デザインパターン
デザインパターンとは、設計における典型的な課題に対して実績に基づく解決策(設計方法)を汎用化(再利用化)したものです。有名なデザインパターンとして、GoF(Gang of Four)による『オブジェクト指向における再利用のためのデザインパターン』という本があります。この本では、デザインパターンをソフトウェア開発に初めて適用しており、ソースコードの再利用による開発品質と生産性の向上を実現しています参考1。以降その思想を受け継ぎ、各種のデザインパターンが発表されました。例えば「モバイルデザインパターン参考2」です。モバイルデザインパターンは、iPhoneやAndroidのアプリケーションの設計パターンを定めており、ユーザが操作しやすいモバイルアプリケーションの開発に役立っています。また、デザインパターンをAmazon Web Services(AWS)クラウドに展開したのが「AWSクラウドデザインパターン(CDI)参考3」です。CDIでは、AWSクラウドにおけるアーキテクチャの設計パターンを公開しており、AWSの利用を促進しています。
インフラデザインパターン
NTTデータでは、IT基盤に関するデザインパターンとして「インフラデザインパターン」を開発しました参考4。IT基盤の設計は、特定の製品を前提にした検討が進められてしまい、最適な実装方法が選択されているのか分かりにくい場合や、設計書になぜその構成が採用されたのか十分に説明されておらず、構成を変更してよいのか、影響がわからない場合があります。インフラデザインパターンを使えば、設計方式の特徴とメリット・デメリットを整理し、適用領域を明らかにしているため、要件(非機能要求グレード参考5)から候補となる設計方式を容易に選択できます。また、数多くの製品に適用できるため、特定の製品に依存しない最適なアーキテクチャを定義することができます。さらに、経営環境が変化した場合でも、要件と設計内容の関係が明確であるため、影響箇所の特定と柔軟な対応が可能となります。
図:インフラデザインパターンの例「災害対策(Disaster Recovery)P0509 完全待機+リモートミラー方式」
NTTデータでは、クラウドを含めたIT基盤のデザインパターンを整備することで、今後も高品質なIT基盤をスピーディに提供していきます。
参考文献
- 参考1矢沢久雄の早わかりGoFデザインパターン(ITPro)(外部リンク)
- 参考2Mobile Design Pattern Gallery(外部リンク)
- 参考3AWS-Cloud Design Pattern(外部リンク)
- 参考4IT戦略を考える"Innovation EYE"
- 参考5非機能要求グレード(外部リンク)