第1章:技術力を礎に、新たな価値を創造する
1887年の創業以来、長谷虎紡績株式会社は、140年近くにわたり培ってきた繊維技術と商品開発力を強みに、時代とともに変化する市場やお客様のニーズに応えながら、多様な素材を生み出してきました。品質や機能の向上はもちろん、社会課題の変化をいち早く捉え、新たな価値を持つ素材を開発し続けてきたことが、当社のものづくりの原点です。
当社は、「素材で世界を変える」という理念のもと、ものづくりを通じて社会課題の解決に貢献することを重要な使命と捉えています。経済的価値だけでなく、環境価値・社会価値も同時に創出することを目指し、サステナビリティを経営の中核に位置付けています。
これまでにも、防災・安全性へのニーズに応える難燃素材や高機能素材の開発など、社会や産業の変化に応じて新たな価値を持つ製品を生み出してきました。市場や社会が変化する中でも、自社の強みである技術力と商品開発力を生かし、新たな価値を創造し続けています。
近年では、環境への配慮が企業活動における重要なテーマとなる中、従来培ってきた技術を生かしながら、環境価値を持つ素材や製品の開発へと取り組みを広げています。
長年培ってきた技術力を時代の変化に合わせて進化させ、新たな価値を創出し続けることで、持続可能なものづくりを推進しています。
第2章:繊維産業の変化を、新たな成長機会へ
長谷虎紡績は、世界的な脱炭素化や循環型社会への移行という繊維産業を取り巻く大きな変化を、新たな成長機会と捉えています。品質や機能、価格に加え、環境への配慮も製品価値の一つとして評価される時代となり、市場環境は大きく変化しています。当社では、この変化を捉え、長年培ってきた技術力を生かしながら、環境価値を高めるものづくりを進めています。
その中核となる取り組みが「3080プロジェクト」です。当社では、「3080プロジェクト」を中長期の重要目標として位置付けています。2030年までに環境配慮素材の使用率80%を目指し、その採用を計画的に拡大することで、 お客様へ新たな価値を提供するとともに、持続可能なものづくりと企業価値の向上につなげています。
3080プロジェクトに加え、Spiber株式会社との協業によるBrewed Protein™(※1)を活用した次世代素材の開発やリサイクル素材の活用にも取り組んでいます。新素材の実用化では、大学や研究機関、素材メーカーなどとの共創を重視しています。一方で、品質や耐久性、加工性、安定供給、コスト競争力など、実用化に向けた課題も多くあります。そのため、試作・評価・量産検証を繰り返しながら継続的な改善に取り組んでいます。さらに、「ネイチャーポジティブ」な地域経済モデルの構築を目指し、工場排水を地域の生態系再生に活用する実証プロジェクトを、大学や研究機関、地域団体などと連携しながら進めています。また、DXやIoTを活用した製造現場の高度化にも取り組み、生産性向上と環境負荷低減の両立を図っています。
当社は、環境価値をさらに高めていくためには、素材メーカーや取引先企業、業界団体など、多様なステークホルダーとの共創が欠かせないと考えています。それぞれが持つ技術や知見を掛け合わせることで、新しい素材や技術の社会実装を進め、環境価値のさらなる向上につなげています。こうした共創を継続的に発展させるには、それぞれの取り組みを客観的に把握し、成果を共有しながら改善につなげる視点も重要になります。
第3章:共創による価値創出を支える、環境データの活用
長谷虎紡績は、環境価値を高めるさまざまな取り組みを継続的に推進するためには、その成果を適切に把握し、次の取り組みへ生かすことが重要だと考えています。環境配慮素材の採用拡大や新素材の開発、DXの推進など、それぞれの取り組みを継続的に改善していくためには、環境データを経営に生かす視点が求められます。
一方で当社では、GHG排出量の可視化に取り組む以前、エネルギー使用量やGHG排出量に関するデータが電気・ガス・燃料など複数の帳票や部署に分散し、全社的な排出量を迅速かつ正確に把握することが難しい状況にありました。環境への取り組みの成果を継続的な改善へとつなげるためには、それらを客観的なデータとして一元的に蓄積・管理する仕組みが必要でした。
