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2026.8.31技術トレンド/展望

AI駆動開発が変える開発プロセス

生成AIやAIエージェントの進化により、システム開発の進め方は大きく変わりつつある。従来は人が中心となって業務課題の整理、要件定義、設計、実装、検証、修正を担ってきたが、AI駆動開発ではAIが設計・実装・検証・修正に関わる作業を支援し、人は要件や設計に関する判断、レビュー、品質確認に集中できる。一方で、AIを開発プロセスに組み込むには、設計意図や制約、過去の指摘・修正パターン、判断理由・確認結果を継続的に蓄積することが重要である。本稿では、AI駆動開発を前提とした開発プロセスと、開発・検証ループの進め方を紹介する。
目次

1.AI駆動開発が開発の進め方を変える

生成AIやAIエージェントの進化により、システム開発の進め方は大きく変わり始めています。従来は、人が業務課題の整理から要件定義、設計、実装、検証、修正までを担っていたため、アイデアや要件を実際に動くものとして確認するまでに時間がかかっていました。そのため、要件定義では文章や口頭説明を中心に完成イメージを共有する必要があり、メンバー間の認識合わせや作業調整にも負荷が生じていました。

一方、AI駆動開発では、AIが設計・実装・検証・修正を支援し、人は要件や設計に関する判断、レビュー、品質確認に集中できます。モックを短時間で作成することで、具体的な成果物を見ながら要件を確認できるため、認識のずれも早期に発見可能です。また、AIが実装や修正を支援するため、少人数でも短いサイクルで開発・検証を進められます。

システム開発では、初期段階から完成度を追求するよりも、構想を早期に具体化し、利用価値や技術的な実現性を確認しながら改善することが重要です。AI駆動開発の本質は、作業の効率化だけでなく、成果物を早期に提示し、人の判断と改善のサイクルを高速化する点にあります。

図1:AI駆動開発による開発プロセスの変化

2.AI駆動開発の全体プロセス

本稿では、AI駆動開発を「(1)企画・構想」「(2)要件定義」「(3)開発・検証ループ」「(4)評価・報告」の流れで整理しています。

図2:AI駆動開発の全体プロセス

(1)企画・構想では、目的、業務課題、スコープ、成功基準を明確にします。AIは構想整理、アイデア出し、モック作成に活用し、人は目的や成功基準の判断に集中します。

(2)要件定義では、モックなどの具体的な成果物をもとに関係者と認識を合わせ、必要な機能や要件を具体化します。また、AIを活用することで、論点整理や要件定義書への反映も迅速に進められます。

(3)開発・検証ループでは、プロトタイプや初期機能を実装し、実際の利用感や検証結果を踏まえて改善を繰り返します。AIを活用することで、初期実装や修正案の反映を効率化し、人はレビューや改善方針の判断に集中できます。

最後に、(4)評価・報告では、検証結果を整理し、目的の達成状況、残課題、追加検証の必要性、本格導入に向けた論点を明確にします。

3.AI駆動開発で重要となる開発・検証ループ

AI駆動開発では、開発と検証を繰り返すループが重要です。AIを活用すれば、初版実装や機能改善を短時間で進められます。一方、個別に指示するだけでは、更新された設計意図や制約、過去のレビュー結果が引き継がれず、手戻りが発生する可能性があります。

図3:AI開発指示ファイルを活用した開発・検証ループ

そのため、AIが参照すべき設計意図、開発ルール、過去の課題、対応履歴などを「AI開発指示ファイル」として整理し、開発・検証の過程で継続的に更新することを重視しています。必要な情報の種類や粒度は開発対象によって異なるため、固定的なテンプレートではなく、プロジェクトに応じて構成する仕組みとして位置づけています。

従来の設計書は、主に人がシステムの仕様や構成を理解し、関係者間で共有することを目的としています。これに対し、AI開発指示ファイルは、設計書に加えて、開発ルール、過去の指摘・修正内容、判断理由、確認結果などを一連のファイル群として整理し、人とAIの双方が参照することを前提としています。AIが後続の実装や修正で参照する情報も含め、人とAIが共通の前提に基づいて作業できる点が特徴です。

AI開発指示ファイルは、主に以下のファイル群で構成されます。

  • 設計書:システムの全体像、設計意図、最新仕様を共有
  • 開発ルール:編集禁止範囲や命名規則、セキュリティ上の制約、レビュー観点を明確化
  • 開発ナレッジリスト:過去のミスや指摘事項、注意点、再発防止策を蓄積
  • 課題管理表:課題、対応状況、残課題、人による判断が必要な事項を共有
  • タスク履歴:実施内容、変更理由、確認結果、次の作業への申し送りを記録

これらを継続的に更新・再利用することで、AIはプロジェクト固有の前提を踏まえて作業しやすくなります。その結果、手戻りや確認工数の削減、成果物の標準化、品質ばらつきの抑制につながります。

図4:ナレッジ蓄積による成果物品質向上の考え方

4.NTTデータにおけるAI駆動開発の実践知

NTTデータでは、AIエージェントを要件定義から開発・検証まで活用しました。ここでは、実際に直面した課題と工夫を紹介します。

要件定義では、文章だけでは関係者間で完成イメージにずれが生じやすいため、AIエージェントを活用して複数パターンのモックを短期間で作成しました。具体的な画面や動作を見ながら、お客さまとの認識合わせ、要件のブラッシュアップ、社内の議論点整理を進めています。

また、従来は設計・実装・検証を複数のメンバーで分担するため、認識合わせや作業調整に時間を要していました。開発・検証では、リーダーが要件の前提や確認観点を整理し、AIが初期実装や修正を支援することで、少人数でも短いサイクルで開発・検証を進められました。

一方、レビューで指摘した内容が次の作業に十分に引き継がれず、同じ修正が繰り返されることもありました。そこで、指摘内容、修正理由、注意点、確認結果を、開発ナレッジリストやタスク履歴に蓄積し、次の開発・修正時にAIが参照できるようにしています。

こうした取り組みを通じて、AIによる実装や修正の高速化だけでは、成果物の品質を安定して高めるには十分でないことが分かりました。AI駆動開発では、個々の作業を速めるだけでなく、開発の各段階で得られた知見を蓄積し、後続の作業へ確実に引き継ぐ仕組みを整えることが、開発速度と品質を両立する上で重要であると考えています。

5.AI駆動開発に興味がある方へ

AI駆動開発は、単なる開発作業の効率化にとどまらず、ビジネス課題に対する解決策を短いサイクルで具体化し、お客さま価値や実現性を早期に確認するための有効なアプローチです。

NTTデータのAI事業本部では、生成AIやAIエージェントを活用し、お客さまのビジネス課題解決や開発プロセスの高度化を支援する取り組みを進めています。「生成AIを導入したものの、思うようにビジネス成果に結びつかない」「AIエージェントを活用した開発の進め方を検討したい」といったお悩みをお持ちの方や、本稿の内容にご興味をお持ちの方は、NTTデータにご相談ください。

記事の内容に関するご依頼やご相談は、こちらからお問い合わせください。

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