つひとつの取り組みを積み重ねることで、住まいの価値を高め、その先にある環境価値の創出へとつなげています。
第3章:環境価値を支えるデータ基盤
積水ハウスでは、住まいを通じて生み出す環境価値を継続的に高めていくため、事業活動における環境データを正確かつ継続的に把握することを重視しています。一方で、全国の支店や住宅展示場、事務所など数多くの拠点を抱え、拠点の統廃合も継続的に発生します。入力を担う社員も異動や退職によって入れ替わるため、誰が担当しても安定して運用できる仕組みが求められていました。さらに、海外事業やグループ会社の拡大に伴い、社内イントラネットへアクセスできない拠点も増え、従来の運用では柔軟な対応が難しくなっていました。
当社では、こうした課題に対応するため、GHG排出量可視化プラットフォームC-Turtleを活用しています。入力担当者にとって分かりやすい操作性に加え、拠点情報や集計項目の変更にも柔軟に対応できることから、多拠点にわたる環境データを効率的に管理できるようになりました。また、各拠点から集まるデータを一元的に蓄積することで、排出量の推移や削減効果を継続的に把握できる環境が整っています。
さらに当社では、C-Turtleで収集・蓄積した環境データを、サステナビリティ経営を支えるデータ基盤として活用しています。従来から環境データの管理・把握には取り組んできましたが、C-Turtleの活用により、データの集約・管理をより効率的に行えるようになりました。これにより、環境データを継続的に蓄積・分析しながら、各種施策の検討や改善に活用できる体制の整備を進めています。今後は、蓄積したデータや知見を社内でさらに活用するとともに、サプライヤへの展開についても検討を進めていく予定です。
第4章:共創で広げる、環境価値
積水ハウスでは、住まいを起点とした環境価値をさらに高めるため、自社だけでなく、サプライヤをはじめとするステークホルダーとの連携が欠かせないと考えています。住宅業界では、一つのサプライヤが複数の住宅メーカーへ製品や部材を供給しており、サプライチェーン全体で脱炭素を推進していくことが重要です。そのため当社は、目標設定や情報開示を求めるだけではなく、各社が自律的に取り組みを進められる環境づくりにも力を入れています。
当社では、サプライヤとの対話を重ねながら、GHG排出量の算定方法や情報開示、SBT認定の取得、補助金の活用など、それぞれの状況に応じた支援を行っています。また、環境データを把握・管理する手段の一つとしてC-Turtleも紹介し、排出量の可視化や継続的なデータ管理に取り組める環境づくりを後押ししています。自社で培った知見やノウハウを共有しながら、サプライヤとともに環境価値の向上に取り組んでいます。
さらに当社は、より大きな環境価値を社会へ広げるため、住宅業界各社や建材メーカーと知見を共有しながら、業界全体での取り組みを推進しています。プレハブ建築協会での活動や建材メーカーとの共同プロジェクトを通じて、それぞれの知見や技術を持ち寄り、住宅業界全体の脱炭素、生物多様性保全、資源循環の取り組みを前進させています。住まいを起点とした環境価値を一社だけで実現するのではなく、多様なステークホルダーとともに社会へ広げていくことが、持続可能な社会の実現につながると考えています。
第5章:共創で広げる、住まいの未来
積水ハウスが目指すのは、住まいを通じて生み出す価値を、一社の取り組みにとどめず、社会全体へ広げていくことです。そのために大切にしているのは、環境への取り組みを特別な活動として進めるのではなく、住まいの価値を高める取り組みと一体で推進することです。快適性や暮らしやすさを追求し、その価値を磨き続けることが、脱炭素や生物多様性保全、資源循環といった環境価値の創出にもつながると考えています。
当社では、環境価値もまた、一社だけでは生み出せないと考えています。住まいの価値を高める取り組みを積み重ね、環境データを活用しながら改善を続け、その知見をサプライヤや業界全体へ共有しています。こうした共創の輪を広げることで、より大きな環境価値を社会へ届けていきます。
社員一人ひとりの想いから始まり、部門を越えた連携を通じて磨き上げてきた住まいの価値は、環境データによる改善を経て、サプライヤや住宅業界各社との共創へと広がっています。
これからも当社は、お客様にとってより豊かな暮らしを提供し続けることが、持続可能な社会の実現につながると信じています。その想いを胸に、多様なステークホルダーと価値を共創しながら、住まいを起点とした環境価値を未来へ広げていきます。
企業紹介
積水ハウス株式会社
積水ハウス株式会社は、大阪に本社を置く住宅・建設会社で、戸建て注文住宅、分譲戸建て住宅、分譲マンション、賃貸住宅など住宅建設を進める住宅メーカーです。また、住宅着工の豊富な経験を活かして、土地の有効活用や医院建築・介護施設建築・店舗・商業ビルや各種の開発型ビジネスや国際事業にも取り組んでいます。当社グループの環境戦略の特徴は、事業と一体化して推進することです。当社は、1999年に発表した「環境未来計画」以来、事業活動における環境対策の位置づけを明確にし、多くのお客様、サプライチェーンをはじめとしたすべてのステークホルダーに受け入れられる形で、住宅業界を牽引しながらさまざまな環境への取り組みを進め事業領域・規模を拡大してきました。そして、さまざまな環境課題の相互関係やトレードオフを検証し、気候変動の緩和と適応、生物多様性保全、サーキュラーエコノミーの実現など実質的な効果をもたらしながら、事業成長にもつなげていく考えです。
【C-Turtle®】の概要資料は、こちらからダウンロードください。


https://www.nttdata.com/jp/ja/lineup/c-turtle/