また、サプライチェーン全体で環境負荷を把握し、企業間で環境データを共有・活用する動きも広がりつつあります。取引先や物流を含むScope3のデータは、収集する範囲が広く、算定基準をそろえることやデータの精度を確保することが難しいため、当社にとって重要な課題となっていました。
さらに、当社が重視する共創を発展させるうえでも、環境データは大きな役割を担います。素材メーカーや取引先企業、業界団体など、多様なステークホルダーが共通の指標を持ちながら取り組みを進めることで、成果や課題を共有しやすくなり、新たな価値創出にもつながります。こうした背景から、環境データを情報開示のためだけでなく、商品開発や経営判断、さらには多様なステークホルダーとの共創を支える経営資源として位置付けています。
第4章:環境データの一元管理を起点に、Scope1・2・3の可視化へ
長谷虎紡績では、環境価値を継続的な競争力へつなげるためには、分散していた環境データを一元的に蓄積・活用できる基盤が欠かせないと考えていました。環境配慮素材の開発や3080プロジェクトなどの成果を継続的に把握し、商品開発や経営へ反映していくうえでも、データを統合的に管理できる環境が求められます。
こうした中、ジャパンサステナブルファッションアライアンス(JSFA)の勉強会を通じて、GHG排出量可視化プラットフォームC-Turtleを知りました。中堅製造業でも無理なく継続できる実用性と、サプライチェーン全体を見据えた拡張性を兼ね備え、環境データを経営判断に生かせる仕組みが整っている点が、当社の目指す方向性と一致していたことから、導入を決定しました。操作性が分かりやすく、各事業所で継続的に運用できることや、制度改正や算定基準の変更にも柔軟に対応できることも、決め手となりました。
現在は、Scope1・2に加え、取引先や物流を含むScope3についてもデータの収集・管理に着手しています。これまで複数の帳票や部署に分散していたデータを一つの基盤に集約することで、全社的な排出量を継続的に、かつ正確に把握できる状態へと近づきつつあります。
第5章:データを活用し、共創によるものづくりをさらに進化
長谷虎紡績は、環境データをGHG排出量の算定や情報開示のためだけでなく、持続可能なものづくりを支える経営資源として位置づけています。今後は、C-Turtleを通じて蓄積されるデータを生かしながら、3080プロジェクトの達成に向けたKPI管理やGHG削減施策の効果検証にも活用範囲を広げ、その成果を商品開発や事業活動へ反映していきます。
あわせて、素材メーカーや取引先企業、業界団体など、多様なステークホルダーと共通の指標を持ちながら環境価値を高めることで、新たな素材や製品の開発にもつなげ、共創による価値創出をさらに広げたいと考えています。生産現場で進めるDXやIoTとの連携も深め、生産性の向上と環境負荷の低減を両立させながら、環境への取り組みを継続的に改善していきます。
当社は、長年培ってきた技術力と商品開発力に環境価値、そしてデータを掛け合わせることで、新たな競争力を生み出し、多様なステークホルダーとの共創を通じた「知識製造イノベーションハブ」の実現を目指しています。その取り組みを通じて持続可能なものづくりを進め、繊維産業の新たな価値創造に貢献していきます。
企業紹介
長谷虎紡績株式会社
長谷虎紡績は、1887年創業の繊維メーカーです。紡績糸の製造とカーペットの製造を事業の二本柱とし、紡績糸ではスポーツアパレルを中心に、衣服に機能性を付加する高機能素材の開発・製造に注力しています。H3ロケットをはじめとする国産ロケットにも使用されている「燃えない繊維」も当社の製品です。また、当社は日本初のカーペット国産化に成功した企業として、自動車、航空機、高級ホテル、シネコン、アミューズメント施設など、さまざまな空間を彩り、快適性や安全性などの機能を提供してきました。140年近い歴史を持つ老舗企業でありながら、新しい素材や事業を多様なパートナーとの共創により生み出し、新たな価値を創造する「知識製造イノベーションハブ」を目指しています。
【C-Turtle®】の概要資料は、こちらからダウンロードください。


https://www.nttdata.com/jp/ja/lineup/c-turtle/