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2022.3.3特集

グリーンソフトウェアから進める脱炭素の動き

世界中でネットゼロ/カーボンニュートラルに向けた動きが加速し、いまやあらゆる業界で脱炭素に向けた行動が求められている。長らくICT業界ではデータセンターやハードウェアの省エネに重きが置かれてきたが、近年、脱炭素に資するソフトウェア、グリーンソフトウェアに注目が集まっている。

目次

押さえておきたい、「グリーンソフトウェア」とは

グリーンソフトウェアと聞いて、何を思い浮かべるでしょうか。一昔前であればピンとこないキーワードだったかもしれませんが、「グリーン」という言葉が普及しつつある今ではイメージがつきやすいことかと思います。グリーンソフトウェアとは、「温室効果ガス(GHG)排出量が少ないソフトウェア」を意味します。では、GHG排出量が少ないソフトウェアとはどういうことでしょうか。後述するGreen Software Foundationでは、グリーンソフトウェアには三つの要素があると考えています。
一つめの要素は、消費電力です。消費電力が少ないソフトウェアは、最もわかりやすいグリーンなソフトウェアと言えます。
二つめの要素は、どの程度ハードウェア資源を利用するか、です。より少ないハードウェアで同じ結果が得られるのであれば、よりグリーンなソフトウェアと言えます。ハードウェアの製造でもGHGは排出されるからです。例えば、機能や消費電力が同じでもメモリ1枚で済むソフトウェアはメモリ10枚必要なソフトウェアよりグリーンと言えます。
三つめの要素は電力の使用方法です。電力を消費したとしても、それが再生可能エネルギー由来の電気であればGHG排出量を抑えられます。たとえば、太陽光発電由来の電力が使えるよう日中帯に処理を行ったり、洋上風力発電が豊富な地域のデータセンターで動くソフトウェアはよりグリーンであると言えます。

図1:グリーンなソフトウェアの観点

図1:グリーンなソフトウェアの観点

なぜ今グリーンソフトウェアが必要なのか

世界の消費電力全体におけるIT業界の消費電力は10%にすぎません(2015年時点)。しかし、近年のIT業界の成長はすさまじく、2030年には全体の20%を超えるという予想もあり、業界として消費電力削減の取組が必至です。(※1)

また、デジタルトランスフォーメーションの中核をなすICT(情報通信技術)は、一方でビジネスを効率化することでGHG排出量を削減する打ち手として期待されています。しかし、脱炭素を目的としたICTの導入が加速する過程で、ITソリューション自体のGHG排出量の削減努力に目を向けないのは不十分と言えるでしょう。

IT領域では、これまでもハードウェアの省エネや、データセンターのエネルギー効率化など物理的な設備に対するGHG削減努力は広く行われてきました。一方で、目に見えないソフトウェアについてはあまり注目されていませんでした。2015年のパリ協定成立以降、あらゆる業界で脱炭素の動きが加速し、ソフトウェア領域においてもようやく取り組みが本格的に始まりました。近年ではAPEE(※2)のようにソフトウェアがハードウェアの動作を決めることに着目し、ソフトウェアの電力効率を測定する指標が国際規格化されるなど、少しずつソフトウェア領域における気候変動問題への寄与にも目を向けられるようになってきました。

図2:IT業界の消費電力(※1)

図2:IT業界の消費電力(※1)

さらに、2021年5月にはグリーンなソフトウェアの普及展開とその実現に向けたエコシステムの構築に取り組むグローバルな非営利団体「Green Software Foundation(以下、GSF)(※3)」が設立されました。GSFでは電力効率に加え電力を生成する際のGHG排出量やハードウェアの利用量にも着目し、グリーンなソフトウェアを開発するための標準の策定やツール開発など、より広くGHG排出量の削減に取り組んでいます。

(※3)Green Software Foundation

https://greensoftware.foundation/

グリーンソフトウェアの実現に向けて

では、グリーンソフトウェアを開発するにはどうすればよいでしょうのか。残念ながら、現在明確な方法論は確立されていません。そんな状況を打破するため、GSFではSoftware Carbon Intensity(SCI)というソフトウェア利用時のGHG排出量を評価するスコアのα版を2021年12月に策定しました。

「測れないものは改善できない」と言われるように、排出量を削減するためにはまず定量的に評価する指標が必要になります。SCIとはソフトウェアの単位処理あたりのGHG排出を比較するためのスコアです。自動車でいうところの燃費のようなもので、同じ機能を持つソフトウェア同士の比較や、開発時により排出量の少ない実装方式を検証するための具体的な方法として活用することが期待できます。

図3:SCIとは

図3:SCIとは

SCIは((E * I) + M) per Rで定義され、少ない方がよりグリーンと言えます。Eは消費電力、Iは炭素強度(1kWhあたりのGHG排出量)、Mはハードウェア由来のGHG排出量、Rは単位処理を表します。定義からもわかる通り、前述のグリーンソフトウェアの三つの要素(消費電力、ハードウェア利用、電力使用方法)によって、スコアを小さくすることができます。

実際のソフトウェアでSCIをどう算定するのか、Iの値はどこから持ってくれば良いのか、Rはどう定義するのかなど、課題がまだまだ残ってはいます。しかし、今回のα版策定はグリーンソフトウェアの普及に向けた重要な一歩と言えます。SCIは現在も正式版の検討に向けて広くオープンに意見提供を呼び掛けており、より多くの意見を集めるためSCI自体の普及展開にも取り組んでいます。

NTTデータは2021年9月に6社目のSteering Member(運営メンバー)として同団体に参画。世界中から集まった、クラウドの専門家やプログラミング言語の専門家、AIの専門家など、幅広い分野のソフトウェアエンジニアと日々議論を交わしているほか、より良いものを作るため、同団体の活動を広く知ってもらうための活動も進めています。今後もNTTデータはGSFでの活動や自社のR&D活動を通してIT技術の環境負荷低減を目指し、グリーンソフトウェアが当たり前となる世界の実現に貢献していきます。

- NTTデータは、「これから」を描き、その実現に向け進み続けます -
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