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2022年9月7日事例を知る

デジタル人財育成最前線 ~「徒弟制度」で次世代トップ技術者を育成!~

デジタルトランスフォーメーションの加速により、特にIT系人材の不足は顕著になっている。技術力がビジネスの生命線であるNTTデータでも例外ではない。システム開発現場では案件対応が最優先となり、先進的技術を扱う経験は少ないため、技術人材の育成が急務である。昨今活発化している「徒弟制度」での人材育成に先駆けた取り組みとして、NTTデータの次世代トップ技術者の育成施策と成果を紹介する。
目次

1.技術人財育成を取り巻く状況

近年、人材不足が深刻化していますが、解消の兆しはなく、多くの企業が人材確保の問題に直面しています。特にIT系人材は2030年には最大で79万人不足するとの試算結果が経済産業省より発表(※1)されています。世界中でデジタルトランスフォーメーション(DX)が加速する中で、お客様の要望に応えるためにも、必要とされるIT人材の育成は急務となっています。

この様な中、米国の大手IT企業では「徒弟制度(アプレンティスシップ プログラム、Apprenticeship Programs)」により、IT人材を自社で育成・確保する取り組みが活発になっています。米IT企業におけるアプレンティスシップ プログラムとは、様々な形態がありますが、長期のOFFJTとOJTにメンターシップなどを組み合わせた形で未経験や初心者の社員を有給で育成し、技能や専門能力を身につけさせるというものです。

NTTデータでは、独自の”徒弟制度“で次世代トップ技術者の人財(※2)育成に取り組んでいるため、次章にてご紹介します。

(※1)

経済産業省 第1回「第4次産業革命スキル習得講座認定制度(仮称)」に関する検討会 参考資料3 IT人材育成の状況等について 2017年4月25日

(※2)

NTTデータの施策については「人財」の表記を使用しています。

2.NTTデータの次世代トップ技術者育成施策『技統本塾』の取り組み

2.1 技統本塾とは

マルチベンダーであるNTTデータとして、他社と対等に渡り合うには「技術力」は生命線です。一方、現場では案件が優先となり、深い技術の探求や先進的技術を扱う経験をなかなか積むことができません。そこで技術集約組織にあたる技術革新統括本部『技統本(ぎとうほん)』のトップ技術者を中心に塾長を擁立し、OFFJTの”徒弟制度”によって、若手や中堅社員を徹底的に育てる『技統本塾』の施策を展開しています。”システムを作るうえで必要な原理原則を理解する”という方針を掲げ、しっかりとした技術・裏付け・目利き力をもった技術者を育てることが、世の中の社会インフラの構築やお客様のビジネスの向上につながると考えています。

塾長はAdvanced Professional(ADP)制度とTechnical Grade(TG)制度で採用・認定された社員を中心に選出しています。ADPは、先進技術領域で卓越した専門性を持つ人財を採用する制度です。TGは、高い専門性をもって職務遂行し事業貢献することを期待された社員で、専門性を軸にキャリアを高める制度です。このように極めて技術力や専門性の高いトップ技術者から指導を受けられる貴重な機会としています。

図1:技統本塾のイメージ

図1:技統本塾のイメージ

塾長は技術分野ごとに擁立しています。OS、ネットワークといったインフラ技術に加え、DX人財の育成の高まりからクラウドやAIなどにも幅を広げ、延べ16の技術分野を展開しています。

技術分野と塾長

技術分野と塾長

有名なトップ技術者が教鞭をとるとあって、非常に活況で人気のある施策となっています。2017年度の開講からの累計で260名以上が入塾しており、2021年度からはNTTデータ国内グループ会社の社員も受け入れています。

図2:技統本塾 入塾者数の推移(累計)

図2:技統本塾 入塾者数の推移(累計)

2.2 技統本塾の活動と特長

基本的な進め方は、最初に活動計画を立て、仮説立案や環境構築を経て本格検証を行い、半年の活動期間の最後に修了発表を行います。

図3:活動の流れ

図3:活動の流れ

テーマは、普段の業務に関連したものもあれば、個人の興味のある技術を設定する場合もあり様々です。活動では、環境構築や実機検証など手を動かすことを重視しています。塾長は解決のためのアドバイスは行いますが、塾生自身に考えさせることで自分の力で問題を突破する能力を養わせるようにしています。

