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1.AIで資料は作れる時代になった
生成AIの進化により、資料作成のあり方は大きく変わり始めています。
従来、営業担当者や企画担当者は、提案資料や報告資料を作成するために多くの時間を費やしてきました。情報を集め、構成を考え、文章を整え、図解を作り、PowerPointの体裁を調整する。こうした一連の作業は、ビジネスに不可欠である一方、担当者の時間を大きく圧迫してきました。
現在では、生成AIを活用することで、構成案の作成、文章の要約、見出し案の提示、図解アイデアの整理などを短時間で行えるようになっています。内容によっては、人がゼロから考えるよりも速く、一定水準以上のたたき台を作成できる場面も増えています。
では、生成AIが進化すれば、資料作成業務はなくなるのでしょうか。
実務の現場を見ると、答えは単純ではありません。AIは資料作成をなくすのではなく、資料作成におけるボトルネックを変えているからです。
2.資料作成は「制作作業」ではなく「意思決定の準備」である
資料作成という業務は、PowerPointを作る作業だけで成り立っているわけではありません。
実際には、資料作成の前後に多くの工程があります。顧客の課題を理解する。提案の論点を整理する。社内関係者と方向性を合わせる。必要な情報を確認する。相手に伝わる表現へ磨き込む。レビューを受けて修正する。こうした工程を経て、ようやくビジネスで使える資料になります。
つまり、資料は単なるアウトプットではありません。社内外の関係者が同じ認識を持ち、意思決定を前に進めるための「接点」です。
生成AIが得意なのは、たたき台の作成や情報整理です。一方で、実務上重要になるのは、そのたたき台が顧客や社内の文脈に合っているか、意思決定に耐えうる表現になっているか、最終的に誰が責任を持って使うのかという点です。
AIによって「作る」時間は短縮されても、「決める」「合わせる」「磨き込む」「責任を持つ」工程は残ります。
ここに、生成AI時代の資料作成業務を考えるうえでの重要な論点があります。
3.生成AIは資料作成をなくすのではなく、ボトルネックを変える
生成AI導入前の資料作成では、多くの場合、ボトルネックは制作作業にありました。
スライドのレイアウトを整える。図表を作る。文字量を調整する。デザインの統一感を出す。こうした作業に時間がかかり、本来注力すべき提案内容の検討や顧客対応に十分な時間を割けないという課題がありました。
しかし、生成AIによって資料のたたき台作成が高速化すると、ボトルネックは変わります。
次に問われるのは、何を伝えるべきか、誰にどの順番で説明すべきか、どの情報を強調すべきか、どの表現なら関係者が納得できるか、という判断です。
資料作成の中心は、「作ること」から「決めること」へ移っていきます。
これは、働き方改革において大きな意味を持ちます。業務効率化の本質は、単に作業時間を短縮することではありません。短縮された時間を、人が本来向き合うべき判断や対話に振り向けられるかどうかです。
AIで資料は作れる。だからこそ、人は何に向き合うべきか。
この問いが、生成AI時代の業務改革の出発点になります。
4.NTTデータルウィーブが実践した資料作成業務の見直し
NTTデータルウィーブ株式会社では、営業活動や企画業務の中で発生する資料作成に多くの時間がかかっていました。
特に負担となっていたのは、PowerPointの体裁調整やデザイン、トーン&マナーの統一といった作業です。これらは提案品質を高めるうえで重要である一方、営業担当者や企画担当者が本来担うべき顧客対応、提案内容の検討、関係者との調整とは性質が異なる業務でした。
同社では、資料作成業務の一部を外部専門人材へ委ねることで、営業担当者や企画担当者がより本質的な業務に集中できる環境づくりを進めました。
重要なのは、単にアウトソーシングしたことではありません。
資料作成業務を3つの工程に分け、どの工程を人が担い、どの工程をAIで支援し、どの工程を外部専門人材に委ねるかを見直した点です。
営業担当者は、顧客課題の理解、提案内容の検討、社内外の関係者との調整に注力する。生成AIは、構成案や文章整理、アイデア出しの支援に活用する。外部専門人材は、社内ガイドラインに基づき、資料として伝わる形への整形、デザインを担う。
