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2020年9月18日技術ブログ

クラウドネイティブ・マイクロサービス技術の活用

クラウドは従来システム構築にかかる期間の短縮やコスト削減を図ることが主な目的の技術として導入されてきたが、近年、デジタルトランスフォーメーション(DX)を実現するためのベース技術としての側面が拡大しつつある。本稿では、DXの事例やそれを実現するためのクラウドネイティブ・マイクロサービス技術の活用方法を紹介する。

1. 2タイプのデジタルトランスフォーメーション

DXは大きく2つのタイプが存在します。1つめは、最新のデジタル技術を活用して、新規のビジネスやサービスを創出するものであり、米Uber社が展開しているスマートフォンなどを用いたGPS位置データをもとにした配車サービスや宅配サービスが一例として挙げられるでしょう。

図1: 米Uber社の配車サービスと宅配サービス

図1:米Uber社の配車サービスと宅配サービス

2つめは、企業の既存事業や保持するデータを最新のデジタル技術を活用して高度化し、新たな価値を創出するものです。コマツがさまざまなデバイスを活用して建設工事現場を3次元デジタルデータ化して、業務を可視化することにより作業効率を格段に向上させた「スマートコンストラクション」などが代表的です。

図2:コマツの「スマートコンストラクション」

図2:コマツの「スマートコンストラクション」(※1)

また、Amazon.comは自社の顧客に関するデータや購入履歴を解析して、APIを経由してリコメンデーション結果を得る仕組みを構築しています。「この商品を購入したユーザは他にもこんな商品を買っています」に釣られて、ついでに何かを購入した方も多いのではないでしょうか?

図3:Amazonのリコメンデーション

図3:Amazonのリコメンデーション

2. デジタルトランスフォーメーションに必要な要素

いずれのDXも実現するために必要な要素がいくつかあります。主要なものを3つ説明します。

まず最初に、DXを実現した結果がその出来事や業務に関わるユーザのエクスペリエンス(体験)を向上させるものであることです。当たり前のことですが、上記で紹介した事例は、いずれも利用するエンドユーザに便益をもたらしています。その便益のキーとなるファクターはデータであり、最新のデジタル技術により生み出された有益なデータと便益を受けることができるエンドユーザをいかにマッチング(利用)させるかがポイントになります。例えば、Uberの例では配送をしたい人と配送を受けたい人へ双方の位置情報を、コマツでは現場にいる作業員に作業を効率的に進めることができる可視化データを、Amazonは購買意欲がある人に興味がある可能性が高い商品データを提供しています。

続いて、その有益なデータをいかに収集、蓄積、加工/分析、活用するかが重要です。下記の図はDXにおけるデータの扱われ方の概念を示した図です。上記で列挙した代表的なDXの事例には、IoTなどに代表されるようにセンサーやGPSなどから膨大なデータを集め、クラウドへ蓄積し、ビッグデータ処理やAIによる解析や機械学習といった加工を施して、さまざまなビジネスシーンに活用しています。また、あるものは既存システムのデータを加工・分析して活用したり、外部で提供されているオープンなデータをAPIでつないで新たな付加価値をもたらします。戦略的かつ一元的なデータ活用によりユーザエクスペリエンスの向上や新たなサービス創出につなげることができます。

図4:DXにおけるデータの収集・蓄積・加工/分析・活用

図4:DXにおけるデータの収集・蓄積・加工/分析・活用

最後に、ユーザエクスペリエンスを向上させるために試行錯誤を重ねることができるかということです。愚直にデータを収集したり、集めたデータや既存のものをAIやビッグデータ解析しただけだと、うまくいかないケースもままあります。原因としては以下のようなものが考えられます。

  • ただ最新技術を導入しただけで、便益をうけるはずのユーザの目線に立っていない取り組みになっていた
  • 最新デジタル技術には何があってどういうことができるのか不十分な理解で進めてしまい、期待した有効なデータにならなかった
  • さまざまな分野でのデジタル技術に精通している人材は極めて稀であり、多くのプロジェクトが手探りの中で進めています。DXの取り組みを成功した経験がある人材がいたとしても、分野や目的が違えば事情が異なりますし、そもそも、そのDXの取り組み自体が本当にユーザ体験を向上させてくれるものになっているかは、それを利用しているユーザ自身か、その業務に精通しているステークホルダーでなければ分からないものです。

    期待した結果につながらないこともありますが、それは当たり前に発生するものだという認識が必要です。重要なことはトライアンドエラーを前提としてDXの取り組みを継続することです。仮にひとつの取り組みが失敗したとしても、試した最新のデジタル技術に対する知見が深まれば、目利きができるようになり、次回、より適したシーンでその技術を扱えるようになるかもしれません。

3. クラウドとデジタルトランスフォーメーション

クラウドは簡単に環境を破棄して、また新しく始めることができる技術なので、コストを抑えつつ、経験値を積みながら継続的にDXへ取り組んでいくことができます。

クラウドはデータの蓄積先であると同時にさまざまな最新のデジタル技術と連携することができるプラットフォームでもあります。クラウドの中は、実現したいビジネスモデルや、解決したい事業の課題に応じてさまざまなアーキテクチャで構成されます。例えば、既存のITシステムやさまざまなデータを、APIを通じてさまざまなアプリケーションやサードパーティサービスに公開したいとき、シェアNo1であるAWSクラウドを用いると、以下の図のようなアーキテクチャで構成することができます。マイクロサービスアーキテクチャを採用することで、素早くさまざまなビジネスアイデアを検証することが可能です。

図5:AWSで構成するマイクロサービスアーキテクチャ

図5:AWSで構成するマイクロサービスアーキテクチャ(※2)

4. NTTデータの取り組み

NTTデータでは、ユーザエクスペリエンス向上を実現するためのサービスデザイン手法や、迅速な開発を実現するアジャイル開発方法論をセットとして、ビジネスアイデアを繰り返し試行できるAltemistaクラウドを提供しています。AltemistaクラウドはAWSやAzure、GCPをはじめとした主要なクラウド・先進デジタル技術プラットフォームにアジャイル開発で必要なツールスタックや、CI/CDをはじめとしたより高度な開発手法論を組み合わせて提供するソリューションです。

図6:Altemista Cloud Native Landscape

図6:Altemista Cloud Native Landscape

また、DXを推進するためには、経営層や管理職もこれまでとは違った視点で開発を支える必要があります。NTTデータにはDXに携わるマネージャー向けの研修もオンラインで開催しており、DXを推進するための多様な知識を有した専門家集団がこれからもさまざまな知見、技術、情報を提供してまいります。

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