第1章:欧州企業からの要請を、競争力へ変える
ダイナックスは、自動車サプライチェーンを支える部品メーカーとして、国内外の自動車メーカーや自動車部品メーカーへ製品を供給しています。近年、自動車業界では電動化をはじめとする大きな変革が進む中、品質やコストに加え、製造段階におけるGHG排出量の把握や削減への取り組みも重要な評価項目となっています。特に自動車サプライチェーンでは、自動車メーカーから部品メーカーまで、サプライチェーン全体で環境情報の開示や排出量削減への対応が求められており、その要請は年々高まっています。欧州企業との取引が多い当社にとっても、こうした動きへの対応は避けて通れない経営課題となっています。
こうした事業環境の変化を受け、当社ではカーボンニュートラルへの対応を重要な経営課題として位置付けました。2022年にはカーボンニュートラル推進部を発足し、それ以前から進めていた活動を全社的な取り組みへと発展させています。太陽光発電の導入などを積極的に進め、北海道内でも先進的な取り組みとして評価を受けるなど、着実に実績を積み重ねてきました。
当社にとって脱炭素への取り組みは、自動車サプライチェーンの一員として、欧州企業をはじめとする取引先との取引を継続し、グローバル市場で選ばれ続けるための重要な競争力です。品質やコストに加え、環境対応も企業価値を左右する時代だからこそ、2050年カーボンニュートラルの実現を見据えながら、より高い水準を求める取引先の期待に応えられる体制づくりを進めています。
こうした取り組みを進める中で、当社は省エネ・創エネ・再エネを組み合わせた削減施策を着実に積み重ねてきました。そして次のステージとして取り組んだのが、専門部署だけに依存せず、排出量管理を全社で推進していくための仕組みづくりでした。
第2章:削減施策を積み重ね、データ活用のステージへ
カーボンニュートラル推進部の発足以降、ダイナックスでは排出量の可視化と並行して、削減に向けた具体的な施策を着実に進めてきました。北海道の工場では、既存の土地や工場の屋根、従業員駐車場などを活用した太陽光発電設備を導入し、地域への影響にも配慮しながら再生可能エネルギーの活用を推進しています。こうした取り組みは、北海道内でも先進的な事例として評価されています。
また、電力に加え、ガス使用量の削減にも取り組んでいます。蒸気ボイラーをバイオマスボイラーへ置き換えることで、製造工程で使用するガスの削減を進めるとともに、新たな工場への導入も進行しています。将来的にはアンモニアや水素などの次世代エネルギーの活用も視野に入れながら、段階的に脱炭素を進める計画です。
こうした削減施策を積み重ねる中で、当社では「どれだけ削減できたのか」を継続的に把握し、その結果を次の施策へ生かしていくことの重要性を実感するようになりました。施策ごとの効果を客観的に把握し、国内外の拠点を含めて継続的に管理していくためには、排出量を算定するだけでなく、データを一元的に管理・活用できる仕組みが必要だったのです。
さらに今後は、自社だけでなくScope3への対応も視野に入れています。サプライチェーン全体での排出量管理が求められる中、調達先を含めたデータの把握や削減活動へ取り組むためにも、脱炭素を支える仕組みそのものを高度化していくことが次の課題となりました。
第3章:排出量管理を、専門部署から全社の取り組みへ
ダイナックスでは、排出量算定そのものに大きな課題があったわけではありません。カーボンニュートラル推進部にはエネルギー管理士の資格を持つ社員が在籍しており、Excelを用いた排出量算定や管理を行える体制が整っていました。社内のエネルギーデータも整理されており、排出量の把握や開示対応は専門部署が中心となって進めていました。
一方で、Scope3への対応やサプライチェーン全体へ取り組みを広げていくことを考えると、新たな課題が見えてきました。それは、排出量管理が専門部署に依存した運用になっていたことです。調達、人事総務、物流など、それぞれの部門が保有するデータを活用するためには、専門部署がすべての情報を集約・入力する運用では限界があります。脱炭素を会社全体の取り組みとして定着させるためには、各部署が自ら必要なデータを入力し、必要な情報を共有できる仕組みが求められていました。
