第1章:「金融にも強い総合サービス業」として、地域の未来を支える
当グループでは、気候変動や環境への対応を、地域社会やお客さまの持続的な成長に関わる重要なテーマと捉えています。2021年にはサステナビリティ方針を制定し、グループ一体で地域社会の課題解決に取り組む姿勢を明確にしました。また、自らも2030年度までのScope1・2カーボンニュートラル達成を掲げ、環境負荷の低減を進めています。
当グループが将来像として掲げているのが、「金融にも強い総合サービス業」です。金融機関としてサステナブルファイナンスを提供するだけでなく、非金融領域も含めてお客さまの課題解決を支援することを重視しています。グループ各社が持つ機能や外部とのネットワークを生かし、サステナビリティについても支援の幅を広げています。
その特徴の一つが、地域との幅広い連携です。2022年には地域金融機関として初めて東京都と「サステナブルファイナンス活性化に向けた連携協定」を締結、東京都のHTT普及・啓発事業をはじめ、都内・神奈川県内の自治体とも連携しながら、地域企業の脱炭素を後押しする取り組みを進めています。
さらに、当グループはサステナビリティ経営を進めるため、環境省の支援事業を活用した移行計画の策定にも着手しました。制度や社会からの要請を捉えながら、当グループ自身も新たな取り組みに挑戦し、そこで得た知見を蓄積することで、金融・非金融の両面から地域やお客さまの持続的な成長に向けた支援につなげていきます。
第2章:脱炭素を、お客さまの企業価値向上へ
当グループがお客さまの脱炭素を支援する上で重視しているのは、GHG排出量の削減だけを目的としないことです。サプライチェーン全体で環境対応が求められる中、対応の遅れが将来的な取引機会にも影響する可能性があります。だからこそ、脱炭素を、お客さまの事業や経営を守り、その先の企業価値向上につなげる取り組みの一つとして捉えています。
その考えのもと、お客さまの状況に応じて「知る・測る・減らす」という段階に沿った支援を展開しています。「知る」では、セミナーなどを通じて気候変動や脱炭素経営について考える機会を提供し、「測る」では、2024年10月からNTTデータと連携し、GHG排出量可視化プラットフォーム「C-Turtle」をお客さまに紹介しています。そして「減らす」では、削減計画の策定や設備導入、サステナブルファイナンスなど、具体的な行動につながる支援を行っています。
こうした支援を続ける中、お客さまを取り巻く環境に変化が表れはじめています。当初は脱炭素への関心や優先度にばらつきがありましたが、近年はサプライチェーンから環境対応を求められる企業も増えてきました。行内でも全支社を対象とした勉強会を進める中で現場の受け止め方に変化が生まれ、「お客さまを守るためにも、この分野に取り組む必要がある」という認識が広がりつつあります。
省エネ設備への投資の場合、光熱費や燃料費の削減につながり、環境対応を進めることで新たなビジネス機会や人材の獲得につながる可能性があります。さらに、設備投資が必要になれば、金融機関としてファイナンスを通じてその一歩を支えることもできます。当グループは、「知る」から「測る」、そして「減らす」へと支援をつなげることで、脱炭素への取り組みをお客さまの経営課題と結び付けながら、企業価値向上に貢献することを目指しています。
第3章:将来を見据え、GHGデータの信頼性を高める
お客さまへの脱炭素支援を進める一方、当グループは、自らのGHG排出量をより正確に把握し、継続的に管理するための取り組みも進めています。その中で、きらぼし銀行は2023年度に、Scope3カテゴリー15(投融資)の算定をExcelによるトップダウン方式で開始しました。その後、算定範囲の拡大や情報開示の高度化を見据え、2024年度から金融機関向けGHG排出量可視化プラットフォームC-Turtle FEを導入しています。
導入以前のExcelによる算定では、各部署から収集したデータをもとに計算するため、データの根拠や算定プロセスを一貫して管理することに難しさがありました。特に将来の情報開示を考えたとき、算定した数値だけでなく、「どのデータを使い、どのようなロジックで算定したのか」を説明できる状態にしておくことが重要になります。そのため、C-Turtle FEを導入し、データや算定プロセスを継続的に管理できる仕組みの整備を進めました。
C-Turtle FEの導入後は、Scope1・2に加え、Scope3カテゴリー1~7および15の算定・管理に活用しています。中でもファイナンスド・エミッション(※1)では、企業が公表するGHG排出量などの一次データを活用できるようになったことで、より実態に即した排出量の把握ができるようになりました。Excelによるトップダウン方式では約1,000万t-CO₂だったファイナンスド・エミッションは、C-Turtle FEを活用した算定では700万t-CO₂前後となり、一次データを取り入れることによる算定の精緻化を実感しています。
