ITインフラのハードウェア技術革新
ここ数年で、スマートフォンやタブレットの爆発的な普及とFacebook、LINE、Twitterなどのソーシャルメディアの利用が定着しました。それに伴い、情報量が急増し、ビッグデータの流通量は総務省の統計では、9産業(サービス業、情報通信業、運輸業、不動産業、金融・保険業、商業、電気・ガス・水道業、建設業、製造業)の合計で、約2.2エクサバイトとなり、この7年間で5.5倍に達しています参考1。
これらスマートフォンなどのクラウド利用が進むと、国内IT機器・システムの電力使用量は2025年には2,400億kWh/年に増大すると言われています。これは単純計算すると現在より原子力発電所19基分の電力が必要ということになります参考2。
便利なITインフラをさらに便利にしていきたいとする反面、その電力需要の伸び率分は省エネ技術を活用して、IT技術全体の消費電力量を従来消費量以内に抑えていく必要があります。
データセンターのハードウェアとしての省エネ化では、空調機の最適な運用はもちろんのこと、電源変換をシンプルな構成にして、変換効率を改善することで大幅な消費電力量の削減が見込めます。
また、従来のデータセンターでは、システム全体の信頼性を上げるためにUPSなどの機器を二重化構成にしたり、各機器の消費電力を多く見込みすぎて実運用上「超軽負荷」で使用されるケースが多々見受けられます。
高電圧直流給電(HVDC)を中心としたシンプルな直流給電技術でデータセンターのインフラを構成すれば、二重化構成(2N)から冗長構成(N+1)となり、信頼性を上げながら、大きな無駄を排除することができます。
世界的な流れとHVDC+12Vサーバーラックシステム
とりわけ大規模なインターネット・サービス事業者がハードウェアの技術革新を行っています。その中心にいるのが、米Google社と米Facebook社です。
Google社は2009年にUPSの代わりに二次電池を配置した独自設計のサーバーを大量に導入しました。
Facebook社は2011年に「Open Compute Project」(以下OCP)の設立を発表してハードウェア仕様を公開し、世界標準を目指しています。そのOCPのサーバー仕様はv1.0 v2.0以降、DC12Vで運用しています。
これは、当社が開発した、12Vサーバーラックシステムと非常に似た構成になっています。
当社は昨年よりOCPの日本版であるOCPJに設立より参加し、現在、OCPにおいてHVDCについてのコラボレーションを進めています。当社はそれらに対して、さらに省エネで信頼性の高いHVDC技術の導入を目指し、最先端のデータセンターをリードする役割を担っています。
直流時代を先導する
高電圧直流給電(HVDC)の親和性として、自然エネルギーとの相性が非常に良いことが挙げられます。
現在日本中でブームになっている太陽光は直流電力、照明のLEDも直流電力です。世の中の大抵の機器は電子化され、交流系機器はインバーターによって内部は直流で動作する時代となりました。
ただし、交流給電が現在の社会インフラである以上、常に「交流⇒直流」、「直流⇒交流」の変換が必要となります。
いよいよ、発送電分離、電池技術やEV給電の普及なども追い風となり、ますます直流給電の活躍の場が増えることでしょう。
参考文献
- 参考1総務省「平成25年版 情報通信白書」
- 参考2経済産業省「グリーンIT推進協議会資料」