こうした課題を解決するために導入したのが、GHG排出量可視化プラットフォームC-Turtleです。当社では複数のツールを比較検討しましたが、海外拠点を含めた管理のしやすさや、Scope3算定への対応、さらに総排出量配分方式(※1)による算定などを総合的に評価し、C-Turtleを採用しました。
当社が目指したのは、排出量算定を専門部署だけの業務にしないことです。誰もが必要なデータを入力し、排出量を確認しながら改善につなげられる環境を整えることで、脱炭素への取り組みを全社へ広げていく。そのための基盤として、C-Turtleを活用しています。
第4章:全社と海外拠点をつなぐ排出量管理基盤へ
C-Turtleの導入により、ダイナックスでは排出量管理を全社へ広げるための基盤づくりが進んでいます。
従来のExcelによる運用では、年度ごとにファイルを管理し、排出量データを担当者が集約していました。そのため、データの確認や過去実績との比較、複数拠点の状況把握には一定の手間がかかっていました。また、専門部署が各部門から情報を受け取り、再度入力する運用となるため、業務が一部の担当者へ集中することも課題でした。
C-Turtleは、国内外の拠点をツリー構造で管理できるため、組織全体の排出量を一元的に把握しやすくなりました。年度ごとのデータも継続的に蓄積されることで、過去との比較や推移の確認も容易になり、排出量の変化をより実態に即して捉えられるようになっています。クラウドサービスであることから、関係者が必要な情報へアクセスしやすい環境も整いました。
さらに今後は、調達、人事総務、物流など、各部門が保有するデータをそれぞれの担当部署で入力できる体制づくりを進めています。専門部署が情報を集約して入力する運用から、各部門が自らデータを管理し、必要な情報を共有する運用へ移行することで、排出量管理をより効率的かつ継続的なものにしていきたいと考えています。
当社にとってC-Turtleは、排出量を算定するためのツールではなく、国内外の拠点や各部門をつなぎ、自動車サプライチェーンで求められる環境データを継続的に管理・活用するための共通基盤です。専門部署が中心となって取り組んできた排出量管理を会社全体へ広げることで、継続的な改善につながる運用を目指しています。
第5章:データを、脱炭素経営の力へ
ダイナックスでは、今後さらにScope3への対応を高度化し、サプライチェーン全体での脱炭素への取り組みを推進していきます。既に多くの取引先では排出量の把握や削減目標の設定が進んでいますが、一部では体制整備がこれからという企業もあります。当社では、調達部門とも連携しながら、サプライヤとともに排出量削減を進める体制づくりを段階的に進めています。
また、国内外の拠点を含めた排出量管理の高度化も進めています。Scope3の算定範囲を広げるとともに、省エネ・創エネ・再エネを組み合わせた総合的な脱炭素戦略を推進し、より実効性の高い取り組みへ発展させていく考えです。
当社では、排出量データを単なる開示のための数値としてではなく、改善につなげるための重要な経営資源と位置付けています。施策によってどれだけ改善したのかを継続的に把握し、その結果を次の施策へ反映することで、データに基づいた脱炭素経営を推進しています。環境負荷の低減と持続可能なものづくりの両立を図りながら、企業価値の向上にもつなげていきます。
北海道で積み重ねてきた先進的な削減施策を土台に、欧州企業から求められる環境水準へ応えながら、自社だけでなくサプライヤとともに脱炭素へ取り組み、自動車サプライチェーン全体の競争力向上につなげていくこと。それが、当社が目指す持続可能なものづくりの姿です。
企業紹介
株式会社ダイナックス
ダイナックスは、『未来を今に』という企業スピリットをベースにチャレンジ精神を発揮して、お客様に満足して頂ける商品を開発・生産・販売し、『オンリーワン』の価値を創造して、皆様に感動して頂ける事を喜びとする、自動車・建設機械・農業機械等の駆動系部品専門メーカーです。
電動化製品や摩擦制御技術を強みとした製品と市場の開発に積極的に 挑戦することで環境変化に強い経営基盤を実現し、お客様、従業員、 地域社会の皆様から信頼され、愛される企業を目指して参ります。
【C-Turtle®】の概要資料は、こちらからダウンロードください。


https://www.nttdata.com/jp/ja/lineup/c-turtle/