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2024年1月9日展望を知る

欧州・日本におけるSDV進展へ向けて、カギは共通化と企業間連携

SDV(ソフトウエア・デファインド・ビークル)とは、ソフトウェアによって性能や機能を制御する電子機器化した自動車だ。車と外部との間の双方向通信機能を使って車を制御するソフトウェアを更新し、販売後も機能を増やしたり性能を高めたりできる。このSDV領域で、企業は「協調と競争」のバランスを模索している。協調領域としては、企業間データ連携がSDVの進展に不可欠であり、NTT DATAでは自動車産業と連携しながら広範なデータ基盤構築を支援している。
本記事では、NTT DATAで自動車のエンジニアリング領域担当者へのインタビューや、「Tokyo Systems Engineering Summit 2023(prostep ivip主催)」での各講演から、企業間データ連携の実現に関する各社の取り組みや、NTT DATAが描く展望に迫る。
目次

SDV進展に欠かせない企業間データ連携。カギは自前主義からの脱却

SDV(ソフトウエア・デファインド・ビークル)の領域では、企業間の「協調と競争」の勘案が重要になってくる。協調領域においては、完成車・部品メーカー同士はもちろん、銀行や保険会社、ITベンダーなど自動車産業以外の企業とデータ連携をどこまで進められるかが開発の要となる。NTT DATAでは、車両開発から充電モニタリングまで幅広い領域で企業のデータ基盤構築を支援しており、すでに多くの完成車メーカーとの実績を持つ。

12月8日に都内で開催された「Tokyo Systems Engineering Summit 2023(prostep ivip主催)」では、NTTデータドイツ法人で自動車のエンジニアリング領域を牽引するイェンツ・クルーガーが登壇し、SDVの現状を説明した。クルーガーによると、ソフトウェアの開発コストは2030年には車両全体の50%を占める見通しで「投資規模に限りがある中小規模の完成車、部品メーカーなどは一定規模、データの横連携が必要になる」と言う。

NTT DATA Deutschland SE
イェンツ・クルーガー

一方、日系企業は自前主義にこだわる企業が多いのが現状だ。マツダのR&D戦略企画本部兼MDI&IT本部技監で、デジタル開発のさまざまな規格策定に取り組むprostep ivip・ボードメンバーでもある足立智彦氏は「欧州はエンジニアリングサービスを提供する企業層に厚みがあり、ベンダーのサポートも強力だ。日本勢は協力してアプリケーション開発におけるフレームワーク(枠組み)の共通化を早々に進めるべきだろう」と提言する。

実際、自動車メーカーの中では、ミドルウェアにあたるビークルOS(基本ソフト)を自社開発する流れがあるが、膨大な開発コストがかかる割に差別化が難しいため、共通化していくのではとの見方が強い。
また、自動運転や車両通信の高度化が進めば、個々のシステムが連携して一つの大規模なシステムを構築するシステム・オブ・システムズ(SoS)の構成要素が強くなり、開発領域はチップ単位から高性能コンピュータ―(HPC)へ、電子制御ユニット(ECU)からクラウドへと移行していくことが見込まれる。ソフトウェアをハードから独立させて開発することが必須になる。

NTT DATAにおける自動車エンジニアリング領域の取り組み

NTT DATAでは、PLM/ALM全体のコンサルティングや導入支援を手掛けており、トヨタ自動車やホンダ、BMWなど主要完成車メーカーのシステム開発を担っているほか、ドイツOEMにおいて、プロセス・メソッド・ツール(PMT)やモデルベースシステムズエンジニアリング(MBSE)、車載ソフトウェア開発等エンジニアリング領域における支援をおこなった。また、シンガポールでは現地企業と組み、電気自動車(EV)用充電器のモニタリングサービスプラットフォームを構築。電力消費量や設備の位置情報、消費者行動などのKPIをリアルタイムで把握できる環境の構築支援を行っている。

NTTデータエンジニアリングシステムズ社長の東和久は、NTT DATAの最大の強みは「自動車産業だけでなく、金融や小売など他の産業との関わりも強く、橋渡し役を担えること。完成車メーカーや部品メーカーが持つデータの価値を最大化し、新しいサービスを一緒に生み出すパートナーになりたい」と今後の展望を語った。

※当記事は、日刊自動車新聞に掲載されました。

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