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2026.7.30

京王電鉄株式会社
沿線価値を高める資源循環へ

――京王電鉄・CBA・NTTデータが語る、データ活用と共創のこれから

京王グループは、鉄道事業をはじめとして不動産業やホテル業など、さまざまな事業活動を通じて沿線のまちづくりに取り組むとともに、沿線での幸せな暮らしを実現することで、持続可能な社会の実現に貢献し、長期的な企業価値向上を目指しています。
「環境にやさしく」という京王グループのマテリアリティ側面では、カーボンニュートラルの実現、資源循環、自然共生社会という観点で取り組みを進めており、実務面ではScope3の開示や、Scope3のカテゴリ5算定とも関連する廃棄物管理(マニフェストの電子化とデータ集計)が課題となっていました。それぞれシステム化を検討する中で、GHG排出量可視化プラットフォームC-Turtleを提供するNTTデータと、廃棄物管理システムCBA wellfestを展開するCBAが連携していくことを知り、Scope3カテゴリ5算定と廃棄物管理を一体的に運用できる環境の実現を共に目指したといいます。
本記事では、京王電鉄・CBA・NTTデータの3社が、それぞれの立場から取り組みの背景や連携によって生まれた価値、そして資源循環の実現に向けた今後の展望について語ります。
目次

第1章:沿線力の向上を支える、京王グループのサステナビリティ経営

京王グループでは、公共交通事業者として安全・安心な輸送サービスを提供することはもちろん、環境負荷の低い鉄道という移動手段の提供や、沿線の暮らしを支えるグループ事業を通じて沿線のまちづくりを進めてきました。近年、情報開示の重要性が高まる中で、鉄道事業を中心にさまざまな事業を展開するという私鉄業界のビジネスモデルを「サステナビリティ」という視点で改めて整理し、長期的なまちづくりを行う中で、沿線の持続可能性と企業価値の両面を向上させる事を、サステナビリティ経営を位置付けています。
現在の中期経営計画では財務指標だけでなく、まちづくりや共創観点の指標を掲げ、沿線の移動需要を創出し、共創によって魅力的な沿線にしていこうという姿勢を打ち出しています。環境分野では、もともと環境にやさしい乗り物である鉄道業界で初めて全営業車両を省エネ車両(VVVFインバータ)にするなど先進的な取り組みをしてきましたが、省エネを超えてカーボンニュートラルの実現を目指し、脱炭素対応に取り組んでいます。
一方、そうした経営目標を掲げつつ、開示対応としてのScope3算定や環境マネジメントとしての廃棄物マニフェスト管理など、粛々とかつ正確に行わなければならない業務の質を担保しながら効率的に遂行することが課題でした。

第2章:廃棄物管理の体制を整え、Scope3対応につなげる

京王電鉄株式会社 経営統括本部 経営企画部 サステナビリティ推進担当 課長
千坂 航 氏

サステナビリティ経営を推進する中で、GHG排出量の算定・開示と並行して、廃棄物管理の実務基盤を整える必要性を感じていました。当時、Scope1・Scope2のGHG排出量については、Excelを活用した管理でも一定程度対応できる状況でした。一方で、Scope3、とりわけカテゴリ5にあたる廃棄物については、排出量を算定する以前に、そもそも廃棄物の発生量や処理方法、委託先、マニフェストの運用状況を、グループ全体で十分に把握しきれていないという課題がありました。
京王グループには、鉄道、不動産、ホテル、流通など多様な事業があり、拠点ごとに廃棄物の種類や処理方法、契約している収集運搬業者・処分業者も異なります。そのため、情報が各拠点や担当者に閉じてしまい、全体としてどのような廃棄物が、どこで、どのように処理されているのかを一元的に確認しづらい状況でした。
京王電鉄 千坂氏は、「当初から資源循環を大きく掲げていたというよりも、まずは廃棄物管理の実務をきちんとできる状態にする必要がありました。マニフェスト管理を適正に行い、廃棄物の発生量や処理費用などのデータを集計できるようにする。その土台がなければ、Scope3カテゴリ5の算定や、将来的な改善にもつながりません」と振り返ります。
こうした考えから、まず廃棄物管理の実務基盤を整えたうえで、そのデータをScope3カテゴリ5の算定にも活用し、将来的にはGHG排出量算定と廃棄物管理を一体的なマネジメントにつなげていくことを目指していました。

