情報社会トレンドとは
社会変革と技術革新は相互に影響しあいながら進展しています。社会にはもともと種々の傾向が存在しますが、技術革新や新サービスの登場、社会課題解決ニーズの高まりなどが社会に変革をもたらす慣性、継続性の高いトレンドとして現れたものが、情報社会トレンドです。情報社会トレンドは、社会生活やビジネス現場における次の変革を予測すると同時に、技術革新を促すニーズでもあります。あらゆるものがインターネットに接続される時代が近づき、情報社会は大きな転換点を迎えています。
2016年の情報社会トレンド
NTTデータは、持続的成長につながる変化を予見、先取りするNTT DATA Technology Foresight参考を毎年策定しています。NTT DATA Technology Foresight 2016では以下4つの情報社会トレンドを定めました。
- 1.個の影響力拡大が社会の変革を促進する
個人の影響力拡大が既存の社会や業界に変革を起こしています。嗜好の多様化やパーソナライズされたモノやサービスを求める姿勢が強まり、規制や権威などに依存しない、個人間のやりとり(P2P)を基本とするしくみが社会全般に拡大しています。主導権が顧客へシフトした結果オンデマンド・エコノミーが拡大し、供給側の市場にイノベーションをもたらしています。特定の分野に限れば、小規模事業者でも大企業と十分に競争できる環境が整い、既存事業者にも変革を促しています。
- 2.オープンな連携が新たな社会のしくみを生み出す
多くのヒト、あらゆるモノがインターネットにつながり、イノベーションが起こります。人々や組織などの関係が、中央集権的なしくみから、参加者によって支えられる開かれた分散型のしくみへと転換し、社会のしくみのインターネット化が進みます。おのおのの自律的な行動と相互間のリアルタイムの調整により、全体として最適なバランスが実現されると予想されます。透明性の高い社会のしくみは、法や行政のあり方にも影響を与える可能性があります。
- 3.進化する価値が既成概念の転換を促す
インターネットに接続されることにより、モノの可能性が拡大し、付加価値が向上するようになります。これまでITの世界で一般的であったことがモノの世界でも広く行われるようになり、製品設計の考え方や物理的な構造にも影響する可能性があります。製造業界とIT業界の境界がますます曖昧になり、革新的な技術とアイデアの融合や異業種参入が進むと予想されます。産業構造や競争原理の変革につながる可能性もあります。
- 4.フィジカルとデジタルの融合が持続性と迅速をもたらす
フィジカルとデジタルの融合は、特定の状況、一定の条件などに限らない、日常的な事象となってきました。スマートフォンの機能向上が一段と進み、人々が種々のセンサーや人工知能をポケットに入れて持ち運ぶ時代となり、ヒトと機械やコンピューターの関係は、ヒトがそれぞれの機械やコンピューターに合わせた使い方をする関係から、ヒトに対するのと同じように意識せずに接する関係に変わろうとしています。ヒトが備えておくべき知識や技能の変化に応じて教育内容なども転換していくことで、ヒトとコンピューターの持続的な関係が構築されると考えられます。
今後に向けて
インターネットに接続される機器数は今後も急速に増加していくと見込まれています。あらゆるモノがインターネットに接続される時代が近づき、ヒトとモノやコンピューターの関係も社会のしくみも大きく変わろうとしています。中長期の将来展望を描くことで、変化への対応力、イノベーションの創出力などが培われることが期待されます。同時に、急激な変化によりもたらされる格差の拡大やプライバシーの侵害などの弊害に対しては、トレンドの先にある社会を見据えた制度やしくみの見直しに取り組む必要があると考えられます。