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2023年2月15日展望を知る

テクノロジーで保険業務はどう変わる?NTTデータが描く未来像

保険業務の改善や変革を検討する上で、現在の保険業務の課題や保険ビジネスの方向性を知ることは重要だ。しかし、技術の発展と浸透が加速していくこれからの世界を考えると、現状からの積み上げによって未来の保険業務を想定することは難しい。
NTTデータでは、環境変化の洞察、主にテクノロジーの進展から2030年の未来像を描き、そこからバックキャストのアプローチで保険業務のあるべき姿を導き出した。現在の保険業務がどう変わるのか、具体的な業務シーンを中心とした先進的かつ現実的な未来像に迫る。
目次

テクノロジーの進化から読み解く2030年の未来像

2030年、世界はどう変わるのか?

保険業務の未来像を描く前に、2030年、世界がどのように変化しているかをおさえる必要があります。近年でも、モノからコトへの売り方の変革、サブスクリプションなどビジネスモデルの変革、IoTによる物流の変革など、社会のいたるところで変革が起きています。その結果、私たちは企業や行政からパーソナライズされたサービスを徐々に受けられるようになりました。この先の2030年に向けて世界はどのように変わっていくのでしょうか。

まず、政治では、デジタルの力を最大限発揮するためにあらゆる領域で規制が見直されていくでしょう。すでに取り組みが始まっている持続可能な社会の実現へ向けたSDGs施策はさらに活性化し、データ利活用のための個人情報保護も強化されていきます。
経済では、データドリブンによる経営が普及。ライフスタイルの多様化に伴い、ニーズもさらに細分化していくでしょう。消費行動は「買わない、持たない」が当たり前となっていきます。
社会全体を見ると、人口減少や少子高齢化への対応策としてあらゆるサービス領域がスマート化します。経済活動は、普及したデジタル通貨が支えることになるでしょう。
テクノロジーに目を向けると、AI技術はさらに発展し、膨大なデータが利活用されることはもちろん、メタバースによる空間を超えた体験が新たな価値を生み出していくと考えられます。

図1:NTTデータが想定する社会環境変化と、2030年の消費者生活の例

図1:NTTデータが想定する社会環境変化と、2030年の消費者生活の例

2030年、そのような社会環境の下で消費者の生活は、具体的にどのように変化するのでしょうか。

食事は、AIが個人の健康状態からバランスのよい献立やおすすめの飲食店を提案し、遠方の人ともバーチャル空間で席をともにすることができるでしょう。
移動は、オンライン化によってその機会が減少。移動方法の多様化や自動運転技術の精度向上により、満員電車、渋滞、事故も減少するでしょう。またそれらを実現するための移動や人流データ自体が高い価値を持つようになります。
仕事では、一人ひとりにAI秘書がつくことで、単純作業にかかる業務が削減され、人の判断が必要な業務時間が増えるでしょう。
コミュニケーションでは、AIの介在によって言語の壁、ハンディキャップを超えた会話が可能となり、バーチャル空間上でのコミュニケーションによって場所や空間にもとらわれなくなります。脳で考えていることを直接相手に伝えることができるようになるかもしれません。

テクノロジートレンドから洞察された未来像

NTTデータでは毎年将来の技術トレンドを分析し“NTT DATA Technology Foresight”(※1)として公開しています。今回、2030年の未来像を描く際もその知見を活用。AI、バーチャル空間などの新興テクノロジーの進化の分析に基づき、未来像を「予測に基づき行動する世界」「全てがつながる世界」という2つのキーワードに集約しました。

NTTデータではさらに、2030年の未来像につながる技術の普及・浸透について2つのシナリオを想定しています。順当に技術浸透が進み既存ビジネスモデルの業務が高度化する「MID」シナリオと、急激に技術が浸透することでビジネスモデルが変革され事業環境が大きく変化する「MAX」シナリオです。たとえばメタバースの利用時間は、2030年時点において、「MID」で全人類の4分の1が1日1時間以上、「MAX」で全人類の2分の1が1日の約半分の時間になるというシナリオを描いています。

図2:NTTデータが想定する2030年の未来像の例

図2:NTTデータが想定する2030年の未来像の例

2030年の未来像から導く保険オペレーションのあるべき姿

その時、保険営業のオペレーションはどう変わる?

