NTTデータのマーケティングDXメディア『デジマイズム』に掲載されていた記事から、新規事業やデジタルマーケティング、DXに携わるみなさまの課題解決のヒントになる情報を発信します。
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「マネジメントの共通言語を作る」ことが継続した取り組みにつながる
― 今後も取り組みを継続させていく上で、どのようなことが大事だとお考えですか。
対談の様子
溝口さん:前編でご説明した「LICT(リードイノベーション・コミュニケーションタイプ)」のようなマネジメントの共通言語をそろえていくべきだと思っています。現状は上司・部下のタイプは関係なくアサインされることが多いと思いますが、そうなると配属された部下が合わせないといけない場面もあると思います。大事なことは、その頑張りに意味があるのかどうか。意図的に異なるタイプをアサインするか、完全に合うタイプの下で活躍させるのかという判断をするためにも、「マネジメントの共通言語を作る」ことはみんなが活躍する世界を作ることにつながるのではないかと思います。
また、共通言語を持つ者同士の横のつながりを作っていってほしいので、今回のプログラムの卒業生がうまく絡みあっていくような仕組みも活性化していってほしいと思っています。
小木曽さん:私も卒業生のコミュニティは作っていきたいと考えています。今回参加したメンバーが組織のコア人材として活躍していってほしいというのは大きなビジョンとして持っているところです。このプログラムは守りのマネジメントではなく、会社として成果を出していく上でのいわゆる攻めのマネジメント・リーダーシップを学ぶ場として重要だと思っているので、今後も攻めのプログラムは継続化させていきたいですね。
内容面での発展としては、いわゆる不確実性が高い状況に置かれた際のマネジメント・リーダーシップはさらに高度化できたらいいなと思っています。今回参加したメンバーのマネジメントは、お客さま企業や取り扱っているソリューションがある程度決まっている中でのマネジメントでした。その領域で本プログラムは成果を出せることはわかったのですが、今後は参加者自身が目標を設定して新たなソリューションを企画し、新たなお客さま企業を開拓していくような場面でのマネジメント・リーダーシップにおいても効果が出るかは検証したいと思っています。
また、もともと今回このようなプログラムを企画した理由としては、いまご説明したような不確実性が高い状況に対してどうしたらいいかわからない、変えたいけれど自分一人じゃ解決法を思いつかない、という悩みを抱えたマネージャーがお互いに相談できるきっかけを作れればとの想いがありました。このプログラムや、その後の卒業生コミュティがきっかけになれば嬉しいです。
行貝さん:私は今回の参加者が今後どんなチームをマネジメントしても再現性のある形で実践できるかということが重要だと思っています。また、小木曽さんコメントと同様に、マネージャー同士がチームで取り組んでいくための場づくりを今後も提供していきたいです。
小さなムーブメントの広がりが大きな組織変革へ
― マネージャーが相互相談するコミュニティを中心にこのムーブメントを継続させ、さらに広げていくことが求められてくるということですね。
溝口さん:その通りです。ただ、ムーブメントを起こすにはまだ数が足りないですね。(本プログラムで身に着けたマネジメントスタイルが今までとは異なるという意味で)従来の企業文化がある中で新たな取り組みはすぐに順応されるものではないので、イノベーションを起こすコミュニティやそこに同調する人々を増やしていくことで、受け入れられる広がりを作っていくことが必要だと思っています。とはいえ私のような外部の人間が入り続けるのは得策ではないので、内製化、つまりこうした取り組みを社内の当たり前にするために何が必要かは考え続けなければいけないと思います。
参加者の方々の率直な意見として、自分を棚に上げて同じ参加者に意見を言えないということを仰っていましたが、お互いに言い合える関係性になることが大切だと思います。その関係をどう作るかは今後考えなければならないし、そういう価値基準を持った方々がひとつのコミュニティとなれば、きっと不確実性の高い新領域のビジネスでも成果につながってくるのではないかと思います。
小木曽さん:今回のプログラムで、参加したメンバーが自分のチームをどう変えていくかというのは実体験として学ぶことができたと思います。今後は自チームという目線を事業部、事業本部、会社と大きな範囲に広げたらどんなことができるのかを考えてもらえるようになれればと期待しています。ただそれも一つ一つのステップの積み重ねと思いますし、そのステップを私たちのような運営側が会社の仕組みとして整えていくことで、会社全体を変える一つのきっかけになれればいいなと思っています。その仕組みとしてどんなものが良いかはまさに試行錯誤しているところではありますが。
溝口さん:とある企業で同様の取り組みを5年間実施したことがあります。その間に卒業生がどんどんコミュニティに入ってきて、その中で新事業について企画提案をして、最終的には社長提案し、その企画が採用されたという実例がありました。私はそれが一番の理想形だと思っています。例えば1期生と3期生だと課題は違うけど、同じことを学んだ人たちがオフの場で語り合って会社を変える提案を行うことは素晴らしいと思います。
逆の視点で考えると、それくらい時間がかかるということなんですよね。簡単にうねりは起こらないし、うねりを起こす人はリスクを厭わないからこそ変革を起こせるのだと思います。そういう人たちがどんどんムーブメントを起こせることが大事だと思います。
卒業生コミュニティのイメージ(リード・イノベーション社作成)
小木曽さん:各参加者が自分のチームを変えるだけでも半年かかる中で、会社全体を変えるとなると時間がかかるのは間違いありません。ただ、自分たちが変えていける人の母数を増やすことが大事だと思うので、そういった輪の広がりによって視座がさらに高まっていくような効果が生まれてくると考えています。
課題の最前線にいる事業部発で取り組むことが成功パターンに
―プログラムを振り返って、印象に残ったことを教えてください。
溝口さん:事業部発で実施できたことは大きかったです。人事部主管など全社的に実行する施策となるとさまざまな意見が衝突する可能性があるため、一つの事業部でトライアル的に実施して横展開していくという形式は大変良かったと思います。次の課題は、社内でさらにどう展開していくかだと思いますが、まずは風穴を開けていただいた小木曽さんたちには感謝したいです。
小木曽さん:運営側で印象に残ったことは次の3つです。
- ボトムアップによる企画が今後主流に
- 管理職育成への風向き変化
- 事業部発で取り組む意義
<振り返りの詳細は、こちらの動画をご覧ください!>
特に事業部発で実施するという観点は、すごく印象的だったところですね。企画・運営側としては普段の仕事との兼任だったので大変なところはあったのですが、自分たちの課題を自分たちで解決したり、自分たちの仕事に直接アウトプットすることを前提に取り組んだり、という視点はこれからの時代の研修の在り方として主流になってくるのではないかと予感としています。それが結果としてボトムアップ的に試行錯誤してチャレンジしていく組織の在り方の一つになってくる、その一つのパーツとして今回の企画があったのなら、とても良い取り組みだったのではないかと感じます。
溝口さん:『事業部発研修』、いいですね。どこの事業部でも課題は抱えていて、でもどの研修に派遣させようかということは悩みどころで、参加したことで業務にどう活かせるのかと考えることもあると思います。そういう視点でいうと、新たな取り組みとして周知するということは価値のあることだと思いました。
小木曽さん:そうですね。今回の記事化も一つの社内へのアピールになればいいと思っています。取り組みの中身も大事なのですが、アプローチの仕方もしっかり社内外に伝えていけるといい変化があるのではと考えています。