最初に
UberやAirbnbなど、既存業界を破壊するようなIT技術・サービスが次々と生まれているシリコンバレー。それらを開発しているスタートアップの周りには、Venture Capital(以下、VC)や大学、大企業など、さまざまなプレイヤーがおり、イノベーションを生み出すためのエコシステム(Ecosystem)が形成されています参考1。今回は、その中でも最近存在感を増しているアクセラレーターについて紹介します。
アクセラレーターの現状
アクセラレーター(Accelerator)は、スタートアップの成長を加速させる事業者を指し、アクセラレートプログラムを提供しています参考2。
- 数%程度の株式取得と引き換えに少額の資金を提供
- 3ヶ月程度の特訓プログラムを提供し、次の資金調達につなげるためのピッチイベントやデモイベントを開催
2005年に最初のアクセラレーターY Combinatorが設立され、現在米国では170以上のアクセラレーターが存在しています。アクセラレーターの数が伸びている要因としては、確実な投資成果があげられます。2005年から2015年の間、アクセラレーターが出資した時点でのスタートアップ評価額は平均$7Millionでしたが、その後の追加資金調達時には$90Millionまで評価額が増加しています参考3。また、クラウドやオープンソースの利用によりプロダクトの開発に必要なコストが大きく減少し参考4、大手VCに比べて投資規模が小さいアクセラレーターが活躍しやすい環境になったことも要因の1つになります。
Plug and Play
サンフランシスコから約60km南のサニーベール市にPlug and Play(以下、PnP)というアクセラレーターの本社があります。PnPは2014年のシリコンバレーエリア投資件数ランキングで1位となりました(1位PnP:65件、2位Data Collective:36件)参考5。PnPではFinTech、IoT、Retailなど複数の領域でアクセラレートプログラムを展開しており、選出されたスタートアップには$25,000の資金と10週間のトレーニングが提供されます。2015年3月~5月の期間で実施されたFinTechのプログラムでは、世界各地のスタートアップ820社から申し込みがあり、その中から23社が選出されました参考6。
PnPのインキュベーション施設「Plug and Play Tech Center」には、アメリカだけでなくヨーロッパ、中国、南米などから約350のスタートアップが集まっており、VCやスタンフォード大学などの大学、弁護士、メンターなどの支援を受けながら最新のITサービスを開発しています参考7。NTTデータも2016年3月から同施設にサテライトオフィスを構え、スタートアップのコミュニティに参加しながらイノベーションの創出に取り組んでいます。
写真:Plug and Play Tech Center におけるNTTデータのサテライトオフィス