人・AI・外部専門人材の役割分担を明確にしつつ、最終責任は社内担当者が持つ。このように、資料作成を一つの作業として捉えるのではなく、複数の工程に分解して再配置することで、業務全体の生産性を高める取り組みが進められました。
5.現場で起きた変化は、工数削減だけではなかった
NTTデータルウィーブで起きた変化は、単なる資料作成時間の短縮にとどまりません。
まず、営業担当者が提案内容の検討に時間を充てやすくなりました。これまで体裁調整に取られていた時間を、顧客に何を伝えるか、どのような順序で説明するか、提案の中身をどう磨くかに振り向けられるようになったのです。
次に、レビューにおいても、体裁面より提案内容そのものに関する議論へ時間を割きやすくなりました。
これは、資料作成業務の見直しが、単なる作業効率化ではなく、意思決定に必要な議論の質を高めたことを示しています。
さらに、業務負荷の軽減にもつながりました。資料作成に必要な工程を適切に切り出し、一部を専門人材に委ねられる状態へ変わることで、担当者が本来業務に集中しやすい環境づくりにつながりました。
この事例から見えてくるのは、資料作成業務の改革は「資料を早く作る」ためだけのものではないということです。
人がより付加価値の高い検討に時間を使えるようにし、組織としてより質の高い意思決定を支えるための業務設計でもあるのです。
6.現場が使い続けられる運用を設計する
業務改革は、役割分担を設計するだけでは定着しません。現場が実際に使い続けられる運用まで設計して、初めて組織に根付きます。
NTTデータルウィーブでは、現場に無理なく定着することを重視し、まずは管理職や推進担当者が利用の流れを理解し、必要に応じて代理で依頼を出すなど、現場が最初の一歩を踏み出しやすい形をつくりました。現在は、現場の状況に合わせながら段階的に活用範囲を広げています。
また、小さな案件から試して効果を実感してもらうことで、利用者自身が「これは使える」と判断できる状態をつくった点も重要です。新しい仕組みは、制度として導入するだけでは現場に根付きません。現場が使い方を理解し、効果を体感し、自分の業務に取り入れられると感じて初めて、継続利用につながります。
この実践から得られる示唆は、生成AIや外部リソースを活用した業務改革にも共通します。
重要なのは、ツールやサービスを用意することだけではありません。現場が試しやすく、使い続けやすい運用を設計することです。
業務改革は、設計図だけでは動きません。現場の最初の一歩まで設計することが、組織に定着させるうえでの鍵になります。
7.生成AI時代に、人は何に向き合うべきか
生成AIが進化するほど、人の役割は不要になるのでしょうか。
むしろ、ビジネス現場では人の役割がより明確になります。AIがたたき台を作れるようになることで、人はより上流の判断や、最終的な責任を伴う業務に向き合う必要が出てくるからです。
資料作成における人の役割は、PowerPointを操作することだけではありません。
顧客の真の課題を捉えること。提案の論点を見極めること。関係者が納得できるストーリーを作ること。AIの出力を鵜呑みにせず、文脈や事実に照らして確認すること。最終的に、組織として伝えるべきメッセージを決めること。
これらは、生成AIが支援できる領域ではあります。しかし、最終的には人が責任を持つべき領域です。
生成AI時代に重要なのは、人が資料作成から離れることではありません。人が向き合うべき工程を見極め、そこに集中できるように業務を再設計することです。
AIで資料は作れる時代になりました。だからこそ、人は何に向き合うべきなのか。その問いに向き合うことが、生成AI時代の業務改革の第一歩になるのではないでしょうか。
NTTデータルウィーブ株式会社


NTTデータ資料作成代行サービス紹介ページについてはこちら:
https://ebn.nttdata.com/lp/mms/
AIとBPOを組み合わせた資料作成支援モデルに関するトピックスページについてはこちら:
https://www.nttdata.com/global/ja/news/topics/2026/033102/