こうしたデータ管理の高度化を進めてきた背景には、目の前の開示対応だけではなく、将来求められる情報開示や第三者保証まで見据えた狙いがありました。当グループでは、2030年、2050年といった将来からバックキャストし、サステナビリティ情報にも信頼性の高いデータと、それを説明できる仕組みが必要になると考えていました。C-Turtle FEの導入は、GHG排出量を「算定する」だけでなく、その根拠やプロセスを示せるデータ基盤の構築へ進むための一歩となっています。
第4章:「数字を出す」から「説明できる」へ、第三者保証への挑戦
2026年7月、きらぼし銀行はScope1・2に加え、Scope3の一部の排出量について第三者保証(※2)を取得しました。当グループは、将来的なサステナビリティ情報への保証制度導入を見据え、まず銀行単体から対応を開始しています。今回の保証取得を一つのステップとして、今後はグループ会社へと対象を段階的に広げていく考えです。
実際に第三者保証への対応を進める中で、改めて重要性を認識したのが、算定結果だけではなく、その数字ができるまでのプロセスでした。どのようなルールでデータを収集し、誰が確認し、どのように算定したのか。そして、その根拠となる証跡が残されているのか、これまで業務の中で積み上げてきた一つひとつのプロセスについて、第三者に説明できる状態にすることが求められました。
そこで取り組んだのが、業務プロセスの文書化と検証体制の整備です。これまで担当者の経験や知識によって支えられていた部分を整理し、ルールや作業手順として明文化しました。さらに、担当者自身が算定の考え方やプロセスを理解し、根拠を持って説明できる状態をつくることで、サステナビリティ情報を組織として継続的に管理するための土台を整えていきました。
こうした第三者保証への挑戦を支えたのが、C-Turtle FEとNTTデータによるサポートです。C-Turtle FEを活用してデータや証跡を管理するとともに、算定ロジックの確認や説明など、保証取得に向けた対応についてもNTTデータから支援を受けました。システムの提供に加え、算定や保証対応に関する専門的な知見を生かした継続的な伴走が、第三者保証への対応を進める上で大きな支えとなりました。
今回の第三者保証取得はゴールではなく、今後に向けた土台づくりと捉えています。実際に業務を担うメンバーが作業する中で生まれた疑問やつまずきを記録し、マニュアルへ反映することで、より分かりやすく継続できる運用へと改善しています。将来的に対象をグループ会社へ広げる際に、初めて担当する人でも業務内容を理解し、同じ考え方に基づいて業務を進められる状態を目指しています。
数字を算定する段階から、その根拠やプロセスまで説明できる段階へ。第三者保証への挑戦は、GHGデータの信頼性を高めるだけでなく、担当者個人に依存していた知識や業務を組織の仕組みへと変え、将来の情報開示や保証に継続的に対応していくための基盤づくりにもつながっています。
第5章:一人で抱え込まない、サステナビリティを組織の文化へ
サステナビリティへの取り組みを継続するために、当グループが大切にしているのが、取り組みを支える人を増やしていくことです。第三者保証やSSBJ(※3)への対応を進める中で、関係部署やグループ会社など、サステナビリティに関わるメンバーは少しずつ増えています。特定の担当者だけに取り組みを委ねるのではなく、周囲を巻き込みながら知識や経験を共有し、組織として取り組める環境をつくろうとしています。
その背景には、サステナビリティならではの難しさがあります。専門性の高いテーマであり対応も多岐にわたる一方、企業によっては限られた担当者のみで、情報収集から社内への説明や具体的な対応まで担うこともあります。当グループでは、同じ課題に向き合う人同士が情報や経験を共有し、ともに学べる環境があれば、担当者が一人で課題を抱え込まず、次の行動へ踏み出しやすくなると考えています。
さらにはこうした環境を、今後は社外にも広げていきたいと考えています。ツールや制度に関する情報を提供するだけでなく、企業同士がともに学びながら取り組みを続けられる場をつくることは、地域のお客さまと日々接する当グループが果たせる役割の一つでもあります。
信頼できるデータを整え、継続できる仕組みをつくり、それを動かす人と人をつないでいく。当グループは、自らの挑戦で得た経験も活かしながら、サステナビリティを日々の企業活動の中に根付かせ、お客さまや地域とともに学び、行動する輪を広げていきます。
企業紹介
株式会社東京きらぼしフィナンシャルグループ
株式会社東京きらぼしフィナンシャルグループは、パーパス「TOKYOに、つくそう。」のもと、きらぼし銀行をはじめとするグループ各社が連携し、金融・非金融の両面から地域やお客さまの課題解決を支援する金融グループです。脱炭素支援やサステナビリティ経営を通じて、地域経済・地域社会の持続的な発展に貢献することを目指します。
【C-Turtle®】の概要資料は、こちらからダウンロードください。


https://www.nttdata.com/jp/ja/lineup/c-turtle/