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2022年2月16日トレンドを知る

組織のデザイナーを支えるDesign Opsの必要性

デザインの価値が浸透してきた中で、どのようにデザイン人材を活かすかが企業にとって重要な戦略の一つとなりつつある。本記事では、デザイン人材の組織内支援の取り組みであるDesign Opsを紹介する。
目次

Agile開発の浸透、経済産業省の「デザイン経営宣言(2018年)」、市場のデザイン需要の拡大などを受けて、企業内のデザイン人材が増えました。デザインの価値が浸透してきた中、どのようにデザイン人材を活かすかが企業にとっての重要な戦略の一つになってきました。
本記事では、デザイン人材の組織内支援の取り組みであるDesign Opsについて紹介します。

1.Design Opsってなに?

Design Opsとは、デザイン人材がパフォーマンスを発揮するために、環境や組織を最適化する取り組みです。
Design Opsは、元々はデザイン人材を組織的に支援する形で発達してきました。特に以前からデザイン組織を持つ企業ならば、自然と実践してきた内容かもしれません。しかし、デザインの役割・責任の拡大、マーケットにおける重要性が増す中で、組織・環境・文化・ルールが追いついていないこともあります。

近年、デザインの価値が理解されはじめ、プロダクトやサービスを開発・運用するにあたり、デザイナーが重宝されるようになりました。デザインに投資・内製化する大企業も増えました。そして、次の段階として、デザイン人材がパフォーマンスを発揮するために集中できる環境を築き、チームをスケールさせることが課題となってきました。Design Opsはこの課題を解決策となります。

現在では、AirbnbやUberなどのキラキラとした企業だけではなく、金融・小売業などの各企業のデザイン組織においてもDesign Opsは積極的に導入されています。

2.必要な要素とマインドセット

Design Opsは、3または4つの機能で定義されることが多いですが、ここでは4つに分けて解説します。

1.People

デザイン人材の採用・育成・配置を支援する機能です。
デザインプロセスに必要な人数・スキルを把握し、人材の配置・採用基準を設定します。デザイン人材は、個人のスキルがわかりづらく、非デザイン人材によるデザイン人材の組織化は難しいです。そこで、Design Opsの機能の一つとして、必要人材の定義、募集要項の一元化、面接、採用からのオンボーディング・育成など、人材の獲得から活用までを一手に請け負います。

2.Workflow

ワークフローやプロセスを最適化することで、企業内におけるデザイン人材の役割や活動範囲、アウトプットを定義する機能です。
デザイン人材が複数の組織で活動するようになると、それぞれの組織で独自のワークフロー・プロセスで動くことになります。結果、デザイン人材のアウトプットにばらつきが発生します。Design Opsがワークフローやプロセスを管理することにより、それぞれの組織・チームで働くデザイン人材のアウトプットのばらつきを抑え、品質を安定させていきます。

3.Governance

デザイン人材やプロセスの管理・評価方法を合意する機能です。デザイン人材がより良いパフォーマンスを発揮するためには、働き方や評価について、他部門との調整も踏まえて管理する機能が必要です。Design Opsは、デザイン人材の労働時間の管理から、プロセスの管理・最適化までを担うことで、デザイン人材が活躍できる土壌を作っていきます。

4.Tool & Infrastructure

デザイン人材が日々利用するツール・インフラなどの最適な環境を準備する機能です。プロダクト・サービスの企画や開発の場面において、デザイン人材が他の人材とともに仕事することは頻繁にあります。しかし、デザイン人材が活躍できる環境が通常と同じとは限りません。デザイン人材が活躍できるツール・ナレッジなどのインフラを整えることで、デザイン人材が組織・チームを超えてパフォーマンスが発揮できるように、Design Opsとして環境をセットアップしていきます。

4つの機能以外にも、デザインの組織・チームとして必要となる事務作業、Research Ops、デザインに関連したより細かいタスクの支援など、デザインに集中できる環境づくりをDesign Opsは支援します。

3.導入アウトカム

Design Opsが4つの機能を実践することで達成すべきアウトカムは、デザインカルチャーの醸成と浸透です。Design Opsは、組織・チームに横串を刺し、デザイン人材を支援する組織です。Design Opsからデザインカルチャーを醸成・浸透させることで、よりデザイン人材が働きやすく、パフォーマンスが発揮できる環境を作ることができます。

4.これから取り組みを始めるときの注意点

日本においては、事業会社などでデザインの内製化が徐々に進んでいますが、一つひとつは小規模なことが多いです。小規模であっても、Design Opsの支援を受けることはデザイン人材の一助となり、より本業に集中しやすくなりますが、このような場合は注意が必要です。

デザイン組織が小さい段階で導入すると、Design Opsも小規模になります。デザイン人材のレベルはジュニア・シニア・リードまで分かれる中で、Design Opsで求められるデザイナーにはシニア以上のレベルが求められます。アウトプットを作らないポジションであるにもかかわらず、レベルの高いデザイナーを割り当てることについては勿体ないと評価されることがあります。ある程度の効果はあるものの、投資対効果の観点で説明が難しくなることがあります。したがって、デザイン組織がある程度の規模に育ってからのDesign Opsの導入がより望ましいです。

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