第1章:企業の将来像から考える、阿波銀行のサステナビリティ支援
阿波銀行がお客さまへの支援で大切にしているのは、まず企業の事業や経営課題を深く理解することです。日々の対話を通じてお客さまの事業をよく知り、収益構造や人材配置、設備投資などの状況を把握するとともに、「5年後、10年後にどのような会社になりたいのか」「どのような市場で成長していきたいのか」といった将来像をお客さまと共有しています。
その将来像から現在の経営課題を整理していくと、気候変動への対応や人材、職場環境、地域との関わりなど、サステナビリティと企業経営との接点も見えてきます。例えば、設備投資を検討する企業であれば、省エネ設備への更新によってコスト削減とGHG排出量削減を両立できます。人材確保に課題を抱える企業であれば、環境や社会への取り組みを企業の魅力として発信できます。こうした形で、お客さまがもともと抱えている経営課題とサステナビリティを結び付けていくことを重視しています。
その際に大切にしていることは、具体的な支援策ありきではなく、お客さまがめざす将来像から必要な取り組みを考えることです。取り組みを実施して終えるのではなく、1年後、3年後と結果を確認し、その時々の課題に応じて次の一歩を一緒に考えていくことも、当行が大切にしている伴走支援のあり方です。お客さまがめざす将来像を起点に、サステナビリティを日々の経営課題と結び付け、こうした長期的な対話を積み重ねることで、地域企業の持続的な成長を支えています。
第2章:「気づいていない課題」を、対話から見つけ出す
徳島県内のお客さまと対話を重ねる中で、阿波銀行が感じているのは、サステナビリティに関する情報や取引先からの要請と自社の経営課題とのつながりを整理する機会が、まだ限られていることです。実際に取引先からESGやGHG排出量削減に関するアンケートや問い合わせが届いた際、その背景を理解する機会がないまま、個別の依頼として対応しているケースもあります。
さらに、企業内で情報が分散していることもあります。例えば、製造部門にはScope3に関する問い合わせ、管理部門にはScope1・2に関する問い合わせが届き、それぞれが個別に対応しているケースです。地域金融機関がお客さまとの対話を通じて関係者をつなぎ、情報を整理したことで、「社内で別々に届いていた要請が、実は同じテーマにつながっていた」と初めて全体像が共有された事例もありました。
こうした「気づき」を生み出す上で生かされているのが、徳島県外での営業やサステナビリティ推進を通じて培ってきた経験です。都市部では、大企業との取引やサプライチェーンからの要請を背景に、SBT(※1)や脱炭素への対応が事業上の課題として早期に顕在化している企業が多くあります。そうした企業との対話や伴走支援で得た事例や知見を徳島のお客さまにも伝えることで、取引環境の変化を早い段階で捉え、今後必要となる対応を考えるきっかけづくりに生かしています。
また、お客さまとの対話を通じて、経理や総務だけでなく、工場長や現場責任者など複数の部門が意見を交わす場も生まれています。社内に点在していた情報をつなぎ、会社全体の課題として整理することで、現状把握や具体的な取り組みを検討する動きにつながっています。
このように当行では、徳島県外で得た経験や知見を徳島へ還元し、企業がまだ認識していない変化や課題に気づくきっかけをつくっています。そして、その気づきを将来のビジネス機会へとつなげていきます。地域によって異なる情報や取り組みの進展を捉え、その知見をお客さまへ届けながら、次の行動を後押ししています。
第3章:経営課題に応じた支援で、次の行動を後押しする
お客さまが自社を取り巻く変化や課題に気づいた後、阿波銀行が重視しているのが、その気づきを具体的な行動へつなげることです。当行では、お客さまとの対話を通じて経営課題や将来像を整理し、それぞれの状況に応じた支援策を組み合わせながら、具体的な行動を後押ししています。
その入り口の一つとして、お取引先企業へ案内しているのが、GHG排出量可視化プラットフォームC-Turtleです。お客さま自身がGHG排出量を可視化することで、自社の排出状況を把握し、削減に向けた具体的な取り組みを考えるきっかけにつなげています。実際に、お客さまとの対話を通じて社内に分散していた環境関連の要請や情報を整理したことをきっかけに、C-Turtleの導入へつながった事例も生まれています。
また、可視化した先の課題に応じて、「脱炭素宣言サービス」やSBT取得支援、省エネ補助金の活用、設備更新など、さまざまな支援を展開しています。例えば、エネルギーコストに課題を抱える企業には、省エネ設備への更新によってコスト削減とGHG排出量削減を両立する方法を提案しています。設備投資が必要となる場合にはファイナンスも組み合わせるなど、お客さまにとって具体的な価値につながる提案を重視しています。
