第1章:2051年、その先も続く企業であるために
コムシスグループがサステナビリティへの取り組みを本格化させたのは、2022年7月にサステナビリティ推進室を設置したことが一つの転機でした。それ以前からGHG排出量の把握などを進めていましたが、当時は専門組織がなく、総務部を中心に各事業部やISO環境関連の担当者などが取り組んでいました。TCFD(※1)に基づく情報開示をはじめ、企業に求められる対応が広がる中、専門組織を設け、目標を持って本格的に取り組む体制へと移行しました。
当初は「何から取り組めばよいのか」を考えるところから始まり、まずは環境分野を中心に取り組みを進めてきました。現在では、気候変動だけでなく、人的資本、人権、自然との共生、安全・品質、ガバナンスなど、幅広いテーマに向き合っています。サステナビリティ委員会では、マテリアリティに基づく戦略や施策の進捗を確認するとともに、新たな施策やSSBJ(※2)への対応などについても議論し、経営会議や取締役会での意思決定につなげています。
こうした取り組みの先に見据えているのが、持続的な企業成長と企業価値の向上です。当社の主要子会社である日本コムシスは2051年に創立100周年を迎えます。その先も当社グループが社会を支え、事業を成長させていくためには、人材不足への対応やDXの活用、新たな事業への挑戦など、時代とともに生まれる課題に一つひとつ向き合っていく必要があります。当社グループにとってサステナビリティは、こうした変化に対応しながら、持続的な企業成長と企業価値向上を実現していくための経営テーマです。
そして現在、力を入れようとしているのが、サステナビリティへの理解をグループ全体へ広げることです。これまでも当社の主要子会社が個別に研修を実施してきましたが、今後は連結子会社まで対象を広げたグループ共通のサステナビリティ研修を予定しています。まずは「サステナビリティとは何か」という基本的な理解から始め、マテリアリティへの理解を深めながら、グループ全体が同じ方向を向いて取り組める状態を目指しています。
第2章:建設現場だからこそ直面する、Scope1削減の壁
サステナビリティへの取り組みを進める中で、コムシスグループが環境分野の大きな課題として捉えているのが、Scope1のGHG排出量削減です。通信インフラ工事の現場では、高所作業車をはじめとする車両や重機を使用するため、事業を支える現場とGHG排出量の削減をどのように両立していくかが重要なテーマとなっています。
中でも課題となっているのが、高所作業車からの排出量です。当社グループでは、Scope1削減に向けてEV高所作業車の導入などを検討してきました。しかし、現時点では利用できる車両や技術にも制約があり、バイオ燃料や水素燃料を含めた新たな選択肢の普及も必要だと考えています。技術や市場の動向を捉えながら、実現可能な削減方法を探っています。
GHG排出量を把握することで、削減に向けて重点的に向き合うべき領域が明確になるとともに、現在の技術や製品だけでは対応が難しい課題も見えてきました。当社グループでは、通信インフラを支える現場の実情を踏まえながら、利用可能な技術や選択肢を見極め、Scope1削減に向けた取り組みを進めています。
第3章:算定精度を高めるために、現場データの収集に挑む
Scope1の削減に向けて、コムシスグループでは工事現場におけるGHG排出量をより実態に即して把握することを重視しています。自社が使用する燃料に加え、工事現場で協力会社が使用する重機や設備などもScope1の算定対象としており、現場から必要なデータをどのように収集するかが大きなテーマとなっています。
算定を始めた当初は、いくつかの工事現場から燃料使用量などのサンプルデータを取得し、年間の工事数を掛け合わせることで全体の排出量を推計していました。まずは算定に着手し、その後、徐々に精度を高めていくという考えから始めた方法です。
継続的に排出量を確認する中では、サンプルデータによる推計の場合、数値が増減した際にその理由を分析しにくいことも分かってきました。そこで現在は、協力会社から燃料購入時のレシートなどを受け取り、実際の使用状況に基づくデータの収集を始めています。さらに、現場でレシートを受け取った際に、その場でデータを取り込めるような仕組みについても検討し、現場の業務の流れに組み込みながら効率的にデータを収集できる方法を模索しています。
