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2026.9.25事例

なぜCX改善は進まない?「分かってもできない」の突破術

「次はどんな施策をやろうか」。サービスの改善会議で、そんな会話を繰り返していないだろうか。施策は進んでいるのに、成果は思うように伸びない。背景には、顧客・体験・KPI・施策・効果検証の「分断」と、必要性は分かっていても現場で実践しきれない難しさがある。本記事では、CX改善が現場で止まる理由をひもとき、改善を成果につなげるための実践的なアプローチを、支援事例とともに紹介する。
目次

1.施策を重ねても、なぜ成果が出ないのか

「次は、どんな施策をやりましょうか」会員サイトやアプリの改善会議で、こんな会話を繰り返していないでしょうか。新機能を追加し、画面も見直した。それでも利用が定着せず、また次の施策を考える。そんなとき、見直したいのは施策の数だけではありません。私たちも支援の現場で、改善の必要性や進め方は理解されていても、実際の運用につながりきらない難しさを感じています。

「誰の課題を解決するのか」「実施後に何を確かめるのか」。こうした検討が、日々の施策推進と切り離されていないでしょうか。顧客体験(CX)の改善で重要なのは、「方法を知っているか」だけでなく、「実務で回せる状態になっているか」という点です。まずは、CX改善がうまく進まないとき、会議や日々の業務にどのような兆候が表れるのかを見ていきましょう。

2.会議や資料に表れる「3つの分断」

施策も動き、数字も確認している。それでもCX改善が思うように進まない場合、次のような状況が起きていないでしょうか。

図1:顧客課題を見つめる三つの場面

  • (1)施策一覧は埋まっている。でも、誰のための施策かが見えない
    施策一覧には機能名や担当者、リリース日が並んでいます。一方で、「誰のどんな困りごとを解決するのか」は書かれていない。ここにあるのが、「顧客と施策の分断」です。
  • (2)数字は追えている。でも、顧客のつまずきが分からない
    会員数や利用率などのKPIは確認しています。それでも、どの顧客がどこで困っているのかは分からない。数値と顧客の行動や声が結び付いていない状態が、「顧客体験とKPIの分断」です。
  • (3)結果は報告している。でも、次に何を変えるかが決まらない
    施策の結果をレポートにまとめても、次の改善を決めるところまで議論が進まない。検証で得た学びが次の施策選びに生かされない状態が、「検証と改善の分断」です。

ただし、こうした分断に気づくだけでは、日々の仕事の進め方は変わりません。なぜ、必要だと分かっていても、顧客、KPI、施策、効果検証を一連の改善プロセスとして扱うことが難しいのでしょうか。

3.分かっていても、現場では動けない理由

改善の進め方は分かっている。それでも、目の前の施策を進めることで手いっぱいになる。このように、必要性を理解することと、日々の業務で実践することの間には、隔たりがあります。

例えば、施策推進とデータ管理・分析を、別々のチームが担う場合を考えてみます。施策側はリリース対応に追われ、事業目標やKPIとの関係を振り返る余裕がない。一方、分析側には施策の狙いが十分に伝わらず、何を確かめれば改善に役立つのかが見えにくい。この状態では、それぞれが担当業務を進めても、情報を持ち寄って次の改善を決めるところまで進めることができません。

必要なのは、担当者にさらに努力を求めるのではなく、「誰の課題を解決するのか」「何を測るのか」「誰と次の打ち手を決めるのか」について、関係者間で共通認識を持つことです。ただ、日々の業務と並行してその調整を担うのは、簡単ではありません。CX改善には、施策やデータを個別に扱うだけでなく、部門を越えて判断・実行できる仕組みが必要です。

4.顧客を共通の軸に、改善のプロセスを整える

部門を越えて改善を進めるには、「誰の課題を解決するか」と「どの事業成果をめざすか」について、関係者間で共通認識を持つことが出発点です。顧客体験を起点に戦略や業務、評価の仕組みを見直し、顧客と企業双方の成功をめざす。この考え方が「CXマネジメント」です。実務では、次の4つの活動を一連のプロセスとして進めます。

