ITインフラの大きな潮流
ITインフラは集中処理の時代から分散処理の時代を経て自律処理の時代に向かうと考えられます。旧来のITインフラにはメインフレームに代表される集中処理が採用されていました。その後、オープン化の進展により安価で標準化されたサーバを多数利用して大規模なサイトを構築する流れが生じ、現在ではそれが一般的になりました。今後は社会インフラのIT化が進むと考えられ、そこでは飛行機の自動運転などに代表される自律処理が普及すると考えられます。
図:ITインフラの変化
環境適応型の粘り強いITインフラについて
社会インフラの中核を担うITインフラには、変化に合わせた自律的な最適化と脅威に対する頑健さが要求されます。変化に対して自律的に対応するには事象の把握から判断・制御までの処理をITシステムが担う必要があります。現在は仮想化技術が進展し、従来は人手が必要であったサーバ増設やネットワーク帯域の変更などをコンピュータ制御で動的に行えるため、高度な構成変更の自動化が容易になりました。このような利点を生かし、ネットワーク帯域の有効利用参考1やデータセンタの電力消費量を最適化する取組みが行われています。またサイバー攻撃や個人情報漏えいに対するレジリエンスの向上(耐障害性の向上)も大きな課題です。サイバー攻撃では大量リクエストによるDDoS攻撃(分散サービス妨害攻撃)に対して攻撃を遮断するのではなく、大量のリクエストを分散して受けきる対応策参考2が登場しています。クラウド自体の障害や地震などへの対応も重要です。災害対応では、データを世界中にリアルタイム分散し耐障害性を高める技術も登場しています。
環境適応型の粘り強いITインフラにまつわる将来象
将来的には環境適応型の粘り強いITインフラが普及し、ITは現在よりミッションクリティカルな領域に適用されると考えられます。ITシステムは仮想化により統合が進み、エネルギー消費の最適化など、リソース利用の最適化が実現されます。設定誤りなどヒューマンエラーへの対処技術も高度化すると考えられます。
参考文献
- 参考1OpenFlow
- 参考2ビジネスネットワーク.jp(外部リンク)