事務局によるアシスト体制も特長です。ディスカッションのファシリテートのほか、スケジュール調整、検証環境の整備、ドキュメントレビューにも加わります。事務局がマネジメントを全面的にサポートすることで、塾長/塾生が集中して指導/活動できる体制を整えています。

もうひとつの特長は、アマゾン ウェブ サービス ジャパン、日本マイクロソフト、ヴイエムウェアなどのパートナーからのサポートです。ディスカッションへの参加や勉強会などで協力を得ています。技統本塾を通して築いたパートナーとのパスは、実案件に活かすことができ、またパートナーから技術力を認められることで塾生の自信にもつながっています。

修了発表では半年間の学習成果をまとめ、関係者に対して発表します。修了を迎えた塾生や上長からはスキル向上や人脈形成などに関して以下の図のようなコメントがあがっています。

図4:塾生・上長からの声

図4:塾生・上長からの声

塾生は、技統本塾で得た知見を社外で発表することにも取り組んでいます。これらの活動をパートナーに評価いただいたことで、トップエンジニアとして認定される塾生も輩出しています。

図5:社外発表などの主な実績

図5:社外発表などの主な実績

2.3 技術コミュニティとしての役割

技統本塾は、技術コミュニティとしての役割も担っています。各技術分野の塾生は、同じ技術を探求するもの同士で協力関係を築き、コミュニケーションを深めています。ティーチングアシスタント制度も導入し、修了した塾生がOB/OGとして指導にもあたっています。

また、技術分野間の交流を深めるために、ライトニングトーク形式の中間報告会や技術テーマを設定したディスカッションを開催し、分野を超えた意見交換の場を設けています。技術者同士、同じ考え方や課題などを見つけ、切磋琢磨できる環境となっています。

コミュニケーションツールはMicrosoft Teamsを活用し、いつでも情報交換や相談ができる場を提供しています。Microsoft Teamsは塾長、塾生以外でも参加できるように開かれたものにしています。

2.4 パートナーアライアンス型の育成

上述の他に、アマゾン ウェブ サービス ジャパン、日本マイクロソフト、グーグル・クラウド・ジャパンなどと連携して、DX人財の裾野拡大にも取り組んでいます。パートナーから提供されるトレーニングを活用してラーニングジャーニーを設定し、社員一人一人のスキルアップや試験バウチャー提供による資格取得を支援しています。

競争型ラーニングイベントを開催しているのも特長の一つです。Microsoft Cloud Skills Challengeでは、トレーニングをいかに効果的に利用して認定資格を取得したかをポイント化し、高得点の参加者を表彰しています。またNTTデータ版AWS Jamでは、海外のNTTデータグループ会社を含めてトラブルシューティング技術を競うイベンを開催しています。ゲーミフィケーションと実践的なトレーニングを兼ね備えていることで、どちらのイベントも非常に高い人気を博しています。

これはパートナーとの関係が深いNTTデータならではの取り組みと考えています。自社のサービスや製品に精通した技術者を増やしてビジネスを拡大したいパートナーと、人財育成を進めたいNTTデータとの協力関係により成り立っています。

3.おわりに

昨今活発化している”徒弟制度(アプレンティスシップ)”に先駆けて、NTTデータでは『技統本塾』による次世代トップ技術者の育成を2017年から継続しており、対外的な活躍や実案件への貢献という実績に結び付けています。
「Realizing a Sustainable Future」を掲げたNTTデータの新中期経営計画の戦略のひとつに、先進技術活用力とシステム開発技術力の強化があります。技統本塾では最新技術を見据えて様々な技術領域に対する次世代トップ技術者の育成に取り組んでおり、これからもお客様の新たなビジネス価値創出に貢献していきます。

本記事に記載されている会社名、商品名、又はサービス名は、各社の登録商標又は商標です。

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