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2022.3.23事例&対談

「最速の意思決定」に挑戦! ~サプライチェーンのデータ可視化で、需給管理をデジタル化~

DX推進の機運が高まっている今、製造業はサプライチェーンの再構築を迫られている。ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)は、需給管理に関わる迅速な意思決定の実現を目指し、グローバルで100社以上に及ぶサプライチェーンのデータを一元的に可視化する仕組みを構築した。多数のステークホルダーをどのように巻き込み、各社のデータをつなぐ情報基盤を作りあげたのか。壮大なプロジェクトの舞台裏に迫る。

目次

今、製造業が取り組むべき「サプライチェーン再構築」とは

製造業では、製造工程に関わるエンジニアリングチェーンと、原材料や部品の調達から販売までに至るサプライチェーンの双方においてデータを連携させ、業務改革を進めようという動きが出ている。とりわけサプライチェーンについては、サプライヤー、工場をはじめ、さまざまな企業・拠点・部門に情報が散らばっており、データ連携にはそうした数多くのステークホルダーを巻き込む必要がある。自社だけでなく他社にもデータを提供してもらい、業務フローも含めて変えていかなければならないため、一筋縄にはいかない。

こうした高いハードルが存在するものの、サプライチェーンの再構築は今こそ進めなければならないと、NTTデータ コンサルティング事業部の大居由博は話す。

コンサルティング事業部 課長 大居 由博

コンサルティング事業部 課長
大居 由博

「製造業のサプライチェーンにおいては、これまでも各ステークホルダーに散らばったデータの可視化・共有が課題となっていました。そこに昨今は米中摩擦の深刻化、新型コロナウイルスの感染拡大による混乱、半導体不足に伴う需給調整の問題などが加わり、従来のExcelによるマニュアル作業や電話・会議を中心に意思決定を行うサプライチェーンマネジメント(SCM)に限界を感じる企業が増えています」

サプライチェーンの再構築というテーマにおいて、ポイントとなるのはやはりデジタル技術だ。最新技術を活用して、さまざまな企業や拠点・部門に分散しているデータを1つの場所で管理し、共有・可視化すること、その情報を各ステークホルダーが自在に活用し、需給調整も含めてスピーディーに意思決定できるようにサプライチェーン全体をデジタル化することが求められている。

データ活用プラットフォーム「iQuattro®」で情報基盤を整備

「プレイステーション」のハードウェア及びソフトウェアの企画・開発・製造・販売を行うSIEにとっても、サプライチェーン再構築は大きな課題だ。「当社は2011年にタイで発生した洪水によって需給逼迫に悩まされた経緯があり、サプライチェーン最適化の必要性を感じていました」と、SIEのITソリューション部で「プレイステーション」に関わるビジネスシステムを担当する田邊拓氏は語る。

株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメント ITソリューション部 次長 田邊 拓 氏

株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメント ITソリューション部 次長
田邊 拓 氏

各ステークホルダーに閉じていた情報を管理し、最適化を進めたいと考えたSIEは2015年、データ連携・可視化に知見とノウハウを持つNTTデータと、サプライチェーン再構築に向けた協業をスタートさせた。取り組みを始める際に設定した目標について、田邊氏は次のように説明する。

「人件費、資源供給、物流など、世界的な製造オペレーションにまつわるさまざまなリスクに機動的に対応できるプラットフォームを作り、レジリエンスを確保することを目指しました。この目標は2022年の現在も有効であるばかりか、昨今の半導体を中心としたデバイス供給制約や全世界的な物流の混乱によるリードタイムの長期化を見るにつけ、より重要性を増していると考えています」

この取り組みでは、サプライチェーン全体にわたり「プレイステーション」を軸に必要なデータを集めることで、SIEのみならずステークホルダー各社が自社のオペレーション改善に役立てられるデータをフィードバックできる状態にすることが大きな目標だと、田邊氏は話す。

2015年以降、データプラットフォームの構築と、データ収集スキームやデータ活用アプリケーションの展開をNTTデータとの協業で進めてきた。この中で、iQuattro®(アイクアトロ)(※)を用いたSCMプラットフォーム構築プロジェクトが立ち上がった。

iQuattro®は、これまでばらばらだった企業間・業務間をつないでデータを可視化・活用する機能を備えたDXプラットフォーム。製造業を中心に商社、官公庁などさまざまな業界におけるデータ連携のニーズに応えるため、ユースケースに合わせたAPIやアプリケーションを提供し、情報をスピーディーかつセキュアにつないで蓄積できる基盤として機能するものだ。

このiQuattro®をベースとした今回のプロジェクトについて、大居と同じコンサルティング事業部の良永武史が解説する。「SIE様のサプライチェーンはグローバルで100社以上にのぼります。その多数のサプライヤー、工場、そして本社の生産や部品出荷計画・実績等に関するサプライチェーン情報をiQuattro®で連携・共有し、環境変化に強い柔軟なサプライチェーンへと再構築して、最速の意思決定実現を目指すのが本プロジェクトの目的です」