こうした支援をより多くのお客さまへ届けるため、本部と営業店の連携にも力を入れています。本部では支店向けの勉強会を実施するとともに、提案先候補を抽出して営業店へ共有しています。これにより、営業担当者がお客さまとの日常的な対話から課題を捉えられるよう支援しています。専門的な説明が必要な場合には本部担当者が同行し、その後は営業店がお客さまと継続的に対話しながら取り組みを進める体制を整えています。
当行では、C-Turtleによる現状把握を起点に、お客さまの課題に応じて補助金や設備投資、ファイナンスなどへ支援を広げています。こうした伴走を通じて、サステナビリティへの気づきを企業の具体的な行動と持続的な成長へつなげています。
第4章:地域金融機関とお客さまが同じ基準で測り、削減へつなげる
お取引先企業への支援と並行して、阿波銀行自身もGHG排出量の把握・削減に取り組んでいます。再生可能エネルギーの自家消費や電気自動車の導入などを通じてScope1・2の削減を進める中、金融機関として特に重視しているのが、投融資先の排出量にあたるScope3カテゴリ15のファイナンスド・エミッション(※2)です。地域企業とともに脱炭素を進めていくためにも、まずその排出量を把握することが重要だと考え、算定に取り組んでいます。
その中で当行がめざしたのは、地域金融機関側のファイナンスド・エミッション算定と、お客さま自身によるGHG排出量の算定をつなげていくことでした。現在のファイナンスド・エミッションは、業種や売上高などをもとにした推計値による算定が中心ですが、お客さま自身が実測値を把握することで、より実態に即したデータを活用できるようになります。地域金融機関とお客さまが同じ仕組み・基準で排出量を把握することが、将来的なデータ連携や削減に向けた対話につながると考えています。
こうした考えから導入したのが、金融機関向けGHG排出量可視化プラットフォームC-Turtle FEです。当行が複数のサービスを比較する中で、操作性や使いやすさに加え、特に大きな決め手となったのがNTTデータのサポート体制でした。ファイナンスド・エミッション算定を進める上で継続的に相談できることに加え、お客さまへC-Turtleを案内した後も、排出量算定や削減に関する専門的な相談に対して一緒に対応できることを評価しました。お客さまと対話する際には、経理担当者だけでなく、実際の排出量削減を担う工場長や現場部門など、より専門的な知識を持つ方々と話す機会も生まれます。当行だけですべての専門知識を持つのではなく、必要に応じてNTTデータの知見やサポートも活用しながら、お客さまとともに具体的な取り組みを考えられることが、C-Turtle FEを選定する上で重要なポイントとなりました。
現在はファイナンスド・エミッションの算定とデータ収集を進めるとともに、お取引先企業へのC-Turtleの活用も広げています。今後、お客さま自身が実測値を蓄積する企業が増えることで、より実態に即した排出量の把握や分析が可能になります。そうしたデータをお客さまとの対話に生かしながら、具体的な削減支援へつなげていくことをめざしています。
第5章:新たな気づきを、地域企業の成長機会へ
阿波銀行では、サステナビリティへの取り組みが、地域企業のさまざまな経営課題の解決や企業価値の向上につながっていくと考えています。脱炭素への対応も環境面での取り組みにとどめず、企業がこれからも選ばれ、事業を成長させていくための一つの機会として捉えています。
その一つが、人材確保です。人口減少が進む地域では、採用や人材の定着が企業経営の重要なテーマとなっています。一方、若い世代は学生時代からSDGsや脱炭素について学び、企業が社会や環境にどのように向き合っているかにも関心を持っています。自社の取り組みを社内外へ発信することは、企業の姿勢や魅力を伝え、若い世代から選ばれるきっかけにもなります。
また、社会や取引環境の変化に対応することは、新たな取引やビジネスチャンスを捉えることにもつながります。サステナビリティへの取り組みを、人材採用やDX、企業ブランディングなどさまざまな経営テーマと結び付けることで、企業自身の強みや価値を高め、持続的な成長へつなげていくことが重要だと考えています。
人口減少や人材不足、後継者問題など、地域企業を取り巻く経営環境が変化しています。当行では、その変化を新たな行動や成長へつなげていきたいと考えています。これからも、お客さまがめざす未来に寄り添いながら、企業が持つ可能性を引き出し、次の世代へ事業をつないでいけるよう支援していきます。
企業紹介
株式会社阿波銀行
阿波銀行は、1896年創業の徳島県を拠点とする地方銀行です。地域に根ざした金融サービスを提供し、預金・融資等に加え、事業承継・M&A、人材紹介、DX・GXコンサルティング、ESG支援など幅広いソリューションを展開しています。
「永代取引によるお客さま感動満足の創造と豊かな地域社会の実現」を存在意義とし、地域企業の成長と持続可能な地域社会の発展に貢献しています。
【C-Turtle®】の概要資料は、こちらからダウンロードください。


https://www.nttdata.com/jp/ja/lineup/c-turtle/