こうしたデータ収集の方法を考える上では、協力会社との関係性も重要になります。長年取引のあるパートナー企業では協力を得やすい一方、工事ごとに参加するスポットの協力会社から、どのようにデータを収集するかが現在の大きな課題となっています。また、協力会社側に新たな入力作業を求めることになれば、業務負担も考慮する必要があります。そのため当社グループでは、現場や協力会社の状況も踏まえながら、継続して運用できるデータ収集のあり方を検討しています。
第4章:何万社もの取引先を、継続して算定できる仕組みへ
GHG排出量の算定を継続していく中で、コムシスグループでは算定業務そのものの進め方も見直してきました。当初、Scope3の算定は外部へ委託していましたが、2023年から自社で算定できる体制づくりに着手しました。算定方法を一つずつ学ぶ中で見えてきたのが、これまでの方法をそのまま自社で行うには、膨大な作業が必要になるということでした。
特に大きな負担となったのが、Scope3カテゴリー1の算定です。取引先ごとの排出量を算定するためには、取引先の一覧を整理した上で、それぞれの排出原単位を確認する必要があります。当社グループでは何万社もの取引先があるため、一社ずつ企業の公開情報などを確認して排出原単位を調べる方法では、継続的な運用が難しいことが分かりました。そこで、算定方法を維持しながら、より効率的に取り組める仕組みが必要だと考えました。
その仕組みとして導入したのがC-Turtleです。複数のサービスを比較する中で、大きな決め手となったのが、当社グループが採用していた総排出量配分方式(※3)に対応していたことでした。また、ユーザーアカウント数に制限がなく、組織に合わせて階層を設定できることも、グループで算定業務を進めていく上で評価したポイントです。
導入後、特に効果を実感しているのがカテゴリー1の算定です。事前に必要なデータを収集した後はC-Turtleへ入力することで算定できるようになり、以前は外部委託でも2週間程度かかっていた作業を、現在では1〜2日で行えるようになりました。毎年継続して算定していく上で、作業時間を大幅に短縮できたことは大きな変化となっています。
外部へ委託していた算定から、自社で算定方法を理解し、継続的に運用できる体制へ、当社グループでは、C-Turtleを活用することで、何万社もの取引先を含むScope3カテゴリー1の算定を効率化し、継続的に排出量を把握できる環境を整えています。
第5章:企業の枠を超えて、業界全体で脱炭素を前へ
コムシスグループが今後の脱炭素を進める上で重視しているのが、発注者や協力会社、同業他社、メーカーなど、多様な企業との連携です。通信インフラ工事は多くの企業との協働によって成り立っており、現場で生まれる課題についても、それぞれの立場から知見を持ち寄り、解決策を考えていくことが重要だと捉えています。当社グループでは、脱炭素を関係する企業とともに取り組んでいくテーマと考えています。
こうした連携は、現場で活用できる新たな技術や製品を広げていく上でも重要です。例えばEV高所作業車では、一社だけで導入できる台数には限りがありますが、複数の企業が共通するニーズを示すことで、メーカー側にとっても開発や供給を検討しやすい環境につながります。当社グループでは、NTTグループをはじめとする関係企業と課題を共有しながら、現場で必要とされる選択肢を広げていくことを目指しています。
Scope3の削減に向けても、サプライチェーンに関わる企業と、それぞれの立場でできる取り組みを検討しています。一社ごとの取り組みを積み重ねるとともに、共通する課題については企業の枠を超えて知見を持ち寄ることで、サプライチェーン全体での削減につなげていきたいと考えています。
現場で見えてきた課題を自社の中にとどめず、関係する企業と共有し、それぞれの知見や強みを生かしながら解決へつなげていく、当社グループは、通信インフラをともに支えるさまざまな企業との連携を深めながら、現場から生まれた課題を業界全体の取り組みへと広げ、脱炭素と持続可能な未来の実現を目指していきます。
企業紹介
コムシスホールディングス株式会社
コムシスグループは、通信建設業界のリーディングカンパニーとして、国内通信キャリアの情報通信基盤の構築・運営を担うほか、ITソリューション事業や社会インフラ関連事業を展開しています。ネットワーク・クラウド基盤、データセンター、再生可能エネルギー、防災・減災分野など幅広い領域で社会基盤を支え、全国に展開するグループ会社の高い技術力と豊富な実績を生かして、DX推進と持続可能な社会の実現に貢献しています。
【C-Turtle®】の概要資料は、こちらからダウンロードください。


https://www.nttdata.com/jp/ja/lineup/c-turtle/