2030年の未来像のもとで、保険業務はどのような変革を遂げるのでしょうか。NTTデータでは大きく「営業」「事務」の2つの領域に分けて、未来の業務の姿を描いていますが、ここでは「営業」にフォーカスして詳しく説明していきます。

まず保険営業全体の流れについて見ていきましょう。オフラインの営業においては「見込顧客選定」「ニーズ喚起」「提案」「契約申込」という流れをベースにしながら、AIが優秀な秘書のような役割を果たし、最適で効率化された営業をサポートします。

図3:2030年の保険営業の流れ

図3:2030年の保険営業の流れ

最初の「見込顧客選定」では、AIが顧客情報や成約実績から自動でアタックリストを作成。初期アプローチはAIが自動で対応します。次のステップとなる「ニーズ喚起」でも、AIが顧客属性や提案時期といった条件を分析し、トップセールスのノウハウをもとに話法やツールを提案します。そこから商談に進んだ際には、会話の流れや見込客の感情がリアルタイムに分析され、一人ひとりにパーソナライズされた商品提案を実現します。「契約申込」においても、マイナンバーの活用で健康状態などに関する情報が自動で取得され、大量の契約処理から解放されることになります。

一方、オンラインでのアプローチでもAIが精度高くターゲティングを行い、広告の費用対効果を最適化。デザインなど広告のクリエイティブも自動でアップデートされ、申込受付まですべてオンラインで完結することに。人による対応は、データの取得検討・管理やプライバシーポリシーに関わる対応等、人でしか行えない対応に集約されます。

未来の営業スタイルに、どんな価値がある?

このような未来の保険営業は、顧客や保険会社の営業担当にとってどのような価値があるのでしょうか。まずは新規加入する顧客の場合について、具体的に考えてみましょう。
前提として、2030年の世界を生きる消費者は、今とは異なる価値観を持っています。個人情報をはじめとしたデータ利活用の目的を理解し、その恩恵も体験しているため、未来のオペレーションに違和感を抱くこともありません。AIによってパーソナライズされた情報を効率的に収集し、バーチャルでのリスク体験などによって将来のリスクを自分事として認識しているため、最適な保険商品の提案に対して大きな納得感とともに加入を決めることができます。

既契約の顧客層についても見ていきましょう。既契約の顧客にとっては、保険の見直しが大きなテーマとなります。AIを活用した健康状態や経済状況のデータ分析、さらには他社の契約状況も加味した根拠のある提案プロセスを通じて、顧客は安心して保険を見直すことができます。AIのサポートにより、商談時には保険だけでなく日々の生活改善のノウハウも提供されるといった深いコミュニケーションが可能となるため、担当者や保険会社への信頼感も高まります。

次に、保険営業の担当者にとって、2030年の営業オペレーションの価値に目を向けてみましょう。顧客同様に、担当者もデジタルツールを活用した業務設計に違和感を抱くことはありません。「見込顧客選定」から商談のアポイントまではAIに代替されるため、商談に注力することができます。商談時にも、AIのサポートを通じて顧客にとって最適な提案を実現できるため、仕事へのやりがいも高くなると考えられます。顧客からの信頼も得やすくなり、リレーションが強化されることからアフターフォローも積極的に行えるようになります。

未来の営業を実現する組織体制と人材

では、実際にこのような営業オペレーションを実行するために求められる組織、人材のあり方とはどのようなものでしょうか。

AIによる業務代替が加速するため、組織も人員もスリム化が進みます。営業担当者は商談に注力できるため、成約率向上に向けて顧客データ分析、デジタルコンテンツの拡充、トップセールスのAI活用方法の取得など、高いデジタルリテラシーを身につけるようになります。また管理職も、営業数値の管理などの業務はAIが代替しますが、そのAIの管理やコストコントロールをする役割となるため、デジタルスキルは不可欠です。オンラインに偏ったチーム内のコミュニケーションによって疎外感を与えないよう、メンバーへのケアは重要性が高まるでしょう。

図4:求められる組織、人材のあり方

図4:求められる組織、人材のあり方

今回は「営業」のオペレーションのあるべき姿について詳細にご覧いただきましたが、NTTデータでは同様に保険業界の「事務」のオペレーションにも未来像を設定しています。ご興味のある方は、こちら(お問い合わせ | NTTデータ - NTT DATA)からお問合せください。