第3章:3社の強みを生かし、資源循環に向けた仕組みづくりへ

株式会社NTTデータ コンサルティング事業本部サステナビリティサービス&ストラテジー推進室 課長代理
木村 孝文

京王電鉄がグループ全体のGHG排出量算定と廃棄物管理を一体的に進める方法を検討していた頃、NTTデータとCBAでは、それぞれが持つ強みを生かした連携について協議を進めていました。
NTTデータでは、GHG排出量可視化プラットフォームC-Turtleを提供していましたが、廃棄物管理までを一体的に支援する仕組みはありませんでした。一方、CBAは電子マニフェスト(※1)や廃棄物管理システムを通じて、法令順守の徹底、業務効率化や資源循環の推進を支援していました。
両社が目指していたのは、GHG排出量の可視化と廃棄物管理を連携させることで、お客さまの業務負荷を抑えながら、より実効性のある資源循環やScope3カテゴリ5管理を実現できる仕組みを提供することでした。
そのような中、京王グループではGHG排出量算定と廃棄物管理の双方に取り組んでおり、両システムを活用していたことから、実際の運用データを用いたシステム連携の検証に協力しました。
NTTデータ木村氏は、「C-TurtleではScope3カテゴリ5の排出量算定には対応していましたが、電子マニフェストの管理や廃棄物流通ルートの把握まではカバーできていませんでした。CBA様の知見と組み合わせることで、お客さまへより大きな価値を提供できると考えました」と振り返ります。
一方、CBA宇佐見氏も、「私たちが目指しているのは地域資源循環の実現です。京王電鉄様が目指す沿線価値の向上という考え方とも親和性が高く、今回の取り組みを通じて、廃棄物管理とGHG排出量算定を結び付けた新たな価値を提供できると考えました」と話します。
こうして3社は、それぞれの専門性を持ち寄りながら、実際の運用を踏まえた検証を重ねました。京王グループが現場の知見を提供し、CBAが廃棄物管理のノウハウを、NTTデータがGHG排出量可視化やシステム連携の技術を担うことで、Scope3カテゴリ5への対応にとどまらない、資源循環を見据えた仕組みづくりが進められました。

(※1) 電子マニフェスト:産業廃棄物管理票の記載内容を電子データ化し、排出事業者、収集運搬業者、処分業者が情報処理センターを介したネットワーク上でやりとりする仕組み。

第4章:廃棄物データの見える化から、比較・改善の入口へ

株式会社CBA 代表取締役
宇佐見 良人 氏

3社による連携は、単にGHG排出量を可視化するための仕組みづくりにとどまりませんでした。京王グループでは、廃棄物管理とGHG排出量可視化を連携させることで、これまで拠点や担当者ごとに管理されていた情報を、グループ全体で把握し、比較・検討できる環境を整えつつあります。
京王電鉄 千坂氏は、「現時点で、連結対象子会社の4分の3程度まで利用範囲を拡大しています。これまでは、拠点ごとに契約している収集運搬業者や処理方法、費用などを担当者だけが把握している状態でした。データを集約していく中で、『なぜこの拠点は費用が高いのか』『他の事業所ではどのような運用をしているのか』といった比較や検討ができるようになってきました」と話します。
こうした変化は、単なる業務効率化にとどまりません。廃棄物管理の実態を把握できるようになったことで、Scope3カテゴリ5の算定に必要なデータの精度を高めるとともに、将来的な改善余地を把握するための土台が整い始めています。
また、システム連携を進める中では、運用負荷を増やさないことも重視されました。NTTデータでは、CBAのシステムで管理しているデータをそのまま活用できる仕組みを構築し、利用者側の作業負荷をできる限り抑えながら運用できる環境を整えています。
CBA宇佐見氏は、「重要なのは、一時的にデータを集めることではなく、継続的に運用できる仕組みにすることです。廃棄物管理の現場で蓄積されるデータを、可視化・分析・改善のサイクルにつなげることで、将来的な資源循環にも活用できる基盤として育てていきたいと考えています」と語ります。

第5章:廃棄物管理の改善から、沿線の持続可能性へ

3社が今回の連携を通じて目指すのは、Scope3カテゴリ5への対応や廃棄物管理の効率化に加え、その先にある資源循環の実現を通じて、持続可能な社会づくりに貢献することです。
京王電鉄 千坂氏は、「データを蓄積し、現状を正しく把握することが第一歩だが、その先にあるものとして、CSRにとどまらない資源循環の取り組みができるようにしていきたい。地域で消費する資源を、収支が成り立つ形で地域内で循環させることができるようになれば、そのエリアの生活コストが下がるはずで、暮らしやすさにつながるはずだ」と、まちづくりの観点で資源循環に取り組もうとしています。
今回、CBAの廃棄物管理に関する知見と、NTTデータのGHG排出量可視化の仕組みを組み合わせることで、京王グループが廃棄物データを継続的に蓄積・活用するための基盤が整い始めました。今後、NTTデータとCBAは、同社によるデータ活用と運用の定着を支援していきます。
京王グループは、この基盤を活用しながら、廃棄物管理の改善やScope3カテゴリ5の排出量削減に向けた継続的な改善、さらに資源循環の推進へと取り組みを広げていく方針です。資源循環を事業活動の中に根付かせ、継続的に改善できる仕組みを構築することで、沿線の持続可能性と暮らしやすさの向上を目指します。

企業概要

京王電鉄株式会社

京王電鉄株式会社は、東京都西部を中心に鉄道事業を展開する京王グループの中核会社です。京王グループは交通業をはじめ、不動産業、ホテル業、建設設備業、生活サービス業など幅広い事業を通じて、沿線における移動と暮らしを支えています。

GHG排出量可視化プラットフォーム「C-Turtle®」
https://www.nttdata.com/jp/ja/lineup/c-turtle/

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