コンサルティング事業部 課長 良永 武史

コンサルティング事業部 課長
良永 武史

サプライヤー、工場、本社から部品の需給に関わるデータをセキュアに収集・連携し、部品の逼迫度合いを一元的に確認できる仕組みを構築。具体的には、データ収集や加工を行うデータ管理機能、各ステークホルダーとSIEが日常的にコミュニケーションを行うためのポータル機能、需給情報を可視化するためのダッシュボード機能などで構成されている。サプライチェーン全体に横串を刺し、部品の生産が滞りなく行われているか、ボトルネックが発生していないかなどを迅速に把握できるようにしている。なお、連携企業の大切な情報を管理するため、データ利用・管理については構想段階からデータマネジメントを検討するタスクフォースを立ち上げ、連携元の正当性を保証する認証/認可の仕組みや、データの利用範囲、開示範囲の制御を検討。企業間のデータを安全に管理する機能・運用の整備やポリシーの制定を実施した。

(※)iQuattroについて

iQuattroホームページ:https://enterprise-aiiot.nttdata.com/service/iquattro
お問合せ窓口:iquattro_contact@am.nttdata.co.jp

世界に散らばる100社以上を巻き込む壮大なプロジェクト

そもそもSIEとNTTデータがこの協業に至ったのは、サプライチェーンに散らばるデータをオープンにすることで最速の意思決定を実現するというSIE側の思想と、企業・業務間のデータをつなぐことがDXの本質であるというiQuattro®の思想が合致したことがきっかけだった。

「当時、IoTプラットフォームを提供している事業者はほとんどなく、提供予定、もしくはこれを機に提供を考えるという会社を探していました。その中でNTTデータさんは、社を挙げて取り組む意思を示してくれたこと、また当社のビジネスパートナーとの共創という最も大事な面を理解してくれたことから、協業を決定しました」(田邊氏)

2015年に構想を具体化する企画検討がスタートし、各ステークホルダー間のデータ連携、データの精度向上といったフェーズを経て、約3年でグローバル100社以上を巻き込んでの安定稼働に到達した。そこに至るまでには、やはりステークホルダーの多さと巻き込みの難しさが最大のハードルだったと、大居は振り返る。

「サプライヤーの巻き込みは、各社に今回のプロジェクトの効果や意味を説明し、協力を取り付けていきました。各社ごとにニーズは異なりますが、すべてそのまま聞いていくと収拾がつかなくなるので、スタンダードを丁寧に説明する形でアプローチしました。この部分をクリアするには飛び道具があるわけではなく、SIE様と共に巻き込みの順序などについて作戦を練りながら、当社が触媒のように間に入って地道に進めていきました」

もう一つ、データの精度向上にも苦労したと良永は話す。「各社にはプラットフォームとしてAPIを提供し、データを上げてもらう形になりますが、100社以上あるとIT化の進み方もまちまちなので、技術的に難しいという会社もありました。そこで当社からデータを手軽に送信できるツールを提供し、各社から集めるデータの精度を高めていきました。SIE様から各社に働きかけてもらい、各社の業務プロセスにデータ共有を組み込むことができたところが大きかったですね」

こうした取り組みが成功した背景には、NTTデータならではの総合力と、諦めずにやり切る姿勢があったと良永、大居両氏は強調する。

「当社には、実際の開発で高い技術と知見を持つメンバーはもちろん、SCM領域に詳しいコンサルティングメンバー、プロジェクトマネジメントのメンバー、さらには運用に強みを持つメンバーまで、プロジェクトを成功に導く人的リソースが揃っています。このメンバーをうまく組み合わせて体制を作れたところが、まさにNTTデータの総合力だと思います」(良永)

「当社としても、今回の取り組みは今後のDXや共創におけるフラグシップのプロジェクトになるとの思いがありました。上層部がきちんとコミットしたことで、現場メンバーまで含めて諦めない気持ちで取り組むことができました」(大居)

迅速な意思決定を実現し、さらなるDXの追求へ

iQuattro®のSCMプラットフォームが稼働を始めたことで、部品の需給情報を各ステークホルダーがタイムラグなく、一元的に確認できるようになった。加えて、問題発生後に動き出すリアクティブの管理ではなく、事前に予兆を検知して対策を検討するプロアクティブな管理が可能になった。

「これまでも製造データはとれていましたが、部品情報や物流情報など前後のデータとのつながりには改善の余地がありました。プラットフォーム稼働後、「プレイステーション」のバリューチェーンの各種データを統合して扱えるようになり、より俯瞰的な意思決定ができるようになりました」(田邊氏)

SCMプラットフォームの今後の活用について、田邊氏は次のような展望を示す。

「製造や製販、CS領域でのデータ収集と活用を進めてきましたが、これらの複数の領域にまたがったデータ分析によって、これまでになかったような切り口で最適化のシーズを探していきたいと思っています。また、この先、コスト情報や契約情報等を組み合わせていくことにより、企業間のオペレーション最適化を目指していければ、と考えています」

そのうえで、NTTデータについては「ビジネス共創パートナーとして、プラットフォームのより一層の進化に加え、プラットフォームを活用している他社の成功事例を横展開し、製造業全体の発展に向けサポーターになってほしいですね」と期待感を語ってくれた。

NTTデータとしても、SIEのDXを引き続きサポートしていくとともに、サプライチェーンの商流情報に金流情報と環境情報を掛け合わせるなどして新たな価値を創出するため、iQuattro®をさらに成長させていく考えだ。

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