2030年、保険のシステムのあるべき姿

ここまで、2030年の保険業務からそれを実現する組織・人材のあり方を模索してきました。そしてもう1つ重要な要素が、システムです。今のシステムの考え方から変えるべきポイントは、システムのつなぎ方です。「営業」「事務」「人材」という領域ごとに疎結合(関連性や依存性が低く、独立性が高い)になるようデザインし、技術革新に合わせてシステムのパーツを交換可能な状態にしておくことが求められます。

また、AIがさらに発展する2030年においては、現在のようにAIがそれぞれの部門ごとに使われる状態では非効率です。データを部門横断的にすべて集約し一元管理するAI基盤を用意することで、各部門が共同で業務に活用できるシステムの構築が重要になります。

図5:2030年の保険システムのあるべき姿

図5:2030年の保険システムのあるべき姿

ビジネス変革の実現までが、NTTデータのコンサルティング

NTTデータが描く2030年の保険オペレーションについて、具体的な業務の流れから組織体制、システムまで一通りの内容をお話ししました。しかし、これらはあくまで保険業界全体についてのビジョンです。商品も事業環境も顧客層も、保険会社ごとに変わるため、実際に変革するためには業界全体のビジョンと個社のビジネス戦略をかけあわせていく必要があります。記事の最後に、NTTデータが持つ保険会社のビジネス変革に向けたコンサルティングメソドロジーをご紹介します。

図6:NTTデータが持つ保険会社のビジネス変革コンサルティングメソドロジー

図6:NTTデータが持つ保険会社のビジネス変革コンサルティングメソドロジー

NTTデータがコンサルティングにおいて特に重視しているのは、「あるべき姿」を描くことから、ソリューションを提供し、変革が実行されるまで徹底的にコミットすることです。

その上で最初のステップとなるのは、個社ごとのあるべき姿を描くこと。これまで見てきたような「環境変化の洞察」「2030年の将来像」「業務のあるべき姿」「システムのあるべき姿」をベースに、個社ごとにカスマイズしていきます。具体的には、経営層やDX推進部門との対話を通じた「個社のパーパス・ミッション・バリューおよび戦略の分析」「外部/内部環境分析による現状の把握」を経て、「個社ごとの将来のあるべき姿」を描いていきます。未来像がすでに描けている状態であるからこそ、「個社ごとのあるべき姿」へもスピーディに到達することができます。

あるべき姿を描いた後、実際にソリューションを提供できることもNTTデータの強みです。InsureMO(※2)などすでにあるアセットによるクイックなサービス提供が可能です。さらに、サービスの共創においても、これまで幅広い企業、スタートアップや学術機関など多様なパートナーとの共創によって蓄積したノウハウがあります。そして2022年12月には、まさに「共創」を目的とした施設をオープンしました。未来像を想像するだけでなく、実際にテクノロジーや世界を体感することで、より現実的で魅力的なサービスをクイックに共創していくための施設です。

図7:ヘルスケア共創ラボ

図7:ヘルスケア共創ラボ

NTTデータのコンサルティングは、サービスを提供したり共創したりすることだけでは終わりません。例えばDX推進のプロジェクトであれば、PoCによる検証から、経営層、DX推進部門、IT部門、ユーザー部門という関係するすべての部門と協力体制を構築していった上で、サービスを運用する上で欠かせないガイドラインの作成など導入展開を実践していきます。また実装して利用されないサービスでは意味がありません。まずは現場で成功事例をともにつくり、効果的なトップメッセージの作成も含め、行動変容を徹底的に促していきます。さらに活用推進ワークショップによって社員の変革意識を高め、その先に起きる環境変化に合わせてサービスを自らアップデートできる組織ができあがるまでが、NTTデータのコンサルティング領域です。

図8:NTTデータの保険業界向けコンサルティング領域

図8:NTTデータの保険業界向けコンサルティング領域

AI技術を始めとしたテクノロジーの進化により加速度的に事業環境が変化する中、自社のめざす姿を描き、さらにそれを実現することは容易ではありません。
NTTデータではテクノロジーの知見という強みを生かし、環境変化から未来の生活者像を描き、保険業界のオペレーションの未来像を描いています。そして、個別のお客さま向けにカスタマイズしたあるべき姿を描き、ITソリューションを実装し、さらにビジネス変革の実現までサポートすることが可能です。

NTTデータは保険業界のお客さまの事業パートナーとして、未来の保険を共創していきます。

(※2)保険デジタルサービスプラットフォーム「InsureMO」提供開始

https://www.nttdata.com/jp/ja/news/services_info/2020/121600/

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