図2:体験を捉える循環ワークフロー

顧客がどこでつまずくのかを整理し、数字や顧客の声で確かめます。その結果から課題の仮説を立て、施策の優先順位を見直していきます。ただし、体験を図にしたり、指標を決めたりするだけでは十分ではありません。誰が結果を確認し、どのような体制で次の改善を決めるのか、という運用の仕組みまで整えることが必要です。
こうした仕組みを、実際の支援でどのように整えたのか。次章では、具体的な事例を紹介します。

5.施策を選ぶための「共通の判断軸」をつくる

ある通信事業者様のビジネスユーザー向けマイページでは、会員数や契約登録率などのKPI達成に向け、複数の施策から優先すべきものを明確にする必要がありました。課題は、各施策の対象顧客や、顧客体験の中での位置付け、KPIとの関係が十分に整理されていなかったことです。そのため、複数の施策のうち、何を優先して具体化し、開発へつなげるかを判断しにくい状態でした。

また、戦略やKPIを踏まえて施策を考え、実施後に検証する必要性は理解されていたものの、実際の運用に落とし込みきれていないという課題もありました。

そこで、私たちは顧客の状態ごとに体験シナリオの候補を整理し、既存施策を照らし合わせました。「誰の、どの課題に対して、どのような体験を提供するか」を確認し、顧客にとっての価値、KPIとの関係、実現性の観点から、施策の優先順位を整理しました。

ここで重視したのは、施策を一覧化するだけではなく、関係者がどの施策を優先するかを判断できる材料を整えることです。

図3:施策管理から優先順位整理へ

さらに、優先施策は利用シナリオや画面、導線の案まで具体化しました。改善の方向性を示すだけで終わらせず、開発を検討できる形へ落とし込むとともに、月次レポートや効果検証の観点も設計しました。

この取り組みにより、優先して具体化すべき施策を明確にしました。また、企画、体験設計、開発、運用の関係者が、同じ前提で議論しやすい設計資料を整えました。これにより、関係者が継続的な改善を検討するための土台を作ったのです。

この事例が示すように、CX改善の支援は、方法論や新しい施策を提示するだけでは十分ではありません。顧客理解とKPIを、施策選びや開発の検討に反映し、関係者が共通の材料をもとに判断できるようにすることも重要です。

6.CX改善を、現場で回せる仕組みに

CX改善で重要なのは、正しい方法を知ることだけではありません。顧客の状態やKPIを踏まえて施策を検討し、その効果を検証したうえで次の改善に反映する。こうした一連のプロセスを、関係者が共通認識を持ちながら継続的に実践できる仕組みが必要です。

しかし、日々の業務を進めながら、部門を越えて情報を整理し、改善の進め方そのものを見直すのは簡単ではありません。

私たちTangityは、生活者視点を起点にビジネス価値を最大化する「サービスデザイン」のアプローチを活用し、顧客理解から施策の具体化、開発、効果検証の仕組みづくりまでを支援しています。さらに、NTT DATAのビジネス・テクノロジー・データ活用の知見も組み合わせ、構想だけで終わらせず、実装・運用・その後の改善まで一貫して支援しています。

例えば、

  • 施策は動いているが、成果とのつながりを説明しにくい
  • 顧客体験とKPIをどう結び付ければよいか分からない
  • 改善の必要性は分かっているが、日々の運用に定着しない

といった課題がある場合は、まずは「改善プロセスのどこに分断が生じているのか」を明らかにすることが、CX改善を進めるための第一歩です。CX改善やサービスデザインに関する課題をお持ちの方は、ぜひご相談ください。

事業価値創出に関するデザインサービスの詳細はこちら:
https://www.nttdata.com/jp/ja/lineup/service-and-experience-design/

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