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2023年1月25日事例を知る

NTTデータが取り組むデータドリブンな人財育成
People Analyticsによる「資質の見える化」で事業創出人財を見極める~デジタル人財化計画 #4

これまでも重要性は認識されてきた人財の適材適所や、社員一人ひとりにあわせた育成プランの作成。これらを人事担当者の経験や勘により行うのではなく、“データに基づき(データドリブンに)”行っていくサービスを、NTTデータが提供開始している。
このサービスはNTTデータが、DX人財のなかでも育成の難しい『事業創出人財』の育成プロセスを、自社のPeople Analytics(人財データの収集、分析による組織課題を解決する手法)の結果を活用して解き明かす取組みを行った経験から生まれたものだ。なぜいまPeople Analyticsなのか、データドリブンになると人財育成はどう変わるのか。サービスの原点となっているNTTデータでのDX人財育成への取り組みに迫る。
目次

人事領域でのデータ活用を推進し、企業の持続的成長を促す

ビジネスにおけるデジタルやDXの活用は、もはや特別なことではない。今や、デジタルやDXが関係ないビジネスは存在しないだろう。しかし、企業によってはデジタルやDXの導入自体が目的になっている現状もある。

コーポレート統括本部 人事本部 部長 下川 桂

コーポレート統括本部 人事本部 部長
下川 桂

NTTデータで人財開発を担当するコーポレート統括本部 人事本部 部長の下川桂は「デジタルはあくまで手段です。重要なのは、デジタルから得られるデータを分析して新しいニーズや価値を発掘し、デジタル技術を活用してこれまでにないビジネスやサービスを仕立てること。企業にとっては、そんな新規事業を創出できるデジタル人財が重要になります」と語る。

しかし、デジタルを使いこなし、新規事業を創出できる人財は限られており、一から育成するのも簡単ではない。そういった企業の声を受けてNTTデータが提供するサービスが、『People Analyticsを活用したタレントマネジメント』だ。People Analyticsとは、デジタル技術によって人事関連のデータを収集、分析し、その結果を採用や教育、配置などに役立てる手法である。それを、ビジネスや企業の価値を向上させるための戦略的な人事計画であるタレントマネジメントに活用する。

このサービスを社外の企業に提供しているNTTデータ 法人コンサルティング&マーケティング事業部 部長の近藤博一は、その意義を「人事領域は勘と経験による意思決定が主流で、データ活用が遅れています。その是正が人的リソースの有効活用につながり、企業の持続的成長を促し、ひいては社会貢献になります」と語る。そして、導入のメリットをこう続けた。

「社員自らが、自分の人事データから個性や特性を可視化することで、自分に向いている仕事を認識できます。それにより自律的なキャリア形成が可能となり、やり甲斐へつながる。社員満足度は上がり、企業自体のパワーも増すでしょう。組織としても、資質に即した適正な配置ができるのは大きなメリット。向いていない人財を配属するのはリソースの無駄遣いだし、本人のやる気も上がりません」(近藤)

では、具体的にはどのようなサービスを提供するのだろうか。

「まず、社員個人に向けた具体的なソリューションのひとつを紹介します。社員一人ひとりの人事データの分析に加えて、新たに目標ややりたい仕事などのアンケートを実施して、資質や向いている職種などのレポート『キャリア・カルテ』を作成。このレポートを受けて、自分自身を見つめ直してもらいます。必要があれば、NTTデータのキャリアコンサルタントがフィードバックセッションやグループセッションも行います。

法人コンサルティング&マーケティング事業部 部長 近藤 博一

法人コンサルティング&マーケティング事業部 部長
近藤 博一

次に、組織に向けたソリューションです。その組織に属するメンバーの分析情報をもとに、それぞれの部署やグループに正しく配属されているかを確認。また、必要な素養を持った人財が部署やグループに足りない場合には、採用や異動を促します」(近藤)

この『People Analyticsを活用したタレントマネジメント』の中で、『People Analyticsを活用した事業創出人財の育成』も行っている。冒頭で触れた企業が抱える課題、つまり「デジタルによって新規事業を創出できる人財の育成」に応えるためだ。

People Analyticsによって社員を診断し、人財を4タイプに分類

そもそも、『People Analyticsを活用した事業創出人財の育成』を始めとしたPeople Analyticsの活用は、NTTデータが抱える人事の課題を解決するため、自社で使用する目的から始まった。そこで成功したノウハウを改善、カスタマイズして社外へと提供しているのである。

NTTデータが抱える人事の課題とはなにか。下川は、「当社の人事関連システムは、給与計算や人事業務のデータ管理を主目的に構築されていました。そのため、システム内外にデータが分散しており、収集・活用が十分ではありませんでした」と率直に話す。多様な人財の志向・専門性を生かして価値創出を最大化させるためには、膨大な人事関連データを最大限活用することは不可欠。そこで導入したのがPeople Analyticsだ。

People Analyticsを使い、まず目標としたのは、事業を創出する人財の見極めだ。冒頭、下川は「変化が激しい今の時代、デジタルによって新規事業を創出できる人財が重要」と述べたが、それはNTTデータも同じである。Foresightを起点としたコンサルティング力と、高いアジリティを実現するアセットベースの価値提供を掲げ、既存ビジネスには安住せず、新しい事業を創出してサステナブルな社会の実現をめざすNTTデータ。そのために、必要なのが『事業創出人財』だ。

『People Analyticsを活用した事業創出人財の育成』のポイントは、人財を、「起業型」「適応型」「システムインテグレーション 管理型」「システムインテグレーション 分析型」の4タイプに分類したことだ。その具体的な手法を下川はこう説明する。

「NTTデータには、高度な専門性を持ち、お客さまや自社の新規ビジネスの創出から具現化、定着までを主導する役割の『ビジネスディベロッパ』と呼ばれる社員がいます。彼らは、まさに事業創出人財です。このビジネスディベロッパや、事業創出成果について組織推薦のあった社員、約60名を対象にPeople AnalyticsによるAI診断とインタビューを実施。価値観や性格、仕事の動機、興味、人事情報などからタイプを割り出しました。さらに、過去の職務経歴や異動歴なども照らし合わせて、どういったビジネス経験を積めば事業創出人財になる可能性が高まるかも分析しています」(下川)

近藤と下川は、「『People Analyticsの活用』のユニークなところは、『資質』に注目したところ」と口を揃える。

「資質は、性格と言い換えるとわかりやすい。たとえば、独立心が強い性格なら70歳になっても自ら起業して働こうと考えるでしょう。人の基本的な性格は、簡単には変わりません。性格的に財務や事務管理が好きな人もいれば、クリエイティブな仕事が好きな人もいる。そういった興味があるものを育成プランに組み込めます」(近藤)

「資質には、思考スタイルや価値観、動機などが大きく関わっています。しかし従来は、これらの見える化が十分でなく、活用もされていませんでした。多様な人財の成果創出の確度を高めるために、資質を見極め、能力を発揮しやすい業務にアサインする、といった活用が考えられます。本人の資質やキャリア意向に沿った配置を行うことで、さらなる成長を引き出せるはずです」(下川)

テクノロジーの進化が組織を引っ張ることで、風土をも変革する

今回、People Analyticsによる社員の分析を行ったことで、見えてきた傾向がある。それは、事業創出人財のなかにも複数のタイプがいることだ。アイデアを沢山出してゼロから物事を作り上げる0→1タイプ。生み出された1つの芽を10倍に育てる1→10タイプ、それぞれにおいて育成のレシピは異なるという。

近藤は「多くの日本企業がそうであるように、NTTデータも0→1人財が少ない。言い換えれば、アイデアを出してゼロから挑戦する人財には居心地が悪いということです。当然、0→1は失敗も多い。事業創出人財を育成するには組織風土から変えて、失敗を許せる雰囲気の醸成が重要だと痛感しました」と語る。下川も「この風土変革への挑戦こそNTTデータに必要なことで、People Analyticsの活用はそこも目標にしている」と続けた。

もちろん、組織の風土を変えるのは、簡単ではない。近藤もそれは認めながら、このような展望を抱く。

「テクノロジーやツールの進化に比べて人間の変化は遅い。どうしても、昔ながらのルールやマインドに引っ張られるのです。そこで、People Analyticsで可視化された分析結果、つまり科学的な根拠を示す。まさに、テクノロジーが引っ張って風土を変えていくのです」(近藤)

今後の展開について下川は、「People Analyticsによる分析は全社員に広めていきたい」と意気込む。事業創出に関する「資質」×「意向」×「スキル」の3点セットの調査・分析をパッケージ化して全社展開し、本人および組織にフィードバックする。それによって事業創出人財の発掘・育成を増強するとともに、社員の自律的なキャリア形成を促すという。

「社員一人ひとりが自らの資質を知ることができれば、キャリアの方向性を定め、どういったスキルを身につけるべきかの指針となります。また上司も、部下の適性が可視化されれば、適材適所での配置の助けとなります」(下川)

近藤は、「今後は、People Analyticsで分析した個人の資質をもとに、どういった人財を組み合わせてチームを作れば事業創出につながるか、も検証していきたい。某ロールプレイングゲームでは、キャラクターがそれぞれの得意技を生かしてパーティーを組みます。それに準ずるメソッドを開発中で、実際の組織でそれぞれの得意技を生かした組織編成を実現できれば理想です」と力を込める。

NTTデータは、デジタル変革をドライブする人財を『デジタル人財』と定義し、戦略的に育成を推進。全社員がデジタル人財になることをめざしている。

これからもNTTデータは、自社内でトライ&エラーを繰り返しながらPeople Analyticsの活用を推し進めていく予定だ。その知見をソリューションへも反映して、事業創出人財の育成だけに留まらず、採用や異動、キャリアプラン、教育などにおいても社外へと提供し、データドリブンな人財